胸の獣
書籍紹介
この男が獣なら、自分は猛禽だ
飯島は、会社帰りに通い始めたスポーツクラブのプールサイドで、鮫のように泳ぐ精悍な男、具志堅に目を奪われる。自分の中にある『恋』という欲望に気づいた飯島だが、プールサイドに集う者同士というだけの他人では声をかけることもできない。そんなとき、夜の公園で、具志堅と偶然の出会いを果たす。具志堅もまた飯島の存在に目を留めていたという、思いがけない事実に驚喜するが…。胸の中に獣を飼う者同士の獰猛な恋が始まる。
立ち読み
「…ン!」
唇が切れるかと思った。それほど激しい動きだった。
キスじゃない、噛みつかれただけだ。
「ぐ…ん…、具志堅!」
首を振って顔を外す。
やっと声を上げると、すぐ近くにある具志堅の瞳はひどく攻撃的な色をしていた。
この目だ。
飯島は身体が震え出すのを懸命に堪えた。
この目が自分を焼くのだ。
「何すんだよ」
身体と反対の言葉は白々しく響いた。
「ヤるんだよ。そのつもりで来たんだろう」
その言葉だけで、エレクトしそうになる。
「よせよ、気分じゃない」
一度抱かれたら、きっとすべてを崩してずるずると行ってしまうだろう。だから知念の一件以来離れていたのだ。
火を点けられたら燃え尽きてしまうだろう。
「気分? じゃあその気分にさせてやるよ」
本気で抵抗したつもりでも力が抜ける。
「今やったら強姦だぞ!」
「よがり声を上げれば和姦になるさ」
具志堅はもう一度首に齧りついた。
チクリとした痛みが走る。それがキスマークをつけているための痛みだとわかるからまた暴れるが、唇は目的を遂げるまで離れなかった。
バタつかせる足が低いテーブルに当たってそれを押しやる。
「よせって」
唇が切れるかと思った。それほど激しい動きだった。
キスじゃない、噛みつかれただけだ。
「ぐ…ん…、具志堅!」
首を振って顔を外す。
やっと声を上げると、すぐ近くにある具志堅の瞳はひどく攻撃的な色をしていた。
この目だ。
飯島は身体が震え出すのを懸命に堪えた。
この目が自分を焼くのだ。
「何すんだよ」
身体と反対の言葉は白々しく響いた。
「ヤるんだよ。そのつもりで来たんだろう」
その言葉だけで、エレクトしそうになる。
「よせよ、気分じゃない」
一度抱かれたら、きっとすべてを崩してずるずると行ってしまうだろう。だから知念の一件以来離れていたのだ。
火を点けられたら燃え尽きてしまうだろう。
「気分? じゃあその気分にさせてやるよ」
本気で抵抗したつもりでも力が抜ける。
「今やったら強姦だぞ!」
「よがり声を上げれば和姦になるさ」
具志堅はもう一度首に齧りついた。
チクリとした痛みが走る。それがキスマークをつけているための痛みだとわかるからまた暴れるが、唇は目的を遂げるまで離れなかった。
バタつかせる足が低いテーブルに当たってそれを押しやる。
「よせって」
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