この手の先に…
書籍紹介
このキスを喜んで、このキスを恐れてる
佐倉波人は、毎朝エレベーターで挨拶を交わす名も知らぬ「彼」に、密かな好意を抱いていた。だが、過去に、告白がもとで初恋の相手との時間を失った佐倉は、好きな相手であるほど深入りできない。そんなとき、後輩から告白されたことをきっかけに、彼との距離が急速に縮まってしまう。彼からも強引に告白された佐倉は、彼の名が初恋の相手と同じであることを知り…?小西克幸出演ボイスノベルCD付き
立ち読み
「あのボーヤはいい子だったが、押しが足りない」
タバコの臭い。
「俺なら、こうする」
コロンの香り。
「辛と…」
唇を塞がれて、強く抱き締められる。
身体を引くと、右手に握っていたコーヒーの缶が派手な音を立ててコンクリートの床の上を転がって行った。
背反し、せめぎ合う心。
このキスを喜んで、このキスを恐れてる。
『キス』して、『好き』と言って。強引なほど真っすぐに俺を捕らえる『大好きな人』。その結末の身の震えるほどの悲しさが甦る。
違うのは、優しかった少年と違い、心も身体も立派な大人である彼は、自身の言葉どおり俺を強引に扱うこと。
「ん…」
キスだけでは終わらせてくれない。
手はスーツの中へ滑りこみ、ネクタイを強く引っ張る。
暖かくなって来たからアンダーウェアを脱いでたった一枚の薄いワイシャツだけで包まれている胸の上に指を滑らせる。そこに俺の本当の気持ちが隠されているというようにゆっくりとまさぐる。
タバコの臭い。
「俺なら、こうする」
コロンの香り。
「辛と…」
唇を塞がれて、強く抱き締められる。
身体を引くと、右手に握っていたコーヒーの缶が派手な音を立ててコンクリートの床の上を転がって行った。
背反し、せめぎ合う心。
このキスを喜んで、このキスを恐れてる。
『キス』して、『好き』と言って。強引なほど真っすぐに俺を捕らえる『大好きな人』。その結末の身の震えるほどの悲しさが甦る。
違うのは、優しかった少年と違い、心も身体も立派な大人である彼は、自身の言葉どおり俺を強引に扱うこと。
「ん…」
キスだけでは終わらせてくれない。
手はスーツの中へ滑りこみ、ネクタイを強く引っ張る。
暖かくなって来たからアンダーウェアを脱いでたった一枚の薄いワイシャツだけで包まれている胸の上に指を滑らせる。そこに俺の本当の気持ちが隠されているというようにゆっくりとまさぐる。
おすすめの関連本・電子書籍
- プラチナ文庫
- 書籍詳細