秘蜜の褥

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- 本販売日:
- 2017/03/10
- 電子書籍販売日:
- 2017/04/07
- ISBN:
- 978-4-8296-2627-6
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私は雌です。
そう躾けてくださったのは主上です。
「ある男の人生を狂わせろ。そして、私と共犯になれ」主上の命に従い近侍である「紫の剣」の隊長・美舟が籠絡した男は、主上の実弟・嵯峨野宮だった。国の頂点に君臨する主上は、それ故に政敵が多く、肉親すら信用しない冷徹な人物。だが、美舟が嵯峨野宮に抱かれる時にだけ熱をみせるのだ。兄に体を弄ばれながら、弟の心を翻弄する――尊い兄弟の間で揺れ動く美舟だったが……。
「あ……っ、おおき、い……」
あまりにもふくれあがった嵯峨野宮の情念は、みっしりとした重量を持っていた。
思わず、美舟は溜息を漏らす。
美舟の中にある空洞が、嵯峨野宮で埋められてしまう。
「……宮様……」
嵯峨野宮の情念に答えるように名前を呼んだ、その時だ。
「楽しんでいるようだな」
御簾の中に、するりと人影が忍びこんできた。
「主上……っ」
嵯峨野宮は夢から覚めたように、美舟から身を引こうとする。
「よい、嵯峨野宮。許す。ともに、美舟を愛でようではないか」
主上は嵯峨野宮に一瞥をくれると、彼の下で組み伏されて、肌を彼の色に染めあげられかけている美舟を見据えた。
一瞬、睨まれているのかと思った。
(……主上?)
美舟は、自分は主上の理解者だと思っている。
だが、時折、本当に彼を理解できているのかと、自問したくなる瞬間もあった。
主上の心のうちを探るように視線を投げかけるが、彼は既に感情を見せない、いつもの冷たい無表情に戻っていた。
「……どうした、ふたりとも。私のせいで興が冷めたか?」
「い、いいえ。そんなことは決して……」
「ならば、交わってみよ」
嵯峨野宮と交わる美舟を、主上は背後から抱きしめる。
そして、嵯峨野宮がつけた痕へと、つっと指を滑らせた。
「美舟の肌に色を馴染ませるほど、熱く交わっていたのだろう?」
「あ……っ」
「主上……っ」
嵯峨野宮は、苦悩の表情を見せる。
罪悪感と快感、そして美舟への執着。その何もかもが、嵯峨野宮を責め苛んでいるようだった。
(……主上も、惨いことを)
主上による愛撫を受けながら、美舟は悩ましく息をついた。
美舟が、嵯峨野宮の色に染め上がるのを厭うかのように、意地悪なことをする。
そんな独占欲など、持っていないだろうに。
「宮、どうした? 私と美舟が交わる様を、見ていたいのか」
「ああ……っ」
後ろから強く乳首を摘ままれて、美舟は思わず声を上げる。
まるで罰を与えるような強さで摘まみあげられたのに、嵯峨野宮に愛撫をされていた体には、痛みより快楽が走った。
指が離れると、じんとしたしびれと、物足りなさだけが残る。
「は…あ……」
口を半開きにして、美舟は溜息のように息を漏らした。
主上によって快楽を教えこまれた体は、与えられる愛撫に従順だ。
痛くてもいい。
美舟に対しての、なんらかの感情がこめられている行為であれば。
「……う…っ」
嵯峨野宮を強引にねじりこまれている後孔は、ただでさえきつかった。
そのうえ、主上にこんなふうに手ひどく快感を与えられると、どうしても反応をしてしまう。
「……どうした、美舟」
「あ……っ」
主上が、そろりと後ろから美舟の顎を撫であげ、振り返るように促した。
「惚けたような顔をしている」
「……んっ」
口唇を吸われて、美舟は小さく声を漏らす。
達成感と虚脱感。そして、わずかな罪悪感。入り乱れた感情は、主上も気づいているだろうに、それを問いかけてくるとは、主上も意地が悪い。
「物足りないなら、私が愛でてやろうか」
「あ……っ」
再び乳首をひねりあげられ、美舟は小さく喘ぎ声を上げる。
今日の主上は、意地が悪い。
それとも、久方ぶりに弘徽殿太后と対面し、気が高ぶっているのか。
美舟が身をよじった途端、体内に収まったままの嵯峨野宮の欲望も、大きく膨れ上がった。
「美舟……っ」
押し殺すような声で、嵯峨野宮は呻く。
「……おまえが主上の寵姫ということは分かっている。……だが、俺ともつながっているんだ」
涙を流していたはずの彼だが、荒い息を抑えられてはいない。欲望まるだしの濡れた瞳が、美舟を射貫いた。
「俺のものになったんだ」
兄の寵姫に欲情したことに、嵯峨野宮は罪悪感を抱いている。それでも、その思いを捨てる気はないのだ。
彼のほの暗い情念は、もはや妄執とも言えるのかもしれない。
絡みつくような眼差しに、ぞっとした。
この弟宮は、ただ哀れなだけではない。
執着の深さ、強さは人並以上だ。
美舟は恋を知らない。
だが、執着という感情ならば理解できる。
嵯峨野宮が自分に向けている感情も、それだということも。
「……っ、あ……!」
下から大きく突き上げられ、弱い乳首を弄られて、美舟は髪を振り乱すように喘ぐ。
二人の男に貪られながら、美舟は歓喜の声を上げた。

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