恋をするには遠すぎて
書籍紹介
それは恋じゃない。――「萌え」だ!
チャラい高校生の袖崎陣は、地味で無口でオタクなクラスメイトの外舘翔馬が大嫌い。目障りに思い、陰湿な嫌がらせを繰り返すが、無反応な外舘に苛立ちは募るばかり。そんな中、袖崎は外舘と2人きりで夏休みの補習を受けることになってしまう。いやいや参加していたはずが、恋バナにすら赤面する外舘の初心で小動物みたいに可愛い一面にときめき、キスしてしまい……!
立ち読み
慣れないキスで酸欠になったのか、外舘は頬を上気させてぼんやりと天井を見上げていた。
まるでセックスの後みたいだ、と悠長なことを考えていると、外舘の両目に涙が盛り上がる。
しまった、と思ったときには涙は堪える間もなく一瞬で決壊しており、外舘は顔を押さえてしゃくりあげた。
「――あ……」
泣かせてしまった。
ただ好きだという気持ちが募って、キスをしたくなっただけだった。けれどそれは、陣を思いやってくれた気持ちを踏みにじることと一緒なのだ。
相手を傷付けたのは自分なのに、陣はそのことにショックを受ける。自分の身勝手さに心底嫌気が差した。
「ごめん、俺」
慌てて抱き起こすが、外舘は「うー」と唸ってぶんぶんと首を振る。
「と、外舘」
子供のように泣き出した外舘におろおろしながら手を伸ばすと、思い切り振り払われた。
「あ、謝りに来たんじゃ、なかったのかよ……!」
このままじゃ嫌われる。
そう思うのに、挽回の仕方が分からなくてただ焦燥が募る。
慰めることもせず、陣は情けないことにその場から逃げ出した。
まるでセックスの後みたいだ、と悠長なことを考えていると、外舘の両目に涙が盛り上がる。
しまった、と思ったときには涙は堪える間もなく一瞬で決壊しており、外舘は顔を押さえてしゃくりあげた。
「――あ……」
泣かせてしまった。
ただ好きだという気持ちが募って、キスをしたくなっただけだった。けれどそれは、陣を思いやってくれた気持ちを踏みにじることと一緒なのだ。
相手を傷付けたのは自分なのに、陣はそのことにショックを受ける。自分の身勝手さに心底嫌気が差した。
「ごめん、俺」
慌てて抱き起こすが、外舘は「うー」と唸ってぶんぶんと首を振る。
「と、外舘」
子供のように泣き出した外舘におろおろしながら手を伸ばすと、思い切り振り払われた。
「あ、謝りに来たんじゃ、なかったのかよ……!」
このままじゃ嫌われる。
そう思うのに、挽回の仕方が分からなくてただ焦燥が募る。
慰めることもせず、陣は情けないことにその場から逃げ出した。
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