聖娼
~きよらかな恋人~

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本価格:586(税込)

  • 本販売日:
    2008/06/10
    電子書籍販売日:
    2010/05/14
    ISBN:
    978-4-8296-2398-5
書籍紹介

愛、しか持たない誘惑の腕

かつては天才の名を恣にしたヴァイオリニスト、皓牙の前に突然、文字通り舞い降りてきた清音。皓牙の音色に憧れ続けた天使は、彼に音楽を取り戻して貰うため、ある決意を秘めて来た。だが、事故の絶望から全てを信じなくなった男は、「玩具としてなら傍においてやる」と美しく冷たい瞳で嘲笑い吐き捨てる。恥辱に戦きながらも体を差し出した清音は、熱く爛れる生身の愛撫に蕩け、初めての肉欲に溺れ淫らに啼く。やがて、神との残酷な約束が─!  天刑さえも裂けぬ純真な愛は!?
立ち読み
「あ……っ」
  清音は、小さな声で喘ぐ。
(……なんだか、体…が、熱く……?)
  こんな種類の熱に包まれるのは、清音にとって初めての経験だった。それでも本能のように、清音は原罪を理解した。
  自分は肉欲の罪を犯そうとしている。
  羞恥心とともに、強い罪悪感がこみ上げる。しかしそれは、清音の欲望を押しとどめることにはならなかった。
  肌はますます熱く、火照りはじめる。
  舐められているだけだったのに、その窄まっていた穴は緩みはじめた。そして、ひくひく震えながら、開きはじめる。
「なんだ、反応しているな。感じている」
「あうっ」
  性器をさぐられ、清音は喘ぎ声を漏らした。
(……どうしよう……)
  永遠に番うことを知らないはずの性器が勃起していることを、知らしめられる。しかもその先端はぬるぬるに濡れ、生々しい淫蕩さを醸し出していた。
  清音は、うっすら涙を浮かべた。
  胸が痛む。自分は、戒律を犯そうとしているのだ。
  快楽に、体が反応していることをもはや否定できない。
(どうして……?)
  身を切られるより辛いのに、股間の火はますます燃えさかる。こんなことは、初めてだった。触れることすら禁忌の場所は、まったく無垢だ。こんなふうに形を変えたことはなかった。
(どうしよう……っ、どうしたらいいんだろう……)
  清音はパニック状態に陥りそうになる自分を押さえるように、木の幹をつかむ指に力を加えた。
  変化する自分の体が怖い。
  でも、この怖さを克服しない限り、皓牙の傍にいる権利は勝ち取れないのだ。
  それならば、清音は我慢をするしかない。
  何がなんでも耐えてみせるのだ。

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