傍迷惑なロシアンブルー
そう啼くな。これ以上煽ってどうする?
強面のマル暴刑事・冠城が命じられたのは、ロシアの大財閥の庶子、真守・アレクサンドルの護衛という筋違いな仕事。護衛とは名ばかりの子守りに、困惑を隠せない。だが正体不明の襲撃者から真守を護ったことで、ワガママな言動の奥に隠された孤独を知り、庇護欲を掻き立てられる。「オヤジを惑わしてくれるな」苦い笑みで濁したものの、真守は肉親から与えられなかった愛情を求め、彼の気をひきたい一心から強力な媚薬に手を出してしまう。無垢な媚態に煽られた冠城は…!?
白い腹に情欲が吐き出される光景にも煽られて、男はケダモノになった。
真守が果ててもお構いなしに、内部を突き上げ、揺さぶり、健気な反応を見せる胸の突起を抓り上げる。
「い…や、ぁっ、あぁ! 痛…た、や……っ」
胸を弄ると、痛いと言いながらも、冠城を包み込む場所がきゅうっと締まる。真守の欲望が再び限界に近いのを見て、冠城はピッチを上げた。
「あ、あ、あぁっ、あ…んんっ、はっ」
グンッと深い場所を抉ると、細い背がシーツから浮く。その身体をぎゅうっと抱き締めて、冠城は真守の最奥に、熱い情欲を叩きつけた。
「……くっ」
低い呻きに煽られたかのように、ふたりの身体の間で、真守の欲望が再びはじける。だが、真守の内部の状態から、この幼い肉体がもっともっと深い快楽を欲していることを、冠城は感じ取った。
「あ…んっ」
細い身体を引き上げ、幼子を胸に抱くようにスッポリと腕に包み込む。やわらかな髪を梳きながら、荒い息をつく唇を、そっと塞いだ。
愛しくて、可愛い生き物だ。
そんな己の感情と、向き合う覚悟は少し前に決まっていた。大人になるのを待つつもりでいたのに、こんなことになってしまったことだけは、誤算としかいいようがない。
「省吾ぉ」
甘えた声に呼ばれて、「なんだ?」と淡く唇を食むことで応える。
「もっと、ぎゅって、して」
冠城の首に縋りつき、逞しい首に額を擦りつけて、真守が甘える。自分に向けられる感情が、父や兄から与えられなかった情愛を求めるだけの、淡いものでも構わない。今はまだ。
「俺がうんと甘やかしてやるよ」
この十八年間の寂しさ程度、容易に埋められるほどに。
- プラチナ文庫
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