夜に赦される

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本価格:586(税込)

  • 本販売日:
    2006/09/10
    ISBN:
    978-4-8296-2341-1
書籍紹介

いくらでも欲しがれ。俺だけを欲しがれ

情人を亡くし色褪せた秋津の夜を、極道の久我が再び悦楽で染め上げた。しかし秋津は衝撃の事実を知る。情人を殺したのは久我──!「お前の心ごと欲しいって言っただろう?」愕然とする秋津は、請うような久我の愛撫に奪われた。「お前はずるい…」憎みたくても憎めない。だが、久我の熱に奥深くまで犯されても、心は悲しみに囚われたままだった。そうして秋津は、恋慕を押し殺して久我から去り……。償うべきこととは、赦されるべきこととは──濃密な夜に色づき熟れた、揺るぎなき愛。
立ち読み
「俺から離れることなんて、許さねぇ。お前は俺のものだ」
  囁きながら指で内部をかき乱され、秋津は背筋をビクッと震わせた。久我の骨張った長い指は、秋津のポイントを知り尽くしている。
  秋津の入り口を解すと、久我は自分の雄を押し当ててきた。いつもなら、唇がわななくほどの期待と欲情に包まれる最高の瞬間なのに、今は何も感じない。心が死んだように何も感じない。
  久我の雄が入ってくる。しかしそこにあるのは肉と肉の擦れ合う、物理的な快感だけだった。
「……感じてるんだろう?  なら、気持ちいいって言えよ」
  久我が背後から激しく責め立てながら、言葉を強要してくる。
  秋津はシーツに頬を預けたまま、答える代わりにわずかに腰をくねらせた。それが精一杯の意思表示だった。
  感じているのは確かだ。久我に抱かれると、自分の意志とは関係なく、身体は勝手に快感を貪ってしまう。それはもはや、条件反射のようなものだ。
「なんで黙ってる。いつもみたいに、俺の名前を呼べ」
  久我の雄が内部を擦るたび快感は湧き起こるが、それだけだった。機械的に気持ちよくなるだけで、心の針はぴくりとも振れない。
「クソ……っ」
  苛立った久我が秋津を仰向けにして、両足を大きく割り開いた。二つ折りにされ、腰がシーツから浮き上がる。
  久我が再び抽挿を開始した。ベッドが軋み、一番深い場所まで犯される。
「黙ってねぇで、俺を欲しがれよっ。秋津……っ」
「ん……ぅ……」
  秋津の唇からもれるのは、快感を伝える言葉でも、久我の名前でもなく、意味を成さない呻き声だけだった。
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