愛しすぎる情熱

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本価格:607(税込)

  • 本販売日:
    2004/12/10
    ISBN:
    978-4-8296-2267-4
書籍紹介

俺に、あなたをください。

端整な顔立ちに憂いを宿し、エリートとしての地位を捨て田舎へ越してきた夏目。逞しい年下の男・高津と出会い、穏やかな時間に癒された。しかし、大切な人を失ったという過去から臆病になり、彼に惹かれる気持ちを認められずにいた。そして、真摯に想いを告げる高津にひどい言葉をぶつけてしまい──「男にされるのが好きなんでしょう?」熱い腕に抱かれ、危うい情動に翻弄される。すれ違った気持ちを置き去りにして……。静かに燃え上がる大人の恋。
立ち読み
「……教えてあげましょうか。あの夜、あなたが俺に、どんなキスをしたのか」
  ドアに右手をつき、頭を傾ける。夏目はきょとんした表情で、近づいてくる高津の顔を見上げていた。けれどすぐに高津の意図を察したのか、驚いたように目を見開く。
  揺れる瞳の中に戸惑いと怯えのようなものが見て取れ、一瞬迷いが生じたが、昂ぶった熱い情動は簡単に鎮まってはくれそうになかった。
「高津く───」
  夏目の言葉ごと唇を奪う。いきなりの深い口づけに驚いているのか、夏目は呆然としたまま無抵抗だった。それにつけ込んで、熱い口腔の中を優しく探った。舌をやんわりと絡め取り、強く吸う。
「ん……っ」
  我に返った夏目が顔を背けて逃げようとする。そんな嫌がる仕草にさえ興奮が募ってしまい、高津は咄嗟に夏目を強く抱きしめていた。自分の胸に夏目の身体をしっかりと固定し、さっきまでは違う激しいキスを始める。
  高津は夏目の顎を押さえ、その唇を貪るように味わった。歯列をなぞり口蓋を舐め、これ以上ないというほど深く入り込み、熱く濡れた内側すべてを占領する。
  甘い唇だった。その甘さが脳髄にまで染み渡り、正常な判断力を消し去っていく。
  きつく舌を吸い上げると、夏目の身体が小さく震えた。その反応に高津の興奮も増してしまう。高津は我を忘れ、際限なく夏目の唇を奪い続けた。
  一体自分はどうしてしまったのだろうか。こんなにも切実な気持ちで誰かの唇を欲しがるのは、生まれて初めてのことだった。自分で自分の貪欲さに驚かされてしまう。
  夏目の手が高津の胸板をトンと叩いた。その苦しげな表情に冷静さが、戻ってくる。必死で理性を働かせ、終わらせたくないキスをなんとか無理やりに終わらせた。
  そっと唇を離すと、夏目が息を乱しながら顔を背けた。
「……ひどいよ」
  俯きながら夏目が小さな声で呟く。
「急にこんなことするなんて……。どうして……」
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