恋と服従のシナリオ
書籍紹介
強情なあんたを、泣かせてみたい
新しく上司としてやってきたのは、和紀を裏切り、成り上がった元部下の岩瀬だった。下僕のように和紀に付き従っていた頃の面 影はなく、傲慢なエリートとなった岩瀬は、和紀のプライドを粉々にし、激しく蹂躙した。「俺には敵わないって認めるまで、何度でも抱いてやる」脅迫のような囁きとともに、屈辱めいた身体の関係を結ばされた和紀は……? WEB連載で大好評の下克上ラブ、書き下ろしを加えついに登場!
立ち読み
「…俺の腕の中では震えてたくせに」
和紀の中で怒りが沸点に達し、何かがぶつりと切れた。
「下種なことを」
テーブルの上のグラスを持つと、和紀は椅子から立ち上がる。
高々とグラスを持ち上げると、岩瀬の頭の上でそれを逆さまにする。
氷の溶けきっていない水が、彼の頭にぶちまけられた。
バシャリ。
バラバラと派手な音を立てて、氷がテーブルの上に散らばる。
適度にざわついていたレストランの客が、シン、と静まり返った。
視線が一斉に自分達の上に集まるのがわかる。
だが、そんなことはどうでもよかった。
怒りに燃えた目で、和紀は岩瀬を睨みつける。
額に貼りついた前髪を、それでも岩瀬は余裕をもった仕草で掻き上げた。水を掛けられながらも、岩瀬は楽しげな笑みを浮かべている。
水を滴らせていても、情けないどころか色男っぷりは変わらない。けれど。
(こんな、最低なヤツになっているなんて)
きりり、と和紀は唇を噛んだ。
「先輩のことは呼び捨てにするな。上の人間には敬語を使え。そんな基本的なことも忘れたのか?」
見下したような視線を向けると、和紀は馬鹿にしたように告げた。
(殴らなかっただけマシと思え)
後がどうなろうと、知ったことではない。
明日からこのレストランを使うことはできないだろうな、と思いながら、ずぶ濡れになった岩瀬を残し、和紀はその場を後にする。
拒絶するように和紀が背を向けると、岩瀬の顔からは楽しげな笑みは消える。
レストランから和紀が姿を消すまで、岩瀬はその華奢な背中を、じっと見つめていた。
和紀の中で怒りが沸点に達し、何かがぶつりと切れた。
「下種なことを」
テーブルの上のグラスを持つと、和紀は椅子から立ち上がる。
高々とグラスを持ち上げると、岩瀬の頭の上でそれを逆さまにする。
氷の溶けきっていない水が、彼の頭にぶちまけられた。
バシャリ。
バラバラと派手な音を立てて、氷がテーブルの上に散らばる。
適度にざわついていたレストランの客が、シン、と静まり返った。
視線が一斉に自分達の上に集まるのがわかる。
だが、そんなことはどうでもよかった。
怒りに燃えた目で、和紀は岩瀬を睨みつける。
額に貼りついた前髪を、それでも岩瀬は余裕をもった仕草で掻き上げた。水を掛けられながらも、岩瀬は楽しげな笑みを浮かべている。
水を滴らせていても、情けないどころか色男っぷりは変わらない。けれど。
(こんな、最低なヤツになっているなんて)
きりり、と和紀は唇を噛んだ。
「先輩のことは呼び捨てにするな。上の人間には敬語を使え。そんな基本的なことも忘れたのか?」
見下したような視線を向けると、和紀は馬鹿にしたように告げた。
(殴らなかっただけマシと思え)
後がどうなろうと、知ったことではない。
明日からこのレストランを使うことはできないだろうな、と思いながら、ずぶ濡れになった岩瀬を残し、和紀はその場を後にする。
拒絶するように和紀が背を向けると、岩瀬の顔からは楽しげな笑みは消える。
レストランから和紀が姿を消すまで、岩瀬はその華奢な背中を、じっと見つめていた。
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