帝王の犬
~いたいけな隷属者~
こんないやらしい僕を見ないで…!
美月は負い目のある弟に報いるため、弟が所属する劇団の主催者の性奴隷になっていた。首輪、鎖、終わりのない奉仕…虐げられた犬のような日々に心は麻痺しかかっている。そんなとき玩具を挿入されたまま連れて行かれたショップで、爽やかな店員・貴人が、イきそうになっている美月に気づき恥をかかぬように助け舟を出してくれた。美月は健全な優しさをくれた貴人を精神の拠り所にするようになるのだが、彼は弟の想い人だと知り…!?
いくら小さなローターとはいえ、三つも入れられていたとは、と俺は驚き慌てて再び彼の後孔を広げ中に指を挿入した。
「……あ……」
奥の奥で蠢くローターにようやく指が届く。一本の指では無理かと俺は美月にまた「すみません」と声をかけ、二本目の指を――中指を挿入した。
「……あっ……」
美月の背が仰け反り、小さな声が漏れる。感じているのか、とわかったが、美月が身体を強張らせたのに彼の羞恥を察し、俺は聞こえぬふりを決め込みただローターを取り出すことに専念した。
「…………ああ……」
悪戦苦闘したが、ようやくローターを出すことができたとき、美月は心底ほっとしたように大きな溜め息をついたあと、その場に崩れ落ちるようにして倒れ込んだ。
「大丈夫ですか」
俺は慌てて彼の肩を掴み、身体を起こさせようとしたが、根元を縛られびくびくと震えるそれはとても『大丈夫』そうには見えない。
「……失礼します」
どうしようかな、と迷ったが、少しでも楽にしてあげたいという気持ちが勝った。
俺は美月がぐったりしているのをいいことに、彼の身体を己の胸で支えると、両手を彼の雄へと延ばし、根元を縛っていた革紐を解き始めた。
「やめて……っ」
消耗しきっていた美月が、ぎょっとして声を上げたとき、革紐がはらりと床へと落ちた。
「あぁっ……」
途端にぴゅっと白い精液が宙を舞う。堪えに堪えていた射精をようやくすることができた美月の紅い唇から高い声が漏れた。俺が思わずその声に聞き入っている間に、美月は我に返ると、俺の胸を押しやり再び床に突っ伏してしまった。
「あの……」
「見ないでくれ……っ」
どうしたのだ、と声をかけようとした俺を拒絶するように、美月の高い声が響く。
「美月さん」
「見ないでくれ! どうか……どうか、こんな僕を見ないで……っ」
- プラチナ文庫
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