おうちのひみつ

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本価格:681(税込)

  • 本販売日:
    2013/05/10
    電子書籍販売日:
    2013/10/18
    ISBN:
    978-4-8296-2553-8
書籍紹介

甘えて、ひどいことばかりした。

いつも笑顔で明るい真実の体には、傷が絶えない。それは、周囲に期待されながらも受験に失敗した弟・裕司の暴力のせいだった。裕司はどうしようもない閉塞感を真実にぶつけて、縋る。真実は裕司を拒絶せず、甘やかすように受け止めて体を開いていたのだ。禁忌の関係を友人に諫められるが、真実は裕司を突き放すことができなかった。歪んでしまった想いに追い詰められ、兄弟は──?
立ち読み
「懲りないよなあ、真実? 俺に余計なことを言うなって何度言えばわかるんだ? 俺はおまえに、お願いしなくちゃいけないのか?」
うっすらと笑いを浮かべる弟の顔を、真実は無言で見返す。
「一昨日あれだけさんざんな扱いを受けたのにな。学習しろよ」
「……」
「それとも」
すぐ間近で、裕司が真実の目を覗き込んだ。
「まだし足りないなんて言うのか?」
いっそ優しげなほどの口調で問いかけた裕司に、真実が初めて視線を逸らす。裕司が短く嗤った。そのまま、掴んだ真実の襟元を無造作に手放し、立ち上がる。
「おまえ、好きだもんな。嫌がるフリして、結局最後にはいつも泣いてよがって自分から縋り付いてくる。まったく見てる方が恥ずかしくなるくらいだよ」
真実は無言で、拳を握り締めた先の床を見下ろした。
「実の弟に犯られてよがり声上げてんの、おまえの『お友達』とやらが知ったらどうなるんだろうな」
「……」
「脱げよ」
ぎゅっと、真実は唇を噛み締めている。動かない真実に、裕司が爪先でその肩を押した。
「同じことを何度も言わせるなよ? さっさと服脱いでそこに座れ。それとも俺がそこまでしてやらなくちゃいけないのか」
真実はのろのろと腕を上げると、指先をシャツのボタンにかけた。緩慢なその仕種に、焦れた様子で裕司が舌打ちして、真実をソファに押し遣った。真実の指先からボタンを奪う。
「本当にグズだな、おまえは。だから母さんが苛つくんだよ」
言った方も苛々した風情でシャツを脱がせ始めて、真実は咄嗟にその手首を押さえた。不愉快そうな裕司の視線が返ってくる。
「ま……また制服破いたら、母さんが変に思うから……」
かすかな怯えに彩られた真実の目を見て、裕司が可笑しそうに低く笑いを洩らした。そのまま真実からシャツを取り上げて床に投げ捨て、剥き出しの背中をソファに押しつける。
覆い被さってきた裕司が真実の首筋に顔をうずめ、真実は頼りなく指先で裕司のシャツを掴んだ。
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