働くおにいさんブログ一覧

2019/09/02

カレンダーどおりの仕事なので、出勤した。
家を出るとき、九条が「平成最後のお仕事、頑張ってきてください」などと言うものだから、今日は何をしても「平成最後か……」と思ってしまうのだが、だから何だというわけでもないんだがな……。
とにかく、平成最後の仕事をつつがなく終え、帰宅したら、九条が美しいちらし寿司を作っていた。
平成最後のご馳走、というわけか。
まあ、世間はゴールデンウイークだし、そのくらいの浮かれ方は許されてしかるべきだな。
九条が真顔で「次の改元まで揃って元気でいましょうね」と言うので思わず笑ってしまったが、そうだな、それがいつになるかは知らないが、その意気でいたいものだな。

知彦

2019/09/02

土曜から遥君とキャンプに出かけて、今日の昼に帰ってきた。
僕は明日出勤だから、半日は体調を整えるのに使わなきゃね。
いったん座ると動き出すのが億劫になるなら、帰ってそのまま後片付けを済ませて、それから風呂に入って二人して茶の間で大の字。
楽しくて心はリフレッシュしても、身体はきっちり疲れるんだよなあ。
贅沢だけど、連休だからそのくらいはいいか!って、夕飯はピザの出前をとった。
いつの間にかカスタードタルトがあったから思わずピザと一緒に注文したら、ホントにあったかくて、パイ皮サクッ、カスタードとろっ、の凄く本格的で美味しいのが来てしまった……!
追いカロリーもいいところだけど、美味しかったから二人とも大満足。
残ったピザは冷凍しておいて、いつか小腹がすいたときの自分たちにプレゼントってことに。

九条

2019/09/02

仕入れというほどたくさんは必要ないのですが、特別なアレンジメントのご注文にふさわしいデコレーションを求めて、買い物に出ました。
雑貨店でよいものが見つかったので、ほくほくした気持ちで店を出たら、筋向かいが和菓子屋さん。
ちょっとしたお祝いの気持ちで、かしわ餅を買って帰宅し、まだ寝ていた先生を起こして、買ってきたまだ温かいおこわとかしわ餅でランチにしました。
先生が何故かしみじみとかしわ餅を眺めて、「かしわ餅はいいな。葉が硬くて、食べるという選択肢がない」と仰るので、何だかおかしくなってしまいました。
訪問先で桜餅を出され、葉を残したいけれど失礼にあたらないか……と悩んだ経験がおありなのだそうです。律儀な先生らしい。
僕は、柔らかかったら葉を食べる葉です。あの塩味が甘みを引き立てて美味しいので。
でも、口当たりが気になって残したい、という気持ちもよくわかります。
それだけ唇や葉が敏感なのかも……と思うと、何だかちょっとエロティックですね。

2019/09/02

最近、金曜の夜は、今週もお疲れ様外食って感じで回転寿司の店に行くのが定番化しつつあったんだけど、昼の番組で「マンネリは脳によくない」って言ってて、なるほどな、確かに安心の味だけど、新鮮な驚きはあんまりないもんなー。
今日は他の店で食べよう!って提案してはみたけど、特に候補があるわけじゃない。仕事帰りの深谷さんと待ち合わせて、食べ物屋さんがある界隈をウロウロしてみた。
いつもの筋から一本外れてみたら、小さな飲食店がいくつかあって、初めてのビストロにトライしてみた。
ちゃんとしたレストランと違って、何でもシェアできるし、グラスワインも安いし、同年代のお店の人は明るくて親切だし、常連になりたい店だった。
やっぱり、新しいことにチャレンジするの、大事だね。脳っていうか、心に。
今度、兄ちゃんと九条さんも連れていきたいな~。俺、店員さんに「髪の毛ふわっふわっすね!」っていきなり言われたから、たぶん兄ちゃんも言われる。

2019/09/02

九条と待ち合わせるのに、いつもならカフェに入るところだが、今日は書店で待つとメッセージを送った。
先日、遥が一巻だけ貸してくれたマンガが思いのほか面白かったので、続きを買おうと思ったのだ。
しかし、店員に続刊の置き場所を聞いたところ、現時点でまさかの15冊出ていた。
この雑誌のマンガとしては、そう長いほうではないと聞かされ、愕然とする。
全巻まとめて買うことを大人買いというそうだが、さすがに今から食事に行くのにその大荷物はどうかと思い、続きを五冊だけ買った。
おそらく二人してあっという間に読み終えてしまうに違いないが……続きはまた来週にしよう。
一気に15冊購入しようものなら、二人してとんでもない寝不足に陥るに違いない。面白い本を我慢するのは、食後の甘いものを我慢するよりも難しいからな。
何にせよ、九条とふたりで同じマンガに没頭するというのは、思いのほか楽しいことだ。もし学生時代、同級生ならこんな感じだったのだろうか……と、ふと思う。

知彦

2019/09/02

どうにも春眠なんとかで、変なタイミングで物凄く眠くなる。
ちゃんと睡眠時間は確保しているし、誓って仕事に気を抜いているわけじゃないんだけど、何だろう、本当に不可解な強さの眠気が来るんだ。
今日は幸い昼休みにそれが来たから、昼飯をパスして一時間寝た。
猛烈にスッキリしたけど、夕方くらいに腹が減って倒れそうだった……。
この時期って、いつもこんな感じな気がする。
これから梅雨に猛暑と、身体にとってはきついシーズンが来るから、今のうちに何とかしなきゃな。
とりあえず、今週をどうにか乗り切って、GWに体調を整え直そう。身体もたくさん動かそう。
さすがに十連休じゃないけど、交代で三日ずつ休めるのはホントにありがたい。

九条

2019/09/02

春はあちこちで花が咲き乱れて、嬉しい季節ですね。
買い物に出掛けたら、駅前のロータリーの植え込みが見事で、思わず写真を撮って、見とれてしまいました。周りにも、同じことをしている人がチラホラ。
小さな立て看板があるので花の説明かと思いきや、税金の一部で整備された花壇です、という表記でした。
何だか、納めた税金の一部がこんなに綺麗な花になるなら、納税も悪くないなと思って帰ってきました。
税金の使い道を、そうやって目に見える形で教えてくれるのはなかなかいいものです。
今日は、お店に、今年初めてのシャクヤクが少し入りました。
僕は大好きな花なので嬉しいですが、お店で売るときには拳のような硬いつぼみの状態なので、他の華やかな花たちに隠れて、何だか地味に見えてしまうのが可哀想です。
開くと、どの花よりも大きく華やかになるんですけどね。
一輪だけ温かい場所に置いて、早めに咲いてもらおうと思います。

2019/09/02

開店準備をしていたら、登校途中の常連さんの女子高生たちに、学校帰りに公園で友達とお花見ながらおしゃべりしたいから、おやつ用のドーナツ揚げといてよ!だって。
うちはそんなオーダー受けてないよ!って言ったけど、気持ちはわかる。
なんか春らしいドーナツがいいなあと思って、揚げた奴を冷まして、コンビニで売ってた冷凍ラズベリーとクリームチーズをミキサーで混ぜたやつを挟んでみた。
一つ食べてみたら、意外とさっぱりしていい感じ。
帰りに「ドーナツできた?」ってホントに五人くらいで押しかけてきたから、できたよって渡したら、「ドーナツ屋が小洒落たことしてきた!」ってすげえ生意気に褒められた。
クリームはサービスだから、お値段はいつもどおりでいいよって言ったら、「また作ってほしいから、ちゃんとお金取りなよ」ってたしなめられた。
どっちが大人だかわかんねえ! 30円上乗せしてくれた。ありがとね。

知彦

2019/09/02

今日は、夏支度。
といっても衣替えにはまだ早いから、いわゆるキャンプ道具の手入れだ。
これからじゃんじゃん使うから、壊れてないか、傷んでないかを今の内に点検しておかないとね。
というわけで、猫の額みたいな庭にどうにかこうにかテントを張って、寝袋も虫干しした。
食器も洗い直して、バーナーもチェック。
そんなことをしていたら、何だかちょっと野外料理の気分になってしまって、遥君とふたり、炭を熾して、庭先で干物や野菜を焼いて、縁側に座って食べた。
これはこれで、プチBBQって感じで妙にテンションが上がった。
冷凍してあったほっけの干物が、めちゃくちゃ旨かったなあ。
勢い余って塩さばも焼いて、バケットを炙った奴に新タマネギのスライスと一緒に挟んで、レモンをぎゅーっとかけて、サンドイッチにして食べたりもした。
意外と楽しめたけど、結局、それだけで日が暮れちゃったなあ。まあ、そういう過ごし方も、たまにはいいか。

2019/09/02

昨夜は、いつものように九条と外で待ち合わせ、もう桜が散ってしまったことを残念がりつつ、食後、まだ咲いているはずの八重桜を探して、腹ごなしの寄り道散歩をした。
探せば、意外とあちこちの家が庭に植えているものだな。塀越しに、目の保養をさせてもらった。
桜の花びらの桃色は、外灯の白々とした光によく映える。そんなことも、昨夜は感じた。
まだ夜は肌寒くて、他に誰もいない夜道、そっと繋いだ手の温かさをじんわりと心地よく感じることができる。
そんな優しい季節も、あっという間に終わって、湿度と暑さに苦しむ日々がやってくるんだろうな。
少し残念な気がする。

2019/09/02

新学期初めての、保育園へのコッペパン納入。
春だから、奮発して苺と生クリームを挟んだミニコッペパンにした。
いつもはジャムだけど、入園おめでとうの気持ちをこめて、俺からのお祝い。
「子供たち、ケーキみたいって大喜びで食べました!」
って報告を、あとで先生がメールで送ってくれた。嬉しいなあ。
俺もひとつおやつに食べたけど、旨かった!
でも、苺と生クリームのときは、もうちょっとパンのキメを細かく、しっとりフンワリ柔らかにしたほうが絶対的に馴染みがいい気がする。
ブリオッシュみたいにリッチな生地にすれば簡単にそうなるんだけど、コッペパンとしての素朴さに欠けるよなって思って、それが嫌で、これまでやらずにいた。
でも、俺のそういうこだわりなんて食べる人には関係無いから、美味しいってのがいちばん大事だよね。
よっし。次は思いきって、存分に甘くてリッチな生地でやってみよう。

九条

2019/09/02

午後にお客さんが途切れたひとときがあって、あまりにも外の陽射しがうららかなもので、つい椅子に座ってうたた寝をしてしまっていました。
知らぬ間に来店なさったお客さんに躊躇いがちに起こされて、顔から火が出るほど恥ずかしかったです。
きっと、間の抜けた顔で寝ていたんだろうなあ……。
「気持ちよさそうに寝てらしたのに、ごめんなさいね」
なんて言わせてしまって、申し訳ないったらなかったです。
本当にたるんでいますね。春眠なんとかと言いますが、夜だってしっかり眠っているのに。
これは、帰宅なさった大野木先生に、こってり叱っていただかなくては……と思いましたが、それではむしろご褒美になってしまいます。
セルフでしっかり叱責することにしましょう。

知彦

2019/09/02

出勤途中、病院の植え込みをふと見下ろしたら、つくしが映えていた。
つくしなんて、何年ぶりに見るだろう。
懐かしくて、しばらくじーっと見てしまった。
こんな場所に、生えるんだなあ。
遥君にも見せてあげたかったけど、摘むのは可哀想だから、とりあえず写真を撮った。
遥君に送信する前に同僚に見せたら、みんな興味しんしん。
大野木先生まで「九条に教えてやろう」って、ちょっと嬉しそうな顔をしていた。
きっと二人で見にいくんだろうな。
そう思うと、僕までちょっとにやけてしまった。ナイショだけど。

九条

2019/09/02

通販で買った新しいパジャマが届いたので、さっそく風呂上がりに袖を通した。
取り立てていいものではないが、ワンシーズンでダメになっても気にならない、気兼ねのないものだ。
実は九条とお揃いなので、寝る前に入浴する主義の九条が、俺と同じパジャマで寝室に入ってきたとき、いささかドキッとした。
誰も見ていないというのに、何とも気恥ずかしいものだな。
俺の動揺に気づいたらしく、九条はベッドの脇で「どうですか?」と謎のポーズを取ってみせたが、どうも何も、何と言えばいいんだ。
ドギマギが過ぎて「まことに結構だ」と口走ったら、九条の奴、大ウケしていた。

2019/09/02

保育園にも塾にも、新しい子たちが入ってきたんだな~。
おやつの納品用の今年の人数がメールされてて、何だかニコニコしちゃった。
保育園の子たちはいつもお散歩……っていうのかなあ、あれ。あのワゴンみたいなのに積まれて通り掛かるとき、いつも「パンのおにいちゃん」って呼んで手を振ってくれるから、嬉しいんだよね。こっちもぶんぶん振り返しちゃうよ。
先生にそう呼ぶように教えられてるんだろうけど、それでも嬉しい。
塾の子たちはもっと生意気で、「パン屋のおっさん」っていうんだけど!
まああいつらに比べればおっさんだけど!
それでも深谷さんはいつも「可愛い」って言ってくれるんだからなー!
まあ、「遥君はお爺ちゃんになっても可愛いだろうなあ」って深谷さんは真顔で言うから、可愛いは若いと同義じゃないんだけど。

九条

2019/09/02

店が終わってから、屋上の庭にある東屋のテーブルと椅子を綺麗に拭いておきました。
金曜の夜ですから、少しは気分を変えて、夕食は屋上で。
料理を運ぶのがいささか厄介ですが、極力お皿の枚数を抑えて、二人で運べばさほど大変ではありませんでした。
ビールとジンジャーエールを合わせたシャンディーのジャグと、パンを薄くスライスしたものを入れた籠、そして、サンドイッチのフィリングを盛り合わせた大きな楕円形のお皿が二枚。脚のついていないグラスが二つ。
満開になったチューリップと水仙がとても綺麗だったので、非常用のLEDランタンで庭とテーブルの上を照らしながら、軽いディナーを楽しくいただきました。
ただ、ときおり救急車のサイレンが聞こえるものですから、そのたび先生のお顔が心配そうに曇るのがなんともお気の毒でした……。

知彦

2019/09/02

夜のお花見散歩も終わってしまってちょっと寂しいな……と思っていたら、遥君曰く、公園の八重桜が見頃になってきたらしい。
さっそく夕飯の後に出掛けてみたら、本当だ。
本数は少ないけれど、花の一輪がとても大きくて華やかだから、たとえ一本でも迫力がある。
大野木先生や九条さんが仰る「日々の暮らしにおけるちょっとした変化や驚き」ってこういうことだろうな。
だからみんな、毎年、桜を心待ちにしているんじゃないだろうか。花見宴会なんてしなくても、ただ遥君と一緒に桜を見て、来年の話をしながら同じ家に帰れる。
それが未だに、僕にとっては嬉しい驚きだ。

2019/09/02

生活にも小さくても新鮮な驚きを、という九条の配慮は、本当にありがたい。
そしてそれは、仕事においても大切なことなのではなかろうか。
患者さんは入れ替わっていくが、迎えるこちらは、ひとりひとり違うといっても、やはりどこか同じことの繰り返しというマンネリ感があって、それが積もり積もって倦怠感につながっていく気がする。
日々の職務で十分に大変だ、というのはわかっているので、この上、俺が何かを強制するつもりはないが、日々の学びや研鑽以外に、システム的にマンネリを防ぐ方法を考えていかなくてはな……。
などと考えていたら、ずいぶん難しい顔になってしまっていたらしい。部下に「お腹でも痛いんですか?」とからかわれてしまった。
そんな風に気軽に声をかけてもらえるようになったことが、俺にとっては日常業務における、決して小さくない新鮮な、嬉しい驚きだ。

2019/09/02

家でカクテル! おしゃれー!
うちも何か作ろうよ!って深谷さんに言ったら、「うーん?」って首を捻りながら、これまで使ったことがない、食器棚の奥にあった細長いグラスを出してきて、「はい」ってホントに何か出してくれた!
冷凍庫で作った氷を砕いて詰めて、そこにジンジャーエールとシークワーサージュースを入れて、庭のミントをちぎってのっけたって……ノンアルコールじゃーん!
「でも、お酒が入ってなくてもカクテルだよ?」って深谷さんはニコニコしてるし、飲んだらやけに美味しいし!
サラトガ・クーラーっていうののアレンジなんだって。ホントはライムジュースを使うんだって言ってたけど、沖縄土産に貰ったシークワーサージュース、旨いなあ。
なんかちょと騙された気分だけど、ノンアルコールでも、上がるもんは上がるな~。

九条

2019/09/02

日頃、家でお酒を飲むのは週末くらい、それもまあ軽く一杯お疲れ様と言い合って……という感じです。
木曜の外食のときも似たような感じで、深酒という言葉とは無縁の人生を送っています。
でも……というか、だからこそ、というか、何となく見ているテレビ番組で、「家庭で作れるお洒落なカクテル」などというコーナーを見てしまうと、興味を惹かれるものですね。
家にあるもので作れるカクテルが一種類あったので、夕飯のとき、お出ししてみました。
オレンジジュースとジンジャーエールに、ドライジンをほんの少し。
ジンは昔、何かのノベルティにいただいた手のひらサイズの小瓶でしたし、僕はあまりあの香りが好きではないので、正直、振りかける程度にしました。
ほぼ、ノンアルコールカクテルのようなものですが、爽やかで、とても美味しかったです。
夕食がパスタだったので、やけにお洒落な食卓になってしまいました。
大野木先生も「店のようだな」と喜んでくださって、日々の暮らしにおけるちょっとした変化というのは、楽しいものですね。

知彦

2019/09/02

大野木先生と九条さんが、四人で僕の誕生日祝いの会食を、と、いつもの中華料理店へランチに招いてくださった。
いつも遥君とはカジュアルな店にばかり行くから、揃って軽くドレスアップする機会ってだけで新鮮だ。
遥君とお互いにネクタイの結びあいっこをするのも、正直、楽しい。
中華料理は相変わらず豪華で美味しかったし、残ったものを折詰にして持たせてもらったし、帰りに遥君とぶらぶら腹ごなしの散歩をしながら、幸せを噛みしめた。
そうしたら遥君が、「四人で会うと、子供に戻ったみたいな気分になるなあ」ってやけに嬉しそうな顔で言った。
そうか、つい寄って集って、末っ子扱いしちゃうからなあ。でも、そろそろ「子供扱いするな」って怒るんじゃなくて、「懐かしくて嬉しい」になったんなら、遥君も立派なオトナだね。

2019/09/02

仕事が終わってさて帰ろうと思ったら、深谷がそろりと近づいてきて、「遥君が昨日これをくれたんですが、仕事用のサンダルを履くと、足の甲の模様が見えてしまうんですよね。それで、仕事中は残念ながら履けませんでした」と、両手に靴下をぶら下げてみせてきた。
なるほど、足の甲にゴジラ的な模様がでかでかと織り込まれている。
子供用じゃないのかと思わず訊ねたら、「しっかり大人サイズです」と深谷は嬉しそうに苦笑いしていた。
まったく、どこであんなものを見つけてくるんだか。
いやしかし、九条もたまに、驚くほど派手な下着を、そっとクローゼットに追加してくることがあるな……。
「ちょっとしたプレゼントですよ」と平然と言われてしまうので、「そうか、ありがとう」と言うしかないし、実際、今日は絶対に事故に遭わないようにしようと決意して身につけるんだが……あれは、どういう気持ちでくれるんだろうな。
いや、俺を想って買ってくれたものは、何でも嬉しいんだが。

2019/09/02

今日は深谷さんの誕生日!
平日だけど、いつもよりちょっといいご飯とケーキとプレゼントはちゃんと当日に用意しないとね。
火がだいぶ平気になったっていっても、やっぱひとりのときに火を使って料理するのは、何かあったときに怖いから、まだやらないことにしてる。
だから、こういうときはオトナの手段! つまり! お寿司の出前!
ちょっと張り切って、にぎり寿司、ひとり二人前ずつ!
あと、俺が好きだから、サラダ巻と鉄火巻を追加。
何だかお寿司の出前を頼むときって、すげーオトナになったなあって気がするよ。
気分だけかもだけどね!
プレゼントは、深谷さんにリクエストされてた出勤用のウォーキングシューズ。
あと、おまけで靴下。見えないところに可愛い模様の入ってる奴。
滅茶苦茶笑って喜んでくれて、よかったな。

九条

2019/09/02

庭でチューリップと水仙が咲き始めたので、春だなあ、という気持ちでいっぱいに。
桜も綺麗ですしね。
この時期は毎晩、花粉症が落ちついた先生と、夕食後、腹ごなしの夜桜散歩に出掛けます。
近所のお宅で咲いている桜や、公園の桜……コースは毎晩そう変わり映えしませんが、桜の表情は毎日変わるので、ちっとも飽きません。
桜に見とれる先生のお顔もその日によって微妙に違うので、毎日、楽しみです。
一日でも長く咲いていてくれますようにと祈る日々です。
でも、たいてい春の嵐で、一夜にして消えてしまうのが、桜の花ですよね。
儚いですが、それでこそ、なのかもしれません。
とにかく、花粉症の薬が進化していることに、僕からも心からの感謝を捧げます。

知彦

2019/09/02

同僚から、「調子に乗って苗をたくさん買ったら、ちょっと面倒みきれなくて」という理由で、苺の苗を二鉢もらった。
わかる。ホームセンターでつい全種類買いたくなって、いざ植える段になってプランターに植えきれなかったりするんだよな。
うちは今年は苺を植えていなかったから、遥君が大喜びで可愛い素焼きの鉢に植え替えて、店の前に飾ってた。
そうそう、そろそろ豆の苗も準備しないとな。
たいていの野菜は、連作を避けてください、って九条さんに教わって以来、植える場所のやりくりが難しいんだけど、どっかいい場所を探そう。
とにかく、庭が狭いからなあ。猫の額ってよく言ったもんだよね。

2019/09/02

うちの医局ではエイプリルフールは原則禁止なのだが、10歳にもならない子供に「もうリハビリ来たくない、せんせーきらいだから!」の五秒後「エイプリルフールでしたー!」と言われたときは、いったいどういうリアクションをすればいいものなのだろうか。
たとえ五秒でも、俺はだいぶ傷ついた。ゆえに、笑って済ませるのは不誠実だし、かといって怒るのも大人げない。結局、曖昧な表情になってしまい、子供はつまらなかったようだ。
帰宅して九条に話したら、「僕ならこんな感じですかね」と、胸に矢を受けてくずおれるアクションをしたあと、笑って立ち上がってみせた。
なるほど! 来年まで覚えておこう。つくづく俺は、応用がきかないな……。

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大野木甫
医師の大野木甫
九条夕焼
フラワーショップ店主の九条夕焼
大野木遥
甫の弟でコッペパン専門店店主の大野木遥
深谷知彦
甫の部下で理学療法士の深谷知彦

仕事人である彼らが、昼休みに綴ります。
だから平日12:00頃更新。土日祝日はお休みです(ときどき休日出勤あり…)。

それぞれの恋模様は『お医者さんにガーベラ』『お花屋さんに救急箱』をご覧ください。

Novel 椹野道流
Illustration 黒沢要

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