遥
2019/09/02
なんか、やたら遠くから、29日に行こうと思うんだけどやってますか?って何件か問い合わせがあってさ。
誰かがブログか何かに書いてくれたのかな。
そうだよね、休みの日しか来られない人もいるよねって思って、昨日は店を開けることにしたんだ。
そしたら、「初めて来ました!」っていうお客さんが多くてビックリ。結局、いつもと同じだけのコッペパンが売り切れちゃった。
深谷さんも店を手伝ってくれて、「祝日には開けたほうがいいかもしれないね」って言ってた。ホントだなー。
「僕が仕事休みの日は、手伝ってあげられるし」って言ってくれたけど、なんかそれは悪い気がするし、でも「やっと来られた!」って言ってくれた人もいて、うーん……。
嬉しいけど、もうちょっと悩もう。
甫
2019/09/02
以前の軽トラックはいささか乗り心地に難があったが、ワゴン車に換えてからは快適だ。
人も荷物もたくさん積めるというのは、いいものだな。
卸元は農園で、郊外の広大な土地で、他にも恐ろしいような数と種類の苗を育てていた。
「好きなのがあったら、持っていっていいよ」と声をかけていただき、無論買わせてもらったのだが、小さなアジサイの苗を買った。ヤマアジサイなので、あまり大きく育たず、花も小さいそうだ。
俺は、アジサイが好きだ。特に、雨に濡れたときの風情がいい。
庭にも、リフォームのときにガクアジサイを植えてもらったが、家の中から見えないのがやや不満なんだ。
ヤマアジサイなら、鉢植えにして家の中に置けるだろうか。
九条に「楚々として、あなたによく似合う花ですね」とニッコリされた。いつもどおり、リアクションに困った……。
九条
2019/09/02
でも、いちばん安売りしなくちゃいけないかな……と思いつつたくさん仕入れてあった花苗が、今日の夕方までにほとんど売り切れてしまいました。
通院患者や見舞客の皆さんは、連休中にガーデニングをしようと思ってらっしゃるのかな。
慌てて追加の注文をして、明日、卸元まで直接取りに行くことにしました。
春から初夏にかけては色んな花が咲き乱れますから、楽しい季節ですよね。
庭に咲いた花を一輪、いつも小さな器に生けて、食卓に置いておくんですが、毎朝、大野木先生がそれを愛おしげにご覧になっているのが何とも素敵です。
朝の忙しいひとときでも、花を愛でていらっしゃるときの先生のお顔は穏やかで、僕も毎朝、癒されています。
逆に、花がしおれてくると悲しそうなお顔をなさるので、そういう姿は決して見せないように。花屋の矜恃ですね。
知彦
2019/09/02
患者さんたちも、休み前にいっぺん行っとこうって思うみたいで、朝から予約がぎっしり。
でも、うちで身体のチューニングをして、楽しい連休を過ごしてほしいな。
去年はベッドから起き上がれなかった人たちが、今年はどこそこへ行くんだって嬉しそうに話してくれると、ホントにこの仕事、やっててよかったと思う。
そういえば週末のキャンプでは遥君がこねた生地をフライパンいっぱいに伸ばして、好きな具を載せまくってピザを焼いたんだけど、和の食材って意外とチーズに合うもんだね。
しらすと茹でた菜の花と、地元の道の駅で買った鮎の甘露煮をほぐした奴を散らしたピザが、僕はいちばん美味しかった。照焼チキンを更に和風にした感じ、だったな~。
あと、寝袋でも転がっていく遥君の寝相は、本当に……すごい……。
遥
2019/09/02
みんな、もしかして同じこと考えた?
でもまあ、混みすぎて芋の子ってほどじゃないし、キャンプ場は賑やかなほうが楽しい。
今夜は、今朝こねて発酵させながら持って来たピザ生地があるから、それでフライパンピザを作る予定。
その前に、日帰り温泉に出掛けて、深谷さんと露天風呂を満喫してきた。
男同士だとさ、わざわざ混浴風呂を選ばなくても一緒に風呂につかって喋れるからいいよね。
風呂からの見晴らしがよくて、下のほうに二両だけの電車が走ってるのも見えて、何だかいい感じだった。
明日もまた、朝風呂で行く予定。
キャンプって、特に何も特別なことはないし、不自由だし、でも楽しいんだよな~。
甫
2019/09/02
リハビリのオペレーションさえ保たれるのであれば、子供との家族旅行を予定している者を最優先に、有休を取って休みの日数を加減しても構わない、と通達してあるので、皆で相談しまくっているようだ。
俺はカレンダーどおりの休みで構わないと言ってあるので、九条とはせいぜいちょっとした遠出の予定しかない。
正直、渋滞や行き先の混雑がわかっていて出掛けるより、家にいて、庭の手入れをしたり、屋上で二人でお茶を飲んだりしてゆったり過ごすほうがいい。
だが、もしかしたら九条は、どこかへ旅行に出掛けたかっただろうか。
夕食のとき九条に訊いてみたら、真顔で「僕は連休の間、必要がないときはずっとあなたと寝室にこもっていても平気ですよ。というかむしろそうしたい気持ちが大いにあります」と返された。
俺は……赤面する以外、どういう反応をすればいいんだ!?
九条
2019/09/02
今日は褒めていただきましたよ!とご報告したら、心からホッとした顔をなさって、何だかじーんとしてしまいました。
僕、愛されてますねえ。
今日は二人ともカレーの気分だったので、インド料理屋へ。
大きなナンをちぎりながら、大野木先生が憂い顔で、「カレーが足りなくなったら困ると思って、ナンに少しだけカレーをつけるようにしていたら、最終的には余ってしまう。俺はいつもそうなんだ」と仰るのでつい笑ってしまいました。
カレーは好きなだけつけてください、僕もそうします。足りなくなったら、もう一つ追加すればいいんですよ……と申し上げたら、「そうか!」と晴れやかな表情に。
嬉しそうにナンでたっぷりカレーを掬って召し上がる姿が、僕にとってのメインディッシュでした。
知彦
2019/09/02
子供でも、叱る前には凄く気合いがいるし、気も遣うし、フォローをどうしようって悩む。
いつも職場で、いい歳の大人ばかり叱っている大野木先生は、凄く神経をすり減らしてるんだろうなって思う瞬間だ。
ふと、大野木先生は誰かに叱られることがあるのかな……と思って、昼休みに何となく訊ねてみたら、物凄く苦い顔つきで、「今朝も九条に叱られた」って。
いったいどうしたんですかって、立ち入ったことだと思いつつ、つい追及してしまった。
そうしたら、「靴下を脱いだままの裏返しではなく、表向きに戻してから洗濯機に入れてください! 汚れが落ちないでしょう」と叱られたそうで……ふふふ……。
そこで「僕はあなたに、いつもぱりっと綺麗な靴下を穿いて出勤していただきたいんですよ」と付け加える九条さんが、いちばん叱り上手かもしれないと思った。
遥
2019/09/02
いったい何かと思ったら、表のプランターで咲いてたチューリップを、子供がもいじゃったんだって。
確かに、子供のちっちゃな手に、しっかり赤いチューリップが……。
全然いいけど、そのままだとしおれちゃって花が可哀想だから、前に九条さんに習ったとおり、鋏で切り直して、濡れたティッシュで切り口をくるくるっと包んで、ビニール袋に入れて渡してあげた。
チューリップはすぐ散っちゃうけど、せめて今日一日だけでも、あの子の家できれいに咲いてくれたらいいな。
お花代なんて要りませんって言ったら、代わりにコッペパンたくさん買ってってくれて、かえって悪かったかも。
甫
2019/09/02
食後に鈍ってしまった脳がシャッキリして、リフレッシュできるようだ。
ところが今日は寝入りばなに、秘書にヘッドホンを奪われ、お電話ですと起こされてしまった。
大事な要件だったし、秘書に咎はまったくない。しかし仮眠に失敗すると、午後じゅうどうも気怠い感じになってしまうことに気付いた。
これは……少し困るな。
九条も、昼休みに少し寝ることがあるそうだ。そんなときに注文の電話が入ると、ありがたいが険しい表情になってしまうと言っていた。
九条の険しい表情など……むしろ見てみたい気がするほど珍しいものだな。
九条
2019/09/02
朝からせっせと下の庭と屋上庭園の手入れをして、屋上のテーブルでお昼を食べました。
ハムと半熟の目玉焼き、それにトマトを挟んだ簡単なものですが、うららかな春の日差しを浴びて、綺麗な花を眺めながら食べる食事は、それだけで贅沢なものです。
パンジーや水仙が満開なので、鮮やかな色に癒されました。
食べながら二人で、どこかにハンモックを吊りたいな……なんて話をしました。
場所の都合で実際は難しいのですが、素敵なアイデアだと思います。二人用のハンモックなんて、考えただけでもワクワクしてしまって。
二人とも、ミニマムに暮らしたいと口では言うのですが、つい物を増やす方向で話をしがちですね……。
知彦
2019/09/02
店の前で色とりどりに咲き誇って、風にゆらゆらしているところはとても綺麗だ。
とはいえ、そう長くは咲いてくれないから、散った後はどうしようもなく寂しい状態になってしまうのが、チューリップの厳しいところ。
でも、朝に開いたチューリップが夜に閉じて、また朝に開くところは、花が寝たり起きたりしてるんだなーとわかって、何だか可愛らしい。
出勤したら、大野木先生の机の花が変わっていた。
今回は、黄色と白の、色んな形や大きさの水仙の取り合わせ。特に、小さな水仙がたくさん花をつけているものが可愛くて、香りもいい。
大野木先生がいないとき、みんな、鼻を近づけてくんくんして通り過ぎるのが面白い。
甫
2019/09/02
何だか元気がないようだったので問い質すと、今日はどうも生け花が上手くいかなかったらしい。
先生に、「それでプロのお花屋さんだなんて」と辛辣に叱責されたらしく、珍しくしょげていた。
叱るのは愛情があるからこそだと言いはしたが、個人的にはあまり感心しない叱り方だ。
プロが敢えて同業者に教えを乞うことの謙虚さと勇気を、教える側も尊重し、評価すべきであり、それを逆手に取って相手を貶す材料にするというのは如何なものだろうか。
俺が口を出す筋合いではないのだが、どうもいささか腹立たしい。
そんな気持ちが顔に出てしまっていたのだろう。かえって九条に気を遣わせてしまった。
いかんな……。
遥
2019/09/02
何だか知らないけど、俺が深谷さんの寝顔を見るより、深谷さんに俺の寝顔を見られるほうが多いのが不公平だよねー!
俺だって見たいのにさあ。
夜は俺のほうがちょっと早く寝ちゃうから、毎晩、深谷さんに寝顔見られちゃう。
確かに、朝は俺のほうが早く起きてパンの仕込みをするんだけど、半分寝ぼけながら、起きなきゃ……ってヨロヨロ起き出すから、深谷さんの顔見てる余裕がないんだよ!
俺もたまには、ゆっくり深谷さんの寝顔を見て、ニコニコしたいな~。
今夜は俺、深谷さんより後に寝ようかな……って思ったけど、もう眠い! 無理!
九条
2019/09/02
毎晩、隣で眠る大野木先生のお顔に癒されていますよ。
でも、僕がもっと好きなのは、ソファーでうたた寝してしまった先生の寝顔ですね。
遊び疲れた子供のようで、とてもほっこりした気持ちになります。
ソファーで並んでテレビを見ているときに先生がうたた寝してしまったときなんかは、途中からテレビそっちのけで先生の寝顔に見入ってしまって、まったく見飽きないので不思議です。
まあ、勿論お目覚めになったとき、僕が凝視しているのに気付かれると、怒られてしまうのですが。
その怒り顔がまた可愛らしくて……ああ、きりがありませんね、この話は。
知彦
2019/09/02
というか、変だったことは覚えてるんだけど、内容は起きた瞬間にあらかた頭から抜けていた。
ただ、ぼんやりした気持ち悪さだけが残っているような……変な感じ。
そんなとき、遥君が隣ですやすや寝ていると、とてもホッとする。
好きな人の、無防備な寝顔って、こんなに安らぐものなのか……と、驚いたりもする。
もう悪い夢を見ないおまじない代わりに、遥君のほっぺたをちょいと突いてから寝直した。
おかげさまで、それからは朝までグッスリ!
そんなことがあったせいで、昼休み、眠いな……と思いながら医局に戻ってきたら、大野木先生が、自分の席で腕組みして目を閉じておられた。
昼を食べた後の短い仮眠だったみたいなんだけど、さすが兄弟、寝顔は遥君とよく似ている。九条さんも、大野木先生の寝顔で癒されるのかな、やっぱり。
遥
2019/09/02
つまんないな~。
出掛けるつもりだったから、家にいると余計につまんない。
「物凄い膨れっ面だね」って深谷さんに笑われちゃったけど、だってさあ!
茶の間でひっくり返ってたらいつの間にか寝ちゃってて、深谷さんに「お昼ご飯だよ」って起こされた!
えええー!? 何だか凄く時間を無駄にしちゃった気分に……!
ガックリ来ちゃったけど、深谷さんが作ってくれたカレーすっげー旨いし、「持ち帰り仕事しながら、遥君の寝顔見てた。凄く癒されたなあ」って言われちゃったら、ふて腐れてらんないじゃん。
それに、ちょっと疲れがたまってたのかな。凄くスッキリした。
こういう休日も、たまには必要なのかもな~。でもやっぱつまんない!
九条
2019/09/02
僕は一年を通してあまり体重が変わらないんですが、それでも他の季節より出不精になるせいか、冬が終わる頃には、ほんの少しではあるけれど、身体が緩んだ感じがします。
春はダイエットというより、身体をよく動かして、全身を締める季節というか……そんな感じですね。
何にせよ、カロリーを控えめにして良質のタンパク質をとり、腹八分目が重要なのにかわりはありません。
あと、夕食後、二人でまた軽い散歩をすることにしました。
ソメイヨシノは散ってしまいましたが、しだれ桜や八重桜はまだまだこれからですしね。
夜の散歩は、誰もいない場所だと手を繋いで歩けるのが、何だかとても幸せです。
先生が大いに照れながら、それでもギュッと手を握り返してくださるのが嬉しくて。
甫
2019/09/02
九条が稽古の後に持ち帰る花が、今日は恐ろしく春らしかった。
ヤマザクラにゼンマイ、それにコゴミの少し育った葉を取り合わせて生けたそうだ。
ゼンマイやコゴミは山菜として食べるだけでなく、花材にもなるんだな。
帰宅したら生け直してくれるらしいから、どういう風になるのか楽しみだ。
夕食は、何となく匂いに惹かれて、焼き鳥にした。
夏に向けて、お互い軽いダイエットを……と言っていたのに、つい締めに釜飯を頼んでしまって、ダイエットとはほど遠い食事になってしまった。
しかし、焼き鳥屋の釜飯というのは、どうしてああも旨いんだろうな。
明日から! 明日から、無理のない範囲のダイエットに励む。冬はどうしても、体重が増加傾向になるからな……。
知彦
2019/09/02
優しい色の花を取り合わせてくださってるからかもだけど、部屋の空気が優しい感じがする。
やっぱり、家の中に花があるっていいな。
大野木先生と九条さんのお宅に伺うと、家のあちこちにさりげなく花が一輪飾ってあって、それが凄く心地いいんだよね。
家をリフォームするとき、花の置き場も考えて設計してもらったって九条さんが仰ってて、なるほどなあって。
遥君は「水をかえるのちょっとめんどくさいかなー」って言ってるけど、やっぱり一カ所くらい、いつも花を生ける場所があってもいいかもしれない。
遥
2019/09/02
俺、今日は今年初めてのかしわ餅を食べた!
近所の和菓子屋で、仕事帰りに深谷さんが買ってきてくれたんだけど、桜餅からかしわ餅へのスイッチが早い!
和菓子屋さんって、季節に敏感じゃなきゃいけないから大変だよね。
俺、あんまり和菓子って食べないほうだったんだけど、深谷さんが和菓子党だから、前より色々食べるようになった。
生菓子っていうの? 季節ごと、色んな形や色の奴があって、綺麗だよね~。
あっ、そうだ。今朝、店の前のプランターのチューリップが咲いたんだ!
まだ二輪だけだけど、春が来たーっ!って感じ。
朝になると開いて、夕方になると閉じるのも、何だか可愛いね。
九条
2019/09/02
でも、大野木先生が何げなく「来年の桜は……」と仰るたび、何だか嬉しいです。
来年も、二人共が健やかに、また一緒に桜を見られますように、と心の中で祈っています。
毎日共にあることが当たり前だと思わないよう、一日一日を大切に生きなくては……と、桜のはかなさに触れるたび、思いを新たにするんですよね。
とはいえ、毎日を充実させようと躍起になるのではなく、ごく自然に、何げなく、自分の大切なものを見失わないように生きていけたらなあ……などと考えていたら、「どうした?」と出勤直前の先生に心配されてしまいました。
ふふ、そんなふうに考えてしまうことが、既に肩に力が入ってしまっていたかもしれません。
毎朝、毎晩、笑って挨拶ができるように。仲良く、そんなさりげない日々を重ねていきたいですね。
知彦
2019/09/02
遥君は、朝から頑張ってバースデーケーキを焼いてくれた。
僕のリクエストで、苺をたっぷり挟んだ、生クリーム控えめな奴だ。
九条さんは素敵な花束と一緒に、蛤を持って来てくださった。我が家の新しくなったキッチンで、ささっとお吸い物とぬたを作って寿司に添えてくださって、びっくり。
手早くて、しかも美味しい季節の味! さすがだなあ。
大野木先生からは、凄くよく切れそうな爪切りをいただいた!
自分の指先をきちんと整えておくのは、理学療法士としては凄く大事なことだ。爪切りにお金をかけるって発想はなかったから、ドキッとした。大事に使います!
みんなでにぎり寿司を食べて、遥君特製ケーキを食べて、UNOをして……。
何だか高校生の修学旅行みたいだけど、楽しかったな~。
遥君からは夜に、プレゼントとして新しいパジャマをもらった。遥君がギュッとされたいような肌触りの良い布地なんだそうだ。……じゃあ、何て言うか、早速……?
甫
2019/09/02
九条を起こさないようにベッドを出て、ホットミルクでも飲んで寝直すか……と思ったら、レンジの音で九条が起きてきてしまった。
さっきの俺の努力は何だったんだ……いや、それより悪いことをした。
結局、二人でメープルシロップを少しだけ垂らしたホットミルクを飲んで、しばらく話をした。
九条は俺が何か悩んでいるのではないかと心配してくれたようだが、大したことではないんだ。
明日、遥宅である深谷の誕生日祝いに、何を持参したものかと。
今日、仕事帰りにデパートに行ったが、ピンとくるものがなくて手ぶらで帰ってきてしまった。
九条は既に花にすると決めていたから、こころよく俺の相談に乗ってくれた。おかげでどうにか候補の品が決まって、安らかに眠れそうだ……。
九条
2019/09/02
ただ、お昼のお弁当にちょっとした細工をしてみました。
おかずを全部下に配置して、上にご飯を並べ、蓋を開けたときは、白いご飯しか入っていないように見せる……という古典的なアレです。
でも、大野木先生はとても狼狽えられたそうで、ある意味、悪戯成功、ですかねえ。食べ物で遊ぶんじゃないと、軽く叱られてしまいましたが。
今夜はお稽古帰りのいつものデートだったので、食事の後、今度こそ夜桜を見ながらのんびり散歩してきました。
わざわざお花見に行くのもいいのですが、小さな公園や街中の桜を眺めながら家へ帰るというのが、僕はたまらなく好きなんです。
勿論、そっと手を繋いで、ね。
遥
2019/09/02
だけど、寝る前に深谷さんが、「何もなければないで、ずっと『いつかな、いつかな』って身構えちゃって、何だか無駄にくたびれたなあ」って笑ってて、えええー!?
な、何かしたほうがよかったかなあ……。
でも、深谷さんも何もしてこなかったし、俺もちょっとだけ警戒してたから、おあいこだよね!
兄ちゃんとこは何か……いや、二人ともオトナだから、さすがにないか。
いや、兄ちゃんはともかく、九条さんは大人っぽく見えるだけだから、実は何かやったかも!?