ユウウツな誘惑
書籍紹介
仕方ないでしょーよ ……お前が欲しいんだから
親が再婚した和紗は、義兄・俊介のファンの上原に「弟にふさわしくない」と追いかけ回され、いちいち癇に触る。とうとうどっちが俊介にふさわしいか、勝負することになって!?
立ち読み
「ま、細かいことはおいといて」
上原は涼しい顔でそう切り上げると、脱力した和紗に再び右手を差し出した。
「ほれ、早よ出せ。山下和紗」
「氷室だ!」
和紗が怒鳴り返したものの、上原は意に介さず、今度は両手を前に差し出してひらひらと振る。
「どっちでもいいでしょーよ。とにかく、さっき返ってきたはずの数1の小テスト、早く出しな」
思わぬ話に、和紗はあんぐりと口を開ける。
「は? お前何言ってんの。何で俺のテストをお前に見せなきゃならないんだよ」
「お前、ホントに話を聞いてなかったのな。もう一回言うぞ。俊介先輩の弟として少しはふさわしい成績になったのかどうか、この上原将樹様が判定してやるから、早く見せてみっつってんの」
「何だよ、それ。意味わかんねーよっ!」
「わかんなきゃわかんないでいーから、とにかく見せろ」
「大きなお世話だ! 大体昼飯食いに行くのに、答案用紙なんか持ち歩く訳ないだろ!」
「ま、それもそうだな」
上原はこれまたわざとらしく顎をしゃくると、腹立たしいほど爽やかな笑顔になった。
「じゃあ、取ってこいよ。待っててやるから。優しいなー、俺」
「ふざけんな! お前に見せるような答案用紙はねーよ!」
上原は涼しい顔でそう切り上げると、脱力した和紗に再び右手を差し出した。
「ほれ、早よ出せ。山下和紗」
「氷室だ!」
和紗が怒鳴り返したものの、上原は意に介さず、今度は両手を前に差し出してひらひらと振る。
「どっちでもいいでしょーよ。とにかく、さっき返ってきたはずの数1の小テスト、早く出しな」
思わぬ話に、和紗はあんぐりと口を開ける。
「は? お前何言ってんの。何で俺のテストをお前に見せなきゃならないんだよ」
「お前、ホントに話を聞いてなかったのな。もう一回言うぞ。俊介先輩の弟として少しはふさわしい成績になったのかどうか、この上原将樹様が判定してやるから、早く見せてみっつってんの」
「何だよ、それ。意味わかんねーよっ!」
「わかんなきゃわかんないでいーから、とにかく見せろ」
「大きなお世話だ! 大体昼飯食いに行くのに、答案用紙なんか持ち歩く訳ないだろ!」
「ま、それもそうだな」
上原はこれまたわざとらしく顎をしゃくると、腹立たしいほど爽やかな笑顔になった。
「じゃあ、取ってこいよ。待っててやるから。優しいなー、俺」
「ふざけんな! お前に見せるような答案用紙はねーよ!」
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