エンゲージ・ハプニング
書籍紹介
色仕掛けのためにきたんだろう?
超貧乏人の幸紀に、莫大な遺産相続の話が舞い込んだ。ただし、その富豪の 外孫・諒人との結婚が条件という、とんでもないもので!?
立ち読み
「幸紀……!! おい、幸紀……っ」
ゆさぶられて、ふっと目が覚めた。あ、眠ってたのかと思った。
「何やってるんだ、こんなところで……!!」
「……」
幸紀は諒人の名前を呼んだつもりだったけれども、唇が震えて声にならなかった。
諒人は幸紀の頭や肩につもった雪を払いのけ、頬にふれる。その手がじんわりと温かかった。
「こんなに冷たくなって……っ、なんで先に船に乗ってないんだ……!」
「……って……出ちゃったし」
諒人を待っているうちに、出航してしまったのだ。
「それにしても、もっと温かいところで待ってるとか、どうせ出航したと思ったんなら家に帰るとか、……こんなに冷たくなって……」
だって、ここを離れたら諒人が来てもわからなくなる。帰ったらすれ違いになる。
怒ったように言いながら、諒人は自分のコートを脱いで幸紀に着せかけ、マフラーを幸紀の首に巻きつけた。
「俺が来なかったら、どうするつもりだったんだ」
「だって……絶対来ると思ったから」
だから待ってた。でも、それは半分くらい嘘だ。絶対来ると思ったけど、本当は凄く不安だった。
ゆさぶられて、ふっと目が覚めた。あ、眠ってたのかと思った。
「何やってるんだ、こんなところで……!!」
「……」
幸紀は諒人の名前を呼んだつもりだったけれども、唇が震えて声にならなかった。
諒人は幸紀の頭や肩につもった雪を払いのけ、頬にふれる。その手がじんわりと温かかった。
「こんなに冷たくなって……っ、なんで先に船に乗ってないんだ……!」
「……って……出ちゃったし」
諒人を待っているうちに、出航してしまったのだ。
「それにしても、もっと温かいところで待ってるとか、どうせ出航したと思ったんなら家に帰るとか、……こんなに冷たくなって……」
だって、ここを離れたら諒人が来てもわからなくなる。帰ったらすれ違いになる。
怒ったように言いながら、諒人は自分のコートを脱いで幸紀に着せかけ、マフラーを幸紀の首に巻きつけた。
「俺が来なかったら、どうするつもりだったんだ」
「だって……絶対来ると思ったから」
だから待ってた。でも、それは半分くらい嘘だ。絶対来ると思ったけど、本当は凄く不安だった。
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