過激にエスケープ
書籍紹介
欲しいものは奪い取るのが、魔王の息子の信条
二代前の魔王の息子・ナダの時間旅行中に気に入られ、お持ち帰りされそうになったシキュリール。魔王の息子同士力が互角でへたに争えない統摩は、シキュリールを連れて人間界へ。手ごわいライバルの出現で、少しだけシキュリールに優しくなった統摩だけど――!
立ち読み
「んぎゃっ!」
横着して自分で飛ばないことに慣れてしまったせいか、いきなり放り出されて慌てふためいてしまう。
羽を広げて飛べばいいだけの話なのに、突発事項に弱いシキュリールは動揺してジタバタと手足を振るだけだった。
「と、統摩ぁ~っ」
「チッ!」
小さく舌打ちをして駆け寄ろうとする統摩よりも早く、どこからともなく忽然とナダが姿を現す。
シキュリールの腰を掴み、それ以上の落下を止めた。
統摩は鼻先でナダに掠め取られた形だ。
とりあえず痛い目を見なくてすんだシキュリールは、ホッとしながらも複雑な表情を浮かべる。
「ありがと…と言うべきなのか……?」
「言うべきだな、当然。危ないところを救ってやったんだから」
「むーん」
シキュリールは口をへの字にして唸った。
こういう押しつけがましくも偉そうなところなど、統摩によく似ていると思わずにはいられない。
助けられても、素直にありがとうとは言えない感じだ。
そもそもあの突風だってナダが起こしたとしか思えないのだから、危険な目に遭わせた張本人に礼を言うのは間違っている気がする。
「やっぱり言わない。それによく考えたら、俺、自分で飛べるし」
「よく考えないと飛べないのか? 今まであまり淫魔とは交流がなかったんだが、こんなのだったかな?」
「こんなのって…なんかムカつく……」
横着して自分で飛ばないことに慣れてしまったせいか、いきなり放り出されて慌てふためいてしまう。
羽を広げて飛べばいいだけの話なのに、突発事項に弱いシキュリールは動揺してジタバタと手足を振るだけだった。
「と、統摩ぁ~っ」
「チッ!」
小さく舌打ちをして駆け寄ろうとする統摩よりも早く、どこからともなく忽然とナダが姿を現す。
シキュリールの腰を掴み、それ以上の落下を止めた。
統摩は鼻先でナダに掠め取られた形だ。
とりあえず痛い目を見なくてすんだシキュリールは、ホッとしながらも複雑な表情を浮かべる。
「ありがと…と言うべきなのか……?」
「言うべきだな、当然。危ないところを救ってやったんだから」
「むーん」
シキュリールは口をへの字にして唸った。
こういう押しつけがましくも偉そうなところなど、統摩によく似ていると思わずにはいられない。
助けられても、素直にありがとうとは言えない感じだ。
そもそもあの突風だってナダが起こしたとしか思えないのだから、危険な目に遭わせた張本人に礼を言うのは間違っている気がする。
「やっぱり言わない。それによく考えたら、俺、自分で飛べるし」
「よく考えないと飛べないのか? 今まであまり淫魔とは交流がなかったんだが、こんなのだったかな?」
「こんなのって…なんかムカつく……」
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