空と海
Side.B
書籍紹介
誘ってみろよ
夏休みを別荘で楽しむ空と海。そこへ突然現れた阿久津の真意とは……。急展開の学園純愛物語サイドB。
立ち読み
「ほら、手を出して、海」
が、そこではたと迷い、
「宝珠さーん、どっちの手でしたっけー」
と宝珠を振り向いた。すかさず純の手が省吾の頭を叩いた。
「左手に決まってんだろ、ばか。婚約指輪なんだから」
ムッとして純を睨んだ省吾は海の耳に囁いた。
「左手だって」
思わず笑いを洩らした海は、おずおずと左手を空に差し出した。
「絶対に一緒になろうな」
そう言って、空は海の薬指に指輪を嵌めた。それはカットの入った銀の指輪だった。
「海も一言空に言ってやってくれ」
と純が言った。海は俯いて、
「ほ……本当に……僕でいいんですか?」
と小声で言った。
「え? 何? 愛してるって?」
直樹がからかうように言った。海は真っ赤になって空の腕で顔を隠した。空が口を尖らせて直樹を睨んだので、一臣が代わりに言った。
「直樹、空をからかうのはいい。だが、海をからかうな。行事が進まない」
しかし、直樹は惚けて応じた。
「あれ? 違った? 空耳か? 俺、空を愛してるからさ。空が聞きたい声が聞こえたのかもしれないな。一心同体ってやつかな?」
が、そこではたと迷い、
「宝珠さーん、どっちの手でしたっけー」
と宝珠を振り向いた。すかさず純の手が省吾の頭を叩いた。
「左手に決まってんだろ、ばか。婚約指輪なんだから」
ムッとして純を睨んだ省吾は海の耳に囁いた。
「左手だって」
思わず笑いを洩らした海は、おずおずと左手を空に差し出した。
「絶対に一緒になろうな」
そう言って、空は海の薬指に指輪を嵌めた。それはカットの入った銀の指輪だった。
「海も一言空に言ってやってくれ」
と純が言った。海は俯いて、
「ほ……本当に……僕でいいんですか?」
と小声で言った。
「え? 何? 愛してるって?」
直樹がからかうように言った。海は真っ赤になって空の腕で顔を隠した。空が口を尖らせて直樹を睨んだので、一臣が代わりに言った。
「直樹、空をからかうのはいい。だが、海をからかうな。行事が進まない」
しかし、直樹は惚けて応じた。
「あれ? 違った? 空耳か? 俺、空を愛してるからさ。空が聞きたい声が聞こえたのかもしれないな。一心同体ってやつかな?」
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