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飼い猫は彪

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書籍紹介

終わらない狂気こそが、愛

公園で拾った彰広を居候させ、己が経営するホストクラブで働かせる亮一。
ナンバーワンとなった彰広に執着されているのを知り、
内心「猫」と呼びながら彼を振り回しては、その心身が蝕まれていくのを眺めて快感を覚えていた。
だが他店でナンバーワンだったカズキが現れ、二人の関係に変化が訪れる。
侮っていた彰広が突如牙を剥き、歪んだ高揚にまみれた日常が崩れだす──。

立ち読み

「……随分余裕だな、亮」
 手に持っていたタオルで乱暴に頭を拭いながら、彰広は感情を宿さない暗い目で、亮一を見下ろした。まるで脅すような響きの含まれたその言葉に、亮一は噴き出しそうになるのを堪える。
「薄々こんな日が来んじゃねぇかとも思ってたからな」
 飼い猫が起こした、ささやかな抵抗。
 だけどそれは結局甘噛み程度のもので、却って自分の首を絞めることになるのだと、身を以って思い知らせてやろう。
 亮一はいつもの笑みを浮かべたまま、捕食前の肉食獣が舌舐めずりをするように、ぺろりと唇を舐めた。
「来いよ、アキ。……ヨくしてやるよ」
 暫く黙り込んでいた彰広だったが、持っていたタオルを傍らに投げると、つかつかと亮一に近づいてきた。
 新たに加わる体重に、ぎしりとベッドが軋む。
 亮一は、気付かない。
 自ら進んで、獣の口の中に頭を入れてしまったと言うことを。
 彰広の目に一瞬宿った欲情の光が、確かに「雄」のそれだと言うことを。
 ──獣は。飼い主がそれと気付かぬうちに、ゆっくりと牙を剥いた。

「……ん……アキ……これ、いい加減外せよ……これじゃあ俺は何もできねぇだろーが」
 緩やかにやってくる悦楽の波に僅かに息を荒くしながら、亮一は結ばれた腕を揺らして、見下ろした先にいる彰広に訴える。
 だが彰広は作業に熱中しているのか、はたまた聞こえていて敢えて無視しているのか……恐らくは後者だろう……舌を動かすのを止めようとはしない。
(まじで猫みてぇだな……)
 亮一は、まるで母の乳を必死に吸おうとする子猫のように、自身の性器を口内で愛撫する彰広に、思わず小さな笑みを漏らした。そう思えば先程のくすぐったいばかりの舌で体のあちこちを舐めていたのも、まるで子猫が小皿のミルクを舐めているようだった。
(仕方ねぇ……こうなったら満足するまで好きなようにさせてやるか)
 亮一は早々と説得を諦めて、手を動かすのを止めた。そのまま身を任せるようにして全身の力を抜き、彰広の様子を眺める。
 今の彰広なら、このまま自分で自分の尻穴を解して、亮一自身を入れるくらいはやりかねない。ずっと抑制していた想いが耐えきれなくて爆発したのだから、その反動が余計に彰広を積極的に動かしているのかもしれない。
 それならば、彰広が一人で忙しなく動いている様子を、ただ鮪の状態で観察しているのも悪くない。
 彰広の口淫は、亮一が思っていたよりも悪くない。流石男同士と言うべきか、感じるポイントを外さずに攻めてくる。しなれて無いこともあって、亮一が過去に付き合っていた百戦錬磨の水商売の女達(ただし可奈を除く)には及ばないが、まぁ及第点はやれる。
 程無くして、亮一の絶頂が近づいて来た。
「……アキ、お前そろそろ口離せよ。……流石にこんなにされりゃあ、俺でもイく」
「………………」
 膝の辺りで軽く彰広の脇をつついて口を離すように促すが、一向に止める気配がない。どうやら、まずは亮一を一度イかせなければ気が済まないようだ。
(……どっちかっつーと口ん中で出すより、顔射のが視覚的にエロくて好きなんだけどな……アキに完全に主導権握らせてる今じゃ、難しいか)
「……くっ!」
 ぼんやりと、くだらない物思いに耽っている間に、歯で決定的な刺激を与えられ、亮一は僅かに顔を歪めながら、一瞬ぴくりと体を跳ねさせ彰広の口の中で達した。
 久々の射精感。そう言えばこの所忙しさにかまけて、まともに抜いていなかった。……どうりでいつもより早い。
 亮一は頬を僅かに上気させて目を細め、何処か甘いため息を吐くと、束の間、快感の余韻に酔いしれる。
(……そーいや、アキは口ん中の奴どーしたんだ?)
 ふと視線をやると、口内に放たれた液体を気に掛ける様子もなく、真っ直ぐに亮一を見つめる彰広と目が合った。
 思わず、息を飲んだ。
 まるで亮一の全てを焼き付けようとしているかのような彰広のその目は、亮一が意識を失う前に見たのと同じ、何の感情も読み取ることのできないものだった。
 光を感じさせないその真っ黒な瞳は、激しい熱情の炎が灯っているようにも、ただ何もない暗い深遠が広がっているようにも見える。
 ぞくりと、肌が粟立つのが分かった。
 それは未知なものと遭遇したことへの、恐怖の感覚と似ていた。
 ──だが。
「……………」
 彰広は変わらぬ表情のまま、こくっと音を立てて、躊躇いも無しに口の中に放たれた白濁を嚥下する。
 嚥下に合わせて喉ぼとけが動くその姿につられるように、亮一は口内に湧き上がってきた唾を飲み込んだ。
 恐怖の感覚と性的興奮は酷似しているという話を、何かで聞いたことがある。亮一は今、その事実を身を以って経験していた。
「……アキ、これだけやりゃあ、もう十分だろ。手ぇ解いてそろそろ俺にさせろ」
 亮一の声色には、自分でも分かるくらい、はっきりと欲情が現われていた。
 この目が、快感でどろどろになるまで感じさせてやりたい。
 無表情なぞ保てなくなるくらいまで喘がせてやりたい。
 溺れさせてやりたい。
 今以上にこの自分に。
 そんな想いに囚われる亮一の頭は、彰広の様子が余りに普段と違うことには気付かない。
 彰広は亮一のそんな姿を暫く眺めていたが、やがてポケットから何かを取出し、手のひらに塗った。
「…………その必要は無い」
「…っ」
 不意に、想像もしなかった部分に感じる、冷たい感触。
 それがジェル状の何かを塗った、彰広の指だと分かるまで、暫く掛かった。理解した瞬間、さっと興奮が冷め、初めて想定していたものと別の可能性に気付く。
「……アキ、お前」
「──お前らしくもなく鈍いな」
 無表情の彰広の顔に、笑みが浮かぶ。
 口の片端を上げて嘲笑するようなそれは、誰かがよく浮かべるものと酷似していた。
 獲物を前にした、肉食獣の笑み。

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