運命の軛を壊して -オメガバース-

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本価格:715(税込)

  • 本販売日:
    2018/12/10
    電子書籍販売日:
    2019/01/25
    ISBN:
    978-4-8296-2658-0
書籍紹介

オメガの本能に従え。

大学助教の保はオメガの性には甘んじないと発情抑制剤の研究に没頭するが、
ついに迎えた発情期に抗えず男達に襲われてしまう。
そんな保を助けた男はアルファだった。彼・門脇にいたわるように触れられキスされて、陶酔する。
彼は運命のつがいだったのだ。抱かれてもなお、つがいとなることを拒否する保を見守る門脇。
やがて薬の開発が間に合わないまま、二度目の発情期が訪れ……。

立ち読み

「すぐに、この身体を慰めなくてもいいのか」
 そんな囁きとともに、熱く疼いていた部分に男の指が押しこまれる。
「っう!」
 大きく保の身体が跳ね上がった。男たちにもてあそばれたことで火をつけられた身体は、車で運ばれている最中にも沈静することができず、むしろ熱く昂ぶるばかりだった。
 そんな身体で一番疼くところを、直接刺激されるのだからかなわない。男の指がゆっくりと抜き差しされるたびにぞくぞくと身体が震え、もっと刺激を欲しがって中がうごめいてしまう。
 そんな身体の要求に応えて、男の指が二本に増やされた。
「っんぁ! ……あ、あ、あ」
 一段と存在感を増した指の刺激に、大きく声が漏れてしまう。こんなことを許したくないのに、与えられる快感は圧倒的だった。悦楽とともに、とろとろとそこから熱いものがあふれ出してしまう。
「ッダメ、……だめ、だ。あ、……や……ッ」
 拒んだのは嫌悪感からというよりも、その指が巻き起こす快感があまりにも強かったからだ。
 指が抜き差しされるたびにガクガクと腰が揺れ、頭が真っ白になるほどの快感が押し寄せてくる。
 男はもっと保を感じさせたくなったらしく、雑にまとっていた白衣を引き剥がして、そこでツンと尖っていた乳首に顔を埋めた。
「っう! ぁ! ……あ、……あ、あ、あ、あ」
 小さな粒で、生温かい舌を感じる。その直後に軽く吸われただけで、そこから広がる快感の強さにのけぞるしかない。
 乳首への刺激に合わせてひくひくと全身が震え、指をくわえこんだ襞もうごめく。自然と腰が揺れて、中にある関節の位置まで思い知る。
「あ、……ダメ、……ダメだ、から……っ」
 快感に押し流されたくなくて必死になって訴えたのに、男の動きは止まらなかった。
 乳首を舐めしゃぶりながら、また指が奥まで押しこまれる。二本揃えられた指の存在感は想像以上に大きく、保の性感を掻き乱した。その指を抜き差しされながら乳首を舐めたり吸ったりされているだけで、保はあっという間に限界近くまで押し上げられる。
「っや、……ぁ、……ぁ、あ、あ! ……あ、あ、あ!!」
 止めようとする間すらなく、いきなりがくがくっと腰が突き上げるように震えた。たまらない快感とともに、ペニスがジンと痺れる。
 ──え? 俺、イった……?
 射精の快感に息を呑んだ後で、中のひくつきとともに、少しずつ全身から力が抜けていく。だが、男は中に入れた指を抜いてくれない。
 男はその指によって、保が達したのをよりリアルに感じ取ったらしい。
「イったのか」
 愛おしむように囁かれながら軽く指を動かされて、保は悲鳴を押し殺した。イったばかりの襞は刺激に極端なほど弱くなっていて、わずかな刺激を何十倍にも増幅させる。
 知らない男の指で、こんなにも容易くイかされるなんて、考えたこともなかった。
 男がどれだけ自分にさげすんだ視線を向けているかと思うと、心が冷える。
 ひどいことを言われそうな気がして男の顔を見ることはできなかったが、そのとき、男の手が保の頬を包みこんだ。何をされるのかわからないまま顎を固定されて、全身が硬直する。
「ッン」
 唇に何かが触れた途端、反射的に口を閉じたから、ガチンと歯がぶつかった。その衝撃に狼狽してすくみあがると、男が笑った気配があった。
「キスは、初めてか?」
 キスをされたのだと初めて気づいて目を見開いたが、男の顔はすぐそばに寄りすぎていて、その表情を見定めることができない。
 それでもその声の柔らかな響きに驚いていると、先ほどよりも慎重に唇が触れてきた。
「ッン」
 保の唇の弾力を味わうように、触れあうだけのキスが繰り返される。それでも唇から広がる痺れに、肌がぞくぞくした。
 ──俺、……キス……してる。
 キスすら初めてだ。他人の唇がこんなふうに柔らかいなんて知らなかった。
 ──それに、……何か、すごい興奮する。
 もっと男の唇の感触を確かめたい思いで自然と唇が開くと、男の舌が入ってくる。舌をからめられた瞬間に、体内にぞくっと甘ったるい熱がわき上がった。
 全身の細胞が一気に活性化して、ざわめく感覚がある。
 こんなふうになるのは、初めてだ。
 ──何……?
 自分の身体が自分のものではなくなるような恐怖があって、保は男の手から逃れて顔を背けた。
 キスをしただけなのに、どうしてこのような熱が体内に生まれるのかわからない。だけど、のどがひりついてひどく渇く。どうにも逆らえない本能レベルで、男のキスをもっと欲しがってしまう。
 そんなふうに感じたのは保だけではないらしく、男のキスを拒むために腕を突っ張りながら見上げると、男のほうも驚いた顔をしていた。
「見つけた」
 そんなふうに言われる。
 アルファとオメガは、運命で結ばれたつがいをDNAレベルの相性によって見つけ出す。
 そんな記憶が、保の頭に蘇る。まさか、これが──まさに彼がそうだというのだろうか。
 何も答えられないでいる間にまた唇が寄せられ、舌を押しこまれる。その熱い感触を感じ取っただけで、保の舌もそれを待ちかねていたかのように絡みついてしまう。
「……っふ、……ン、……ン……っ」
 熱い口腔を男の舌が掻き回すたびに、背筋を強い痺れが広がった。男の唇や舌の感触や唾液の味まで心地よくてならず、頭がボーッとする。何も考えられなくなるほど、キスに溺れていた。
 口腔から漏れ聞こえるちゅくちゅくとした水音が、遠く聞こえた。唇から全身が甘く溶け落ち、この男と関係を結べと命じてくる。このまま発情期の欲望に流されてしまえと、そそのかす声が脳内から聞こえてくる。
「……ン……っ」
 キスだけで、こんなふうになるとは思わなかった。乱暴なだけの、学生による愛撫とは明らかに違う。
 それでも運命に流されたくはないとあらがおうとする自分も、どこかにはいた。
 自分はこの男のことを何も知らないし、この男も自分のことを知らない。ただDNA上の相性に流されて、関係を結ぶなんてない。
 それでも、男によるキスはあらがえないほど保を酩酊させた。

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