鬼哭繚乱

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本価格:649(税込)

  • 本販売日:
    2012/08/10
    ISBN:
    978-4-8296-2536-1
書籍紹介

俺にくれ。お前の心を、俺にくれ……!

小さな村で守り神として崇められる桜の精霊・清音は、矢傷を負った国主の曉景を助けた。ところが、その愛情深さに魅了されて執着を募らせた曉景は、村人達を人質に取って清音を犯し、城へ攫ってしまう。まるで己の想いを孕ませるかのように抱く曉景に、いつしか清音は、今まで知ることのなかった感情を覚え始める。だが国主の座を狙う曉景の義弟に、本体である桜を切り倒され…!

立ち読み

「清音…、清音…!」
わなわなと震えていた曉景が、ぎゅっと目を瞑り、逞しい肉体を押し付けるように清音をかき抱いた。
胸が押し潰されて息が出来ない。苦しさのあまり開いた口から、熱くてぬるりとしたものが入り込んでくる。
「ん…、ん、ふぁ…っ」
とっさに逃げる清音の舌をやすやすと捕らえ、絡まるのは曉景の舌だ。
混ざり合った互いの唾液と共に、咆哮するような曉景の熱情が奔流となって押し寄せ、燃え上がる。曉景の精を受け容れさせられたあの時と同じ──いや、それ以上だ。
無残に散らされた初物の蕾はすっかり治癒しているのに、心が覚えている。抵抗を捩じ伏せ、入り込んできた一物の大きさを。今まで当然だと思っていたものを覆され、塗り替えられた灼熱の瞬間を。
ぞわり、と背筋に震えが走った。曉景の股間は下帯と袴に包まれていてもわかるほど盛り上がり、清音の腹を押してくる。
唇を貪られるだけでこれなのに、またあの大きな一物を入れられたら、一体どうなってしまうのだろう。胎内で精を出されたら、今度こそ清音は孕まされるかもしれない。熱の塊のような、この男そのものを。
欲しい、苦しい、寂しい、切ない、憎い、愛しい。
清音の中で荒れ狂う感情は、どれも清音が初めて味わうものばかりだった。こんなに激しい感情を、今まで誰も清音にぶつけたりはしなかったのだ。
滅茶苦茶にされる。打ちのめされ、焼き尽くされそうになる。けれどそれは、不思議なことに、決して不快な感覚ではない。
曉景は未知の感覚に翻弄される清音をやっと解放し、ひた、と視線を合わせた。清音は息も絶え絶えだというのに、呼吸一つ乱れていない。荒れ狂う嵐の海のような瞳の中、戸惑い揺れる清音が今にも飲み込まれそうに溺れている。
「お前に、惚れている…!」
「え…」
「初めて見た瞬間、欲しいと思った。お前はどこの誰とも知れぬ俺にも菩薩のように優しかったから、お前も俺を憎からず思っているのではと浅はかな期待まで抱いた」
「……」
「だが、違った。お前は誰にでも平等に優しかった。誰彼構わず魅了して、そのくせ己に焦がれる視線には気付かない、残酷な魔性だった。だが俺はお前が欲しくて、俺だけのものにしたくて、あのような真似までした。心など、手に入らなくても仕方が無いと思っていた。なのに…」
「あ……っ!」
武骨な手が緩んでいた胸元をがばりと開き、現れた朱鷺色の粒をまさぐる。噛み千切られそうな強さで食まれると、それだけで強い疼きが全身に広がった。
触れ合った肌から流れ込む狂おしいまでの熱情が、清音を内側から蝕み焼いていく。曉景だけしか感じられなくなる。
「俺は、欲しい! お前のその優しさが…心が、欲しい! 俺だけのものにしたい…!」
「あ、あ、と、曉景…っ」
「憎しみでもいい。俺にくれ。お前の心を、俺にくれ…!」
曉景は吼え、清音の帯を乱暴に取り去った。
着せられていたのは女物の小袖で、下帯はつけていない。露になった清音の裸身が、食い入るような視線に晒される。
「曉景…」
応えの代わりに、曉景は震える性器にむしゃぶりついた。

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