終わりのない片想い
書籍紹介
恋愛になったら、駄目になる――
「ずっと一緒にいよう」と約束した幼馴染みの雅義と陽翔。高校卒業を機に、陽翔はいつしか恋慕に変わった気持ちを告白するが、振られてしまう。傍にいるのが辛くなった陽翔は、気持ちの整理をするため一年という期限付きで雅義から距離を置く。想いを忘れようと努めた一年後、再会した雅義は変わらず一番の親友として誰よりも陽翔を大切に扱う。募るばかりの想いが苦しくて……。
立ち読み
「俺には……陽翔、だけなんだ……」
陽翔の手を、自身のこめかみに押し当て項垂れてしまった雅義から、わずかに身を引く。どうして、という言葉が、自然と口を付いて出た。
「どうして……おまえ、そんなに、俺に執着してんの?」
他に友達がいないわけじゃない。この一年で、恋人だって出来ているかもしれない。
それでも雅義は、陽翔という存在に固執する。
「他に、友達なんて……たくさん、いるだろ」
「陽翔だけだ」
絞り出す陽翔の言葉を遮って、雅義ははっきりとそう告げる。
「陽翔なら、判るだろ。俺には、おまえしかいないって……」
「そ、そんなの……わかんねーよ」
「判ってるくせに、なんで俺のこと捨てんの?」
こめかみに当てていた陽翔の手を、顔へと移動させていく。目元から鼻、頬、そして唇に掌が触れた。
柔らかい唇を押し付けられて、寒気に似た感覚が陽翔の中に生まれる。目を細め、どうにかやり過ごそうと思うのに、感覚はすぐに熱へと変わっていく。
「ま、雅義、手を……」
「陽翔だけだ。陽翔がいたから、俺はどうにかやってこれたんだ」
「そ、んなの……知らな……」
「知らない? 本当に?」
「ま、雅義っ!」
掌の上を、雅義の唇が上下に動く。その度に吐息が指の間を吹き抜けるのが堪らなかった。
陽翔の手を、自身のこめかみに押し当て項垂れてしまった雅義から、わずかに身を引く。どうして、という言葉が、自然と口を付いて出た。
「どうして……おまえ、そんなに、俺に執着してんの?」
他に友達がいないわけじゃない。この一年で、恋人だって出来ているかもしれない。
それでも雅義は、陽翔という存在に固執する。
「他に、友達なんて……たくさん、いるだろ」
「陽翔だけだ」
絞り出す陽翔の言葉を遮って、雅義ははっきりとそう告げる。
「陽翔なら、判るだろ。俺には、おまえしかいないって……」
「そ、そんなの……わかんねーよ」
「判ってるくせに、なんで俺のこと捨てんの?」
こめかみに当てていた陽翔の手を、顔へと移動させていく。目元から鼻、頬、そして唇に掌が触れた。
柔らかい唇を押し付けられて、寒気に似た感覚が陽翔の中に生まれる。目を細め、どうにかやり過ごそうと思うのに、感覚はすぐに熱へと変わっていく。
「ま、雅義、手を……」
「陽翔だけだ。陽翔がいたから、俺はどうにかやってこれたんだ」
「そ、んなの……知らな……」
「知らない? 本当に?」
「ま、雅義っ!」
掌の上を、雅義の唇が上下に動く。その度に吐息が指の間を吹き抜けるのが堪らなかった。
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