悪夢のように幸せな
僕なしでは、生きてはいけないんだよ
膝の上で食事を口に運んでもらい、着替えさせてもらって素肌を重ねて濃密な愛撫で親愛の情を確かめ、その証として紅い痕を体に刻んでもらう──。幼い頃に両親を亡くし、親戚である柊慈と暮らす一希は、彼の深い深い愛情に浸り切っていた。だが柊慈の親友で暴力団若頭補佐の功に、無自覚ながら恋心を抱き始める。そんな時、柊慈が功を庇って負傷し、誘拐されてしまい……!
かりりと乳首を噛まれ、痺れるような快感が全身に迸った。
何年もかけて仕込まれたそこは平常時でも心持ちぷくりと膨らみ、ぬれぬれと紅く、少年にあるまじき色香を放っている。今では舌を這わされるだけで甘い疼きが走る立派な性感帯だ。
さっきから虐められているせいで一希の雄は追い詰められ、ぽろぽろと涙を零して限界を訴えている。
功を送り出し、二人で浴室に籠もってからはや一時間は経過しているが、柊慈はまだ一度も直接性器には触れてくれない。いつもなら一希が尻を振ってねだればいくらでもいかせてくれるのに。
「うう…しゅ、しゅうじさん、おねがい…いかせて、…っ」
一希はぷるぷると頭を振りながら懇願した。
両手は自由だが、自ら慰めるという発想は一希には無い。そもそも自慰の経験すら皆無なのだ。
ソコは自分の身体でありながら、自分で触れてはいけない場所。用を足す時は別だが、いきたくなったら必ず柊慈にお願いしなければならない。
精通を迎えた時、柊慈は優しく微笑んで一希の雄をしゃぶってくれた。そして一希が初めて噴き上げた精液を一滴残らず飲み下し、教えてくれたのだ。
何もおかしくなんてない。そう、誰もがしていること。
口に出さないだけで、誰だって家族や親しい人にこうしてもらっているのだ。裸の肌を重ね合わせ、親愛の情を確かめ合っている。
- プラチナ文庫
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