愛人
~このキスは嘘に濡れる~
限られた時間でいい、私の傍にいてくれ
8年間の愛人契約──その代価は、学費と母の莫大な治療費だった。医大生の夕貴は、自分を陵辱し、激しい独占欲で縛りつける医師の的場に反発せずにはいられなかった。しかし、彼を慕っていた頃の気持ちを捨てきれず、淫らな愛撫に啼き、溺れていく。「おまえは私のものだ。だれが手放すものか」クスリに侵され、最奥を穿つ熱と彼が不意に見せる優しさに翻弄される夕貴。そして、的場の執着をどこかで望んでいる自分に気づいて……? エゴイスティックな束縛愛。
どうしよう……。
夕貴は膝頭の内側を摺り合わせる。
嫌だ嫌だと思っていても、慣らされた体は反応してしまう。
乳首での快感は、性器に繋がっていた。快楽に忠実な性器は、下着を押し上げるように大きくなり始めていた。
「う……」
夕貴は、何度も口唇を噛みしめる。
このまま乳首を苛められ続けたら、大変なことになりそうだ。
「ここの反応も、相変わらずだな」
聴診器を乳首に押し当てたまま、的場は左手で夕貴の股間に触れてきた。
下着の中で熟してしまった性器は、手のひらに撫でられて、びくびくと脈打つ。
「やめ……っ」
夕貴は思わず、上ずったような声を出す。
「はしたない子だ。乳首を弄られただけで、ここをこんなに大きくして……」
的場の視線は、夕貴の勃ち上がった性器へと注がれていた。
体の状態はわかっていても、自分を弄ぶ男に指摘されれば、恥ずかしさは倍増だ。
夕貴は咄嗟にそこを隠すように、シャツを下げようとした。
「誰が下ろしていいと言った?」
的場は夕貴の細い手首を押さえて、なおもシャツを上げているように命じてくる。
「……あんた、本当に最低…っ……悪趣味野郎……」
夕貴が毒づいても、的場は平然としていた。
「では、悪趣味がてらに、他の場所も診てやろう。足を開きなさい」
冗談じゃない。
的場を睨みつけていると、彼は口唇の端を上げた。
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