とろけるまで縛って

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本価格:682(税込)

  • 本販売日:
    2016/09/09
    電子書籍販売日:
    2016/10/21
    ISBN:
    978-4-8296-2619-1
書籍紹介

 俺、いいスレイブになれてますか?

思いがけず痛みで快感を得てしまった星卯は、憧れている職場の先輩・波留河に相談した。すると、試してみようと尻を叩かれ、未知の愉悦に身悶えてしまった。恋人が見つかるまで仮の主人(ルビ:マスター)となってもらうも、やがて波留河への恋心を自覚する。彼好みになりたいが、従順にすればするほどその眼差しは冷たくなっていく。その上、想いを伝えても「最低のスレイブだ」と突き放され……。

立ち読み

 「いい子にできたから、お土産だよ」

 鞄の中から取り出されたのは、黒い革製の首輪だった。
「大型犬用なんだ。今日のきみは、犬だ」
 低い声で説明しながら、波留河は星卯の首に首輪を巻きつける。ぴったりくる位置で留め金を嵌められると、かすかな息苦しさでたまらなくどきどきした。波留河は金属の輪に、これも犬用らしい金属の鎖を取りつけて、ぐい、と引っぱった。
「どう? 首輪をつけられて犬になった気分は?」
「……や、じゃない、です」
 よろめいて床に両手をつきながら、星卯は大きく胸を喘がせた。見下ろしてくる波留河の美しくて冷たい眼差しが心地よい。
「縄で縛られるより……こっち、のほうが」
 嫌じゃないなんてどうかしている、とわずかに残った理性では思う。なのにやっぱり嫌ではない。波留河に隷属する身分に──彼のものになったような気がして。
「──嬉しい、です」
 身体を立て直し、素直に答えた星卯に、波留河は軽蔑するような表情で笑った。
「いやらしいね。首輪をつけられて、おちんちんが大きくなった」
「……っ」
「僕は淫乱な子はきらいだ。でも、素直に言えたのは偉いね。ご褒美をあげよう──オナニーさせてあげる」
 波留河は指で星卯の髪を梳いた。そうしながら、靴を履いたままのつま先で、ぐい、と星卯のペニスを押してくる。ぐりぐりと刺激され、星卯の身体は大きく揺れた。
「あ……うっ」
「ここ、あのあと自分でした?」
「しっ、して、ません」
「ドアを開けたとき、もう勃ちかけていたけど、窓から見られるだけでも感じたの? それとも、怒られたくてわざと扱いたのかな?」
「これは……っ、恥ずかしくて、それで……。触ったり、してないです」
「本当に?」
 ごりりっ、とまたつま先で押され、星卯は痛みに呻きながら首を横に振った。
「してないっ……ほんとに、してない、です」
「じゃあいっぱい溜まってるね。ここ、自分で扱いていいよ。そのかわり、射精はだめだ。星卯は犬なんだから、主人の命令には絶対に従わなくちゃならない。僕がいいと言うまで扱かなきゃだめだし、僕がいいと言うまで射精してはいけない。わかった?」
「……わ、かりました」
「勝手にイったらお仕置きだよ」
「──っ」
 無情な宣告に、ぶるりと全身がわなないた。きっと我慢できない。すでに勃起しているペニスを扱いたりしたら、許してもらう前に出てしまう。
 波留河だってわかっているはずだ。それでも、茶番めいていると思う余裕は星卯には残されていなかった。
 お仕置きされるんだ、と思いながら、星卯は大きく脚をひらいた。左手を後ろについて腰を前に出し、右手で自分の幹を握り込む。波留河は数歩後ろに下がって、なんの興味もなさそうな顔で星卯を見下ろしていた。そっと盗み見た股間にも変化はない。
(……波留河さんは……こういうの、好きじゃないのかな。どうせなら、波留河さんの好きなことをしてくれたらいいのに。お仕置きは好きだといいけど……)
 あとで訊いてみよう、と思いながら、星卯は右手を上下させた。張りつめてくっきりと段差のできた雁首のところを避けて、全体的に下から上までを刺激する。射精しないようにと思ってそうしたのだが、単調な刺激でもたちまち先走りが滲んできて、ほどなく、くちゅくちゅと音がしはじめた。
「んっ……ふ、うっ……ん、……っ」
「いい子だ。イきたいのを我慢してるんだね」
「だって……、波留河さんが、イっちゃだめ、って……」
「一番好きなところをいじってごらん。たくさん我慢汁を出すんだ」
「……っ、う、……」
 卑猥な単語を口にされると、身体が勝手にくねってしまう。星卯はのろのろと雁首に触れ、指の輪をせばめて、くびれを捲り上げるように上下に動かした。
「んーっ……は、んっ……は、……ぅ、んっ」
「すごいな、垂れた。その小さい穴を、指でぐりぐりってしてごらん?」
「……、ふ、……は、い」
 そんなことをしたら出る、と涙目になって、それでも星卯は言われたとおりにした。じんじんと疼く鈴口を、人差し指で強く抉る。びくんっ、と大きく身体が揺れて、そうすると我慢ができなくなった。
「はっ……ふあっ……、あ……っ」
 普通のオナニーでは射精できないと悩んでいたのが嘘のように、出したくてたまらなくて、夢中で手を動かした。軽蔑するように波留河の目が細められて、星卯は声を絞り出す。
「はる、かわさ……出、ちゃう……、も、これっ……出、ちゃう……っ」
「僕はいいとは言ってないよ。我慢しなさい」
「だめっ……イ、く……出るっ……」
 出したらお仕置きだ、と思った瞬間に熱が弾けた。びゅっと勢いよく白濁が噴き出し、星卯はなおも扱いて、射精の快感を貪った。気持ちいい。出てる。たくさん出て、波留河さんに叱られるくらい出て、とまらない。
「んんっ……は、あっ……はぁっ……あ、出、ちゃ、った……」
 最後の一滴まで絞り出すように扱くと、波留河が蔑む目つきのままため息をついた。
「僕は我慢しろと言ったんだけどね。そのうち、きちんと射精管理もしてあげないといけないな。今日はお仕置きも兼ねて、少し練習させてあげる。──立て」
 ぐい、と乱暴に鎖が引かれ、星卯はよろめいた。射精の直後で身体は重たかったが、波留河の厳しい眼差しに一瞥されて、ふらつきながら立ち上がる。
 マスターの命令に従っているのだ、と思うだけでも、胃がよじれるような深い満足感があった。犬みたいに扱われるのも、波留河が相手なら嬉しい。
 波留河は再び鞄を開け、中から透明なプラスチックでできた、複雑なかたちの器具を取り出した。
「男性用の貞操帯だよ。射精をできないようにする。これは排泄管理も兼ねているものでね。ゆるめに作ってあるから勃起はできるけど、ここにほら、短い突起がついてるでしょう? 普段はこれを尿道に入れておくから、射精はできないんだ。排尿のときは抜いてするんだけど、マスターの許可がなければ抜いてはいけない」
「そんな……もし、そばにマスターがいなかったらどうするんですか?」
 初めて見る卑猥な道具に星卯が眉を寄せると、波留河は「決まってる」と言った。
「許しがなければ排尿も射精もしてはいけないっていう躾のための道具だよ。近くにマスターがいないなら、スレイブはただ我慢するだけだ」
「……う、」
 嘘だろ、と星卯は思った。おしっこなんか生理現象なのに、我慢だなんて。
 黙ってしまうと、波留河は貞操帯を取り上げて、星卯の性器に触れてきた。びくっと竦んだ星卯を、彼はぴしりと叱る。
「動いちゃだめだ。僕が自ら嵌めてあげるんだから、お礼を言いなさい」
「っ、……、あ……りがとう、ございます……」
 こういうのが、波留河の好みなのだろうか。嫌だったが、星卯はそれでもお礼を言った。
 
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