隣人吸血鬼
書籍紹介
一日一回分の精液が必要です──!?
元モデルの凛大は、冴えない容姿ながら長身の隣人・黒枝にコンプレックスを刺激されていた。けれど、木訥な彼と過ごす時間は心地良く、徐々に親しみを感じ始める。そんな時、黒枝がまるで別人のような雄の魅力に溢れた顔で男に奉仕するのを見てしまう。実は黒枝は吸血鬼で、栄養補給に精液が必要なのだと言う。まったく信じない凛大だったが、飢えた黒枝に“補給”を求められ!?
立ち読み
「食事、なんだよな?」
黒枝が唇を震わせてから、深く頷く。
ベッドのうえに膝をつきながら、申し訳なさそうに訊いてくる。
「……宇佐くん、本当にいいんですか?」
「まぁ、仕方ねぇだろ。あ、でも、もう絶対に店のトイレで入れ食いなんてするなよ。そしたら絶交だからな、ゼッコー」
わざと軽い口調で言う。
──絶交って小学生かよ。
そんな言葉が口を突いて出るぐらい、緊張していた。
女の子にしてもらうのは慣れているし大歓迎だが、男相手となると違和感が半端ない。生理的嫌悪ギリギリのラインだ。
黒枝の身体が大きいせいもあって、こうして圧しかかられると怖いほどの圧迫感がある。でも意地でも怖がっているのは知られたくないから、凛大は枕に頭を載せて、悠々と寝そべってみせた。
投げ出しているスラックスの脚のあいだに、黒枝が片膝をつく。長くてほどよく太さのある腿は引き締まっている。無理に鍛えている身体ではないが、全体的にがっしりとしていて必要な筋肉がきちんとついている。
──理想的なモデル体型だよな……。
妬ましさで胸がチリチリする。
黒枝の下腹部から垂れ下がっているものまで視界に入る。どう考えても自分のものが並で黒枝のものが並じゃないだけなのだが、敗北感を覚えざるを得ない。
そんなどこまでもムカつくスペックの男が、ぬかづくみたいに上体を伏せていく。黒枝の顔が下腹部に近づいていくのを、凛大は瞬きもせずに凝視する。見たくないけれども、視線を外せない。ものすごく変な感じだ。
──ぁ…。
掬い上げる角度で、亀頭に口づけられた。
薄いゴム越しに、唇特有のやわい感触と温かさが伝わってくる。口づけたまま黒枝が伏せていた目を上げた。視線がもろにぶつかる。
慮るような目で凛大を見ているくせに、黒枝の唇は裏腹に卑猥な動きを始める。亀頭をもにゅもにゅと食べられていく。口なら男でも女でも変わらなそうなものなのに、それは明らかに男のしたたかな嬲り方だった。
黒枝に奉仕をされているはずが、なぜかこっちがいたぶられているみたいな感覚に陥る。
「ン…」
凛大は奥歯を噛み締めて、両手ともシーツをギュッと掴んだ。
──なんだ、これ……もって、かれる……。
まだ括れまでしかしゃぶられていないのにもう腰がゾワゾワして、ペニスの中枢が痺れはじめている。痺れが快楽に転がり落ちる寸前で、黒枝が口を離した。
凛大はほっとして、なんとか気持ちと身体を落ち着けようとする。射精するのが目的地だとはわかっているものの、やはり男相手にそうそう感じるわけにはいかないという意地がある。
けれどもまったく落ち着けていないうちに、黒枝が大きく舌を出した。舐められるのかと身構えると、しかしその舌が茎を下から叩き上げた。何度も叩かれて、やわらかな茎がいやらしく弾む。
ふざけた感じに弄ばれているうちに、叩かれている裏筋が強張りだす。茎が見るからに腫れて、叩き上げられなくても頭を宙に浮かせた。
勃起、してしまっていた。
「ゴムのなかがいっぱいになってきました」
見ればわかることを説明して、黒枝が口を先端に寄せた。すぼめられた唇の輪に、先端から包みこまれていく。きつく締められながら巧みな口の動きで、ゴムを根本まで被せなおされた。
深い口のなかにすっぽり性器を収められ、凛大から見ると黒枝が陰毛に顔を埋めているような図になる。男にそうされているせいだろう……なにか、ペニスがなくなってしまったような、女になってしまったような錯覚に陥る。怖さと恥ずかしさに心臓がドッドッと打つ。
「ぁ…、あ…、嫌だ、俺の」
口を外させたくて、黒枝の頭を両手で掴んで押し退けようとする。見えないペニス全体を温かい粘膜できゅうっと締めつけられた。そのまま揉みこまれる。
「ああ、あ、あ」
強張った腰が浮き上がりきったところで、急に粘膜から解放された。勃起しきったものが露わになる。薄い膜に潰された茎が、別の生き物みたいに大きく身をくねらせる。
黒枝が顔の角度をゆっくりと変えながら観察する。
「宇佐くんは濡れやすい体質なんですね」
ゴムのなかには大量の先走りが溜まっていた。いまも溢れている。
同性で同僚で隣人の黒枝に弄ばれて、消え入りたいレベルで恥ずかしい。きっと、それが表情に出てしまっているから、腕で斜めに顔を隠す。
「やく……はやく、終わらせろ」
怒り声で言うと、黒枝が「わかりました」と素直に答えた。そうしてすぐにまた、ペニスに齧りついた。
今度は先端から根本までを、唇の輪がねっとりと行き来しだす。凛大の腰はそれに合わせて露骨に上下に揺れた。脚がつま先まで強張る。
もう刺激は充分すぎるぐらい充分で、もしこれが女の子相手だったらとっくに射精していただろう。でもどうしても、最後の一線を越えられない。男の──黒枝の愛撫で果てるのはハードルが高すぎる。
そのせいで、イく寸前の快楽が延々と続いていた。気持ちよすぎて、つらい。身体がビクビクと跳ねつづける。もうとても耐えられなくて、凛大は上体をよじって逃げようとした。
「なぁ、待って──俺、やっぱ、無理」
そう訴えるのに、黒枝はやめてくれない。激しく頭を前後に動かしながら、凛大の左胸へと手を這わせてきた。
「ぇ…」
ミネラルウォーターで濡れてなかば透けているワイシャツのうえから乳首に触られた。ほんの小さな粒を親指と薬指でやんわりと摘まれる。指先を擦り合わせるかすかな動き。
「う、そ」
わずかな刺激のはずなのに、胸から下腹部へと熱いものが線を引いてドッと流れた。ペニスが大きく跳ねる。
「や…ぅ…あ、ああ、ぁ、……ぁ」
自分のものとは思えない、いかにもなイくときの声が部屋に響く。
黒枝の口のなか、ゴムの先端部分へビュクビュクと重い体液を噴いていく。果てている最中も、乳首を優しく擦られつづける。
残滓まで搾り出すように、根本から先端に向けて、何度も口で扱かれた。
「も…出ない」
おすすめの関連本・電子書籍
- プラチナ文庫
- 書籍詳細