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溺愛凶神さま、土蔵に監禁さるる

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書籍紹介

 思いきり甘やかされるがよい

 神さまから見放され没落した松末家。進学費用を自分で工面する破目になった跡取り息子の桂衛は、消えた白蛇さまを探しに裏山の祠へ…。そうして、しきたりに則って土蔵に監禁したのは、赤い髪に緋色の着物…獣じみた、だがとても男前の神、尽壽だった。桂衛だけの神さま――人恋しがりの尽壽に身も心もゆるゆるにされてしまう桂衛。ところがひょっこり白蛇さまが戻ってきて……。
立ち読み
 「可哀想で可愛らしい良い子。よしの両親は、よしがいないことにも気づいてくれないのかして、探してもくれない」
「……ぉ、あ……」
 舌をしまわずに喋るから、満足に「親」と言うこともできない。
「その点、尽壽はよしのことだけを考えているぞ」
 尽壽は、お前の為だけに存在する神さまだ。
「っん、あぅ……」
「さぁ、餌だ。よしはまだ人だから、しっかり食べてもらわないと困る」
 洋梨を、唇に押し当てる。
 桂衛は、すっかり熟れてどろどろのそれを、貪る。
 尽壽の手が洋梨を支えているから、桂衛は正座をしたまま、ただ、唇で果肉を味わえばいい。歯を立てる必要もないほど熟したそれを、食めばいい。
「これ、がっつくな」
「ぁふ……ぁっ……ぁあぐ……あぁ、ぅ……ぅう」
「零しているほうが多いではないか」
 ぐちゅ、ぐち。顎先から果肉がぼとり。茎と種だけになるまで、一心不乱。
 肉がなくなれば、物欲しげに尽壽の指を吸う。ちゅく、くち、くちゅ……甘い汁欲しさに、とろんとした眼で、尽壽の指がふやけるまでしゃぶる。頬の裏側を爪先でくすぐられると、こそばゆさに首を竦めて、もっと……と、頬をすり寄せる。
「……ん、ぁぷ」
 ちゅぷ、と指を引き抜かれ、不満げに唇を尖らせた。
「さぁ桂衛、尽壽の気持ちがいくらかなりとでも理解できたか?」
「…………」
「よしもり」
「…………」
「これ、よし、しゃんとせんか」
 ぺちん。頬を叩いた。
「……しゃぶる?」
 それでもまだ媚びた仕種で、尽壽の陰茎を舐ろうと身を屈める。
「違う違う。……ほれ、しゃんとせぇ」
「…………あー……」
「また金庫に閉じこめられたいか?」
「……うん」
「うん、ではなかろうに」
 骨と、皮と、ほんのすこし肉の乗った、若い足。食べると美味そうな足。
 撫でさすりながら、この足がきちんとまだ人のように歩けるかを確かめる。
「……じんじゅ……」
「んー……?」
「おなか、くるしぃ……もっかい、ゆび、いれて……ぐちゅぐちゅして」
「いかんいかん。自らねだるようになっては、貞淑さに欠けるぞ」
「……?」
「小首を傾げても、いかんものはいか……あぁあぁ可愛らしい可愛らしい」
 ぐりぐり。ぎゅうぎゅう。桂衛を抱きしめ、額をなすりつける。
「ぎゅうぎゅう、くるしぃ」
「さようじゃなぁ、さようじゃなぁああ」
 あぁぁあ可愛い可愛い可愛らしい。
 金庫に閉じこめて、一生ぎゅうぎゅうしてやりたい。
 けれども、それではいかんのだ。
「なぁ、よし」
「……なに?」
「受験勉強はいいのか?」
「…………じゅけん」
 鸚鵡返しに呟き、あどけない表情のまま、その言葉の意味を咀嚼する。
「進学費用はどうする? 東京の大学へ行くのだろう? そうそう、奨学金を得る必要もあるのだろう? 学校の先生とやらに質問をするから、今年は早めに寮へ戻るのだろう? 桂衛、それともお前……一生ここで飼われるか?」
 尽壽はたたみかける。
 呪いをかけるように矢継ぎ早に耳元で囁き、現実を思い起こさせる。
「……がっこう」
「さようさよう。学校じゃ。よしはこれから大学へ行くのだろう?」
「……だいがく」
「お勉強が大事だろう?」
「勉強……」
「お前は、なんの為に、神さまを手に入れようとした?」
「……おれの……ため?」
 桂衛が、じわじわと己を取り戻す。
 現実的な言葉を投げかければ、虚ろな瞳が焦点を結び、尽壽が話しかけるのをやめると、また熱に浮かされたような瞳で尽壽を見つめ、きちんと正座する。正座慣れしていない膝骨が、こりこり、ごりごり。青、赤、黄に紫と、まだらな痣を描く。
「だって……さみしい、尽壽……さみしいの、やだ」
「それは尽壽とて同じ」
「…………帰りたく、ない……」
「……では、桂衛、お洋服を着よう」
 はてさて、人の世界ではどれほど時間が経ったかは知らぬ存ぜぬだが、最後に土蔵の中で着ていた服を桂衛に着せ直す。
 四苦八苦してボタンを留めてやり、金魚のように口の開いた陰茎と尻穴を隠すように下着を穿かせ、ズボンに足を通させ、身づくろいしてやる。
「よしもり、間違えるなよ。お前が慕うべきは尽壽で、逆らうべきは人の親ぞ」
「……尽壽?」
「お前、本当に欲しいものはなんだ?」
 学費か、逃げ場か……返答に惑うならば、お前は分かっていないだけだ。
 お前の大事なものがなにか。
「ようようお考えになって、欲しいものが分かったら戻ってこい」
 そうして、桂衛を抱きあげ、扉まで進む。
「なんで、こっち見ないの?」
 なんで、俺を見ないで、扉を見てるの。
「逃がしてあげるのは一度きり。よく考えて、それから決めておいで」
 自由にしてやろう。今日からは元通り、お前の大好きな、お勉強と、受験と、お前を見ない両親と、見栄と欲得にまみれた親戚どもを相手に、独りで耐え忍ぶばかりの日々だ。
「さぁ、お外へ帰してあげよう」
 どさり。土蔵の前の地面に、桂衛を落とした。
「……じ、ん……じゅ?」
 桂衛は、これまでに見せたことのない頼りなげな表情で、尽壽を見上げている。
 可哀想な生き物らしい姿を、さらしている。
「では、息災で」
 桂衛を、土蔵の外へ閉め出した。
 
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