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ハリネズミみたいな君が大好き

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書籍紹介

 自分だけが撫でられるって、可愛いでしょ?

外科医の佐久間は、胃を悪くした建築士の順也が気になっていた。警戒を露わにする彼が、まるでハリネズミのようで可哀想だったのだ。恋人に裏切られたと自嘲する順也のいじらしい素顔を知り、ますますの庇護欲が湧き上がってきた。そんな時、ついに順也が倒れてしまい、その痛々しい姿に佐久間は堪らなくなる。自分の腕の中で、仔猫のように撫でて甘やかして、大事にしたくて……。
 
立ち読み
 (……夜のせいにしよう)
 らしくないことをしようとするのは闇に唆されたせいだ、と。
 二階への階段を上り切ると、バスローブ姿の順也は自分の部屋には戻らずに、佐久間の部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
 パジャマに着替えた佐久間は眠っていなかった。
 読みかけの本を枕の脇に置いて、入ってきた順也が側にくるのを待っている。
「どうしました? なんだか、また身体に針を生やしているような……?」
 そう言われるのも無理はない。
 決意を固めたと言っても、自分から迫るのは勇気がいるし、緊張で身体中が強張ってくる。
 やっぱり…拒絶されるのが怖いのだ。
 傷つくのも怖い。
「……オレ、ハリネズミじゃないですよ」
 奇妙にしゃがれた声が出た。
 順也は佐久間の真ん前に立つと、彼の肩に手を置いた。
 体重をかけて押し倒す。
 シーツに背中をつけた佐久間が、押し掛かった順也を怪訝そうに見上げてくる。視線を反らしたい──が、我慢だ。
「ハリネズミって自分からは攻撃しないって言ってたけど……オレは、しますよ。身を守るだけじゃいられない。だって、人間の男だから」
 上体を屈め、ままよとばかりに口づけした。
 味わうほどの余裕はない。重ねただけで、もう胸がいっぱいだった。
 自分からキスすることに夢中で気づかなかったが、離れようとしたとき、佐久間の腕が身体に回されていた。
 離れられなかった。
 至近距離で見つめ合った──佐久間の美しい瞳に、戸惑った子供のような表情の自分が映っていた。
「攻撃? こんな甘い攻撃は初めてだな」
 恥ずかしさに耳まで熱くなった。
「は…放してっ」
「放したほうがいいの?」
 そう言いながら佐久間が腕を外すと、途端にそこが冷んやりとした。
「ダメ……は、放さないで」
 慌てて順也は囁いた──声がいよいよ不安定に。でも、自分でもどうかと思うほど甘い。
 そんな順也を包み込むように佐久間が下から微笑んでくる。
「それなら、もう放さない。ずっと…ずっと大事にするから。ね?」
 再び腕が回された。
 温かいと思った直後に、ぎゅっと胸に引き寄せられた──ああ、なんて温かく、狭苦しいのだろう。
 溺れそうだ。
 息が出来ないくらいに抱き締められ、このまま死んでしまってもいいと思った。
「ずっと大事に?」
 信じたい気持ちと、信じるのを阻む気持ち。
「みんな、誰だって最初はそう言うでしょ…──そんな一時の感情を言葉にしないほうが良くない?」
「実はね、オレは他の誰にもまだ言ったことがなかったんです。嘘は吐きたくなかったから。だから、何人かの女性を泣かせてしまった」
「悪い人だな」
 悪い人だけれど、彼は悪人ではない──悪人がこんなふうに温かさをくれるはずはない。他の誰か…芦田の抱擁に温められ、寛いだことは一度も…一度として、なかった。
「きみには良い人でいたいな。約束しますよ。ホントに大事にする──オレの無知や不注意で失いたくないって思うから」
 心が、溶けていく……。
 硬い殻で囲った上でトゲまで生やし、他人に近づかれないようにしていたのに……もうダメだ。どろどろに流れていってしまう。
(……す、好き)
 泣きたいくらいに。
 本当にこのまま死んでしまいたいくらいに。
 佐久間の肩を掴み、もっともっと…と引き寄せる。同じ体温になるまで抱いていて欲しい。
 どちらが自分なのか、相手なのか分からなくなれば…──そう、自分を好きになれるような気がする。自分を抱き締める佐久間ごとなら、愛することさえ出来るだろう。
 ふっと性的な興奮が高まった。 
 順也は伸び上がって、佐久間の唇に自分のそれを押しつけた。弾力のあるしっとりした感触に迎えられ、嬉しさで身体が震え出す。
 貪るように重ね合わせ、舌を絡める──ああ、呼吸はいつすればいい?
「あぁ……せんせい」
 酸素不足のせいで目眩がしてくる。
 いや、目眩ではなかった。
 気がついたときには上下が入れ替わり、佐久間の端整な顔が上にあった。優しい視線が降り注いでくる。
「……可愛い人だな」
 微笑み返したいのに、目が勝手に潤んでくる。
「あ…あなたが、いい」
 順也は口走った──視界が悪いからこそ、ストレートに言えてしまう。
「あなたが欲しいんです」
「うん。二人で一つになろうね」
 そう返され、足の付け根が痛いほどに反応した。
 バスローブの布ごしに佐久間は気づいているのかどうか……順也は普通に男としての器官を持ち、性的興奮もまた普通の男同様である。
(……実際に目にしたら、引いてしまうかもしれない)
 にわかに逃げ出したい衝動に駆られた。
 そんな順也の心を察したのか、佐久間が聞いてきた。
「ね、オレが怖くなった?」
「……」
「なんか、また針が何本か立ってきた感じ。大丈夫? オレは急いでないですよ? もっと話したり、一緒の時間を過ごしてから、自然な流れで抱き合ってもいいと思う」
「怖い…とは違う。そ、そうじゃなくて…──」
 順也はみなまで言えず、佐久間の手をそこへ導いた。
 半ば予想していたような、熱い鍋に触れたときに似た慌てて引っ込めるなどの顕著な反応はされなかった。
 佐久間は順也の硬くなったそこに触れ、掌に馴染ませるように握り締めた。
「嬉しいな、ちゃんと硬くて」
 嘘だろうと思った。
「き…気持ち悪く、ないの?」
「そんなわけないでしょ、好きな人が欲しがってくれてる証しだもの」
 さらりと言われ、順也はホッと息を吐いた。
「……よかった」
 
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