トラウマティック・プレイ
書籍紹介
すべてを受け止めて、愛してほしいから――。
姉が結婚し、卓也には年下の義兄ができた。その義兄の双子の兄・孝三郎に恋した卓也。実は卓也には、学費を稼ぐため姉に秘密で体を売っていた過去があった。絶対に知られたくない過去だった。なのに孝三郎の鋭い視線に晒されると、すべてを暴かれてしまいたくなる。知られて嫌悪されるのは、震えるほどに怖いのに──。反する感情を抱えて自嘲する卓也の前に、かつての客が現れて!?
立ち読み
「しゃぶって、イッちまったのか」
「ふっ、う、孝三郎」
涙を浮かべて手を伸ばし、卓也は幼子のような仕草で孝三郎を求めた。卓也の指に孝三郎の舌が絡み、甘く歯が立てられる。孝三郎が指の股を舐めれば、夢に揺られているように、卓也の瞳がとろりと甘くなった。
「そんな顔をして、いろんな男を咥えてきたのか」
ふるふると、卓也は首を振った。どんな顔をしているのかはわからないが、きっと誰にも見せたことのない顔をしているという自信がある。孝三郎に触れられたから。だから、こんなに感じている。
「は、ぁ──もっと」
もっと、孝三郎が欲しい。孝三郎を感じたい。
「そうやって、他の男にもねだってきたのか」
違う。
歪んだ利己を挟まずに求めたのは、心の底から素直に欲しいと望んだのは、これが初めてだ。
「こ、ぉざぶろ」
どう言えば伝わるのだろう。
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