働くおにいさん日誌③

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本価格:682(税込)

  • 本販売日:
    2014/09/10
    電子書籍販売日:
    2014/12/19
    ISBN:
    978-4-8296-2581-1
書籍紹介

 ベッドはダブルベッドです!それだけは絶対に譲れません!(by九条)

 医師の甫が恋人の九条に「甘やかす権利」をフル活用され、日々を過ごす九条宅。そこを、ふたりが添い遂げる場所にしようと、ついにリフォームすることに。工事中、甫のマンションで暮らすことにしたが、なんだか新婚生活のようで気恥ずかしくて……!?甘くて幸せいっぱいな日常、ちょっと覗いてみませんか?サイト連載ブログを改編+書き下ろし短編も収録、待望の第三弾!
立ち読み
 「済まない、食べて出ていくだけで、準備も後片付けも手伝わなくて」
 朝食のトーストをかじりながらそう詫びる甫に、エプロン姿の九条は「何を仰ってるんですか」と呆れ顔で笑った。
「あなたは通常勤務ですが、僕はリフォームの間、花屋を休業していますからね。人生初の専業主夫生活を満喫する予定なので、家事はどーんと僕に任せてください」
「せ、専業、主夫? いや、まあ、確かにそうだが……」
 思わぬ言葉を聞いて目を白黒させる甫に、カフェオレをたっぷり注いだマグカップを手渡しながら、九条はにこやかに言葉を継いだ。
「しかも人生初のマンション暮らしが加われば、ちょっとした団地妻気分です」
「ぶッ」
 さらにとんでもない発言を聞くなり、甫はカフェオレを噴き出しそうになり、危ういところで踏みとどまる。
 そんな甫に構わず、九条は心底楽しげに、うっとりした顔つきでテーブルに頬杖をついた。
「一度、専業主夫というものを経験してみたかったんです。ここにいる間は、いつもよりずっと手の込んだ食事を用意しますから、楽しみにしていてくださいね」
「……いつもの食事で十分過ぎるほどだが、そう言ってくれるなら、楽しみにしておく。ごちそうさま。そろそろ出ないとな」
 いつものように軽く頭を下げてきちんと挨拶をすると、甫は慌ただしく立ち上がった。久しぶりの電車通勤なので、少し気が急いているのかもしれない。
「はい、お気をつけて」
 自分も席を立った九条は、甫を玄関まで見送りに立った。
「お弁当は、バッグに入れておきました。今日は少し汁気が多いので、出来るだけ真っ直ぐ持って行ってくださいね」
「わかった。そうしよう。では、行ってくる。主夫生活を楽しむのはいいが、あまり無理をしないようにな。せっかく店を休めるときくらい、ゆっくりするといい」
「ありがとうございます。僕はマイペースで家事を頑張りますから、先生もお仕事頑張ってください。深谷さんに、くれぐれも昨日のお礼をお伝えくださいね」
「ああ」
 上がり框に立った九条は長身を屈め、「いってらっしゃい」という言葉と共に、甫の頬にキスをした。
 
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