雨とハイエナ

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本価格:682(税込)

  • 本販売日:
    2014/08/11
    電子書籍販売日:
    2014/11/07
    ISBN:
    978-4-8296-2578-1
書籍紹介

 金の代わりに、あんた自身をもらおうか?

政財界や暴力団組織の大物をパトロンに持つ、金融業の令。取り立て先で出会った弁護士の網淵に、取引で自分を抱くよう命じるが……。
立ち読み
 「こいよ」
 令は立てた人差し指をクイクイッと手前に折って彼を呼び寄せる。網淵は裸のままゆっくりと令の前までやってきた。彼を呼び寄せた指を今度は下に向けて、床に膝を着けるように合図した。彼はそれにも黙って従った。
「いいね。従順な大型犬を手に入れた気分だ。だが、躾はこれからだ。で、男の経験は?」
 網淵は黙ったまま首を横に振った。
「りっぱなものを持っているのに、女しか抱いてなかったなんて残念な奴だな。まぁ、いい。とりあえず口の使い方からだ。基本は女相手と同じだけどな」
 そう言いながら、令は片足の踵をカウチの座面にのせる。そうすると自然に股間が開いて、バスローブの裾がめくれる。間からこぼれたのはまだ勃起していない令自身だ。
「嘗めて勃たせろ」
 覚悟はしていたのか、網淵は静かに令の股間に自分の顔を埋める。口を開いて、片手でそっとつかんだ令自身を銜え込んだ。女と違うもの、自分が持っているものと同じものをどうやって愛撫すればいいのかしばらく悩んでいるふうだったが、やがて自分がされて気持ちがいいようにすればいいのだと気づいたらしい。思いのほか巧みに唇と舌を動かして、令自身をちゃんと勃起させる。
「うふ……っ。くぅ……んっ」
 甘い声を漏らしてさらに足を開き、もう片方の足を持ち上げて踵を網淵の肩にのせてやった。これはものすごく興奮した。言葉で網淵を困らせているときも楽しかったが、裸で跪かせて口でやらせているのはなんとも言えない快感だ。
 それに、網淵の愛撫も悪くない。柄が大きい奴はセックスも大雑把なイメージがあるが、彼はどうやらそういう木偶の坊タイプではないようだ。
「アマリリス」のママのような年上の女に、女を喜ばせる方法を叩き込まれてきたのかもしれない。そう思ったら、ちょっとムッとした気分になる。身勝手なもので、愛撫が下手なら下手でつまらないくせに、うまければうまいで彼の経験を考えて苛立っている。
 べつに恋人でもなんでもない男だ。そんな男のこれまでの経験数などどうでもいい。あるいは、今の女が網淵を男としてベッドの中で育てたのかもしれないが、それも知ったことではない。
 とりあえず、こうするしかないと思っているのか、不満そうな様子も見せずに懸命に奉仕しているところはよしとしてやろうと思った。
「うく……っ。んんぁ……っ。あっ、もう、いい、離せ」
 令は喘ぎ声とともに網淵の肩を軽く踵で押して、自分の股間から彼の口を引き離す。実は、頭の中であれこれ考えている以上に体が興奮していて、このままだと網淵の口で果ててしまいそうだったのだ。
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