愛の呼ぶほうへ
書籍紹介
贖罪という理由をつけてでも、好きな人のそばにいたい
政治家の父を持つ遥は、幼馴染みの正信に長く想いを寄せていた。だが不正献金が取り沙汰され、父の代わりに秘書である正信の父が逮捕されてしまう。償いたいと正信を訊ねた遥だったが、求められたのは、捌け口として体を差し出すことだった。犯され体は痛みに震えても、心は想い人に抱かれて喜びを覚える。恨まれていると知りつつも、遥は彼の元に通うことを止められず……!
立ち読み
「ぐぅ……っ、ううっ、んぁ……っ」
繰り返される痛みに、ときおりふっと意識が途切れそうになる。それでも、何度も押し寄せてくる苦痛の向こうに微かだが、艶めいた怪しげな疼きが見え隠れしていた。怯えて萎えていた股間が、またじくじくと濡れていくのを感じている。
痛みとともに紛れもない快感が体に渦巻いていた。同時に、あさましさと惨めさが脳裏を駆け巡る。混乱の中で遥は押さえられた唇から嗚咽を漏らし続け、やがては正信が自分の体で果てるのを掠れた悲鳴とともに受けとめた。
絶望的な初体験だった。すべてが終わってみれば、自分がもはや自分ではなくなってしまったような錯覚に陥った。もちろん、初めてのことだったが、無理強いであったと恨むつもりはない。ただ、心と体は別なのだと思い知っただけ。
正信は遥のことなどろくに覚えていなかったのに、欲望の捌け口にした。遥は何年も正信に憧れ、妄想の中で彼に抱かれてきたのに、現実は痛みと惨めさに泣き喚くばかりだった。
それでも、人は体を繋げて欲望を満たすことができるのだ。正信だけが果てたわけじゃない。遥もまたこの絶望の中で、淫らな精を吐き出してしまった。
誰かを思う純粋な気持ちなど、夢のように儚いものかもしれない。だとしたら、この世の中は、人の欲望だけでできているのだろうか。そうは思いたくないのに、なんだかそれを全身で思い知らされた気分だった。
その夜、遥はすべてが終わった瞬間、初めて自分が大好きだった人のベッドに顔を埋めていることに興奮した。言葉にならないほどに惨めなのに、人はどこまでも欲望にあからさまになれるのだ。
自分がずっと好きだった人に抱かれたのは事実だ。同性にしか愛を抱けない、同性にしか性欲を覚えない。だから、きっとこの痛みと絶望は満足と同じ気持ちなのだ。
こぼれ落ちる涙に遥は微かに頬を緩めて笑う。心の一部が打ち砕かれた。いっそすっきりとした。この体は役に立ったのだ。自分の好きな人のためになったのだ。だったらそれでいい。
遥は涙と乾いた笑みの中で、心がじわじわと病んでいくのを感じていた。
繰り返される痛みに、ときおりふっと意識が途切れそうになる。それでも、何度も押し寄せてくる苦痛の向こうに微かだが、艶めいた怪しげな疼きが見え隠れしていた。怯えて萎えていた股間が、またじくじくと濡れていくのを感じている。
痛みとともに紛れもない快感が体に渦巻いていた。同時に、あさましさと惨めさが脳裏を駆け巡る。混乱の中で遥は押さえられた唇から嗚咽を漏らし続け、やがては正信が自分の体で果てるのを掠れた悲鳴とともに受けとめた。
絶望的な初体験だった。すべてが終わってみれば、自分がもはや自分ではなくなってしまったような錯覚に陥った。もちろん、初めてのことだったが、無理強いであったと恨むつもりはない。ただ、心と体は別なのだと思い知っただけ。
正信は遥のことなどろくに覚えていなかったのに、欲望の捌け口にした。遥は何年も正信に憧れ、妄想の中で彼に抱かれてきたのに、現実は痛みと惨めさに泣き喚くばかりだった。
それでも、人は体を繋げて欲望を満たすことができるのだ。正信だけが果てたわけじゃない。遥もまたこの絶望の中で、淫らな精を吐き出してしまった。
誰かを思う純粋な気持ちなど、夢のように儚いものかもしれない。だとしたら、この世の中は、人の欲望だけでできているのだろうか。そうは思いたくないのに、なんだかそれを全身で思い知らされた気分だった。
その夜、遥はすべてが終わった瞬間、初めて自分が大好きだった人のベッドに顔を埋めていることに興奮した。言葉にならないほどに惨めなのに、人はどこまでも欲望にあからさまになれるのだ。
自分がずっと好きだった人に抱かれたのは事実だ。同性にしか愛を抱けない、同性にしか性欲を覚えない。だから、きっとこの痛みと絶望は満足と同じ気持ちなのだ。
こぼれ落ちる涙に遥は微かに頬を緩めて笑う。心の一部が打ち砕かれた。いっそすっきりとした。この体は役に立ったのだ。自分の好きな人のためになったのだ。だったらそれでいい。
遥は涙と乾いた笑みの中で、心がじわじわと病んでいくのを感じていた。
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