積木の恋

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本価格:628(税込)

  • 本販売日:
    2011/10/10
    電子書籍販売日:
    2013/01/25
    ISBN:
    978-4-8296-2516-3
書籍紹介

これが「好き」という気持ちだろうか──

恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに──生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が湧き起こるが……。
立ち読み
自分は、加賀谷を、好きなのだ。
  曖昧で形のない気持ちに、身体は素直に反応する。
  同時に切ない、泣きたい気持ちになる。別れようと決めた相手から、これ以上の快楽を教えられたくない。蓮は口内のものにますます熱心に舌を絡ませた。このまま加賀谷が達してくれたら、身体をつなげなくてもいいかもしれない。
  けれど企みは上手くいかなかった。
  あと少しというとき、強引に体勢を入れ替えられた。
  足を大きく開かされて、背後に猛ったものをあてがわれる。指よりもずっと太くて熱い塊が狭い入り口を圧迫して、押し広げながら進んでくる。
「……っん、あ、あぁ……」
  さんざん解され、柔らかく熱を含んだ場所に奥まで挿入されていく。
  ひどく苦しいのに、加賀谷とつながっているという興奮だけで達してしまいそうになる。じっと馴染ませている間も、浅く呼吸をするだけで受け入れている場所が疼いた。
  皮膚一枚下で、一刻も早く放出してしまいたい熱が渦を巻いている。
  じりじりと燻るような熱に煽られて、呼吸も苦しいほどだ。
「……痛いですか?」
  うっすら目を開けると、心配そうな加賀谷と目が合った。
  痛くない。でも苦しい。気持ちよすぎて、苦しい。好きすぎて、苦しい。なのに一緒にはいられないことが、苦しい。苦しくて、苦しくて、心の底から自分のしたことを後悔した。何度でも謝る。謝るから、今すぐ時間を巻き戻してほしい。加賀谷と初めて言葉を交わした最初の夜に巻き戻してほしい。そうして、なにもかもやり直したい。
「……好きだ」
  加賀谷の首に両腕を巻きつけ、息だけでささやいた。
  好き──こんな簡単な二文字なのに、人に対して使うのは初めての言葉だ。
「君の百倍、僕は君が好きだ」  
  快楽をこらえているせいか、加賀谷は怒ったような顔をしている。その表情を、いいなと思った。大して格好よくもないこの顔が好きだ。加賀谷だから好きだ。
  腰を抱え込まれ、じくじくと蕩けている内側を大きく穿たれる。
  甘い悲鳴が漏れる。頭が変になりそうなほど気持ちいい。
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