働くおにいさんブログ一覧

知彦

2019/09/02

8月も今日で終わり。つまり、アイスクリンも本来は今日で終わり……なんだけど、残暑って奴の都合で、もう少し作り続けたほうがいい感じかな。
遥君と相談して、とりあえず今週いっぱいは売ろうか、ってことになった。
秋のご機嫌うかがいをしながら、おしまいの時期を探る感じかな。
昼休みに谷田部さんがPC画面で何かを必死に検索してるから、どうしたんですかって訊ねたら、子供さんが夏休みの絵日記を全然書いてないことが発覚して、毎日の天気を調べてたんだって。
お父さんも大変だけど、調べられる世の中、便利だよね! 驚いた。

九条

2019/09/02

今日は、お休みの日なので、少し重い食材を買い出しすべく、大野木先生につきあっていただいてスーパーへ。
切れかけていた調味料や、保存食として、缶詰をあれこれ買いました。
秋は仕事が立て込むので、あり合わせで夕食を作らなくてはいけないことも多くて、缶詰があると安心なんです。
買い物途中、大野木先生の姿がふと見えなくなって、慌てて探したら、小さな子供たちと一緒になって、鮮魚売場の生け簀に見入っておられました。
泳ぐ魚がお好きなのかと思ったら、振り返った先生は真顔で一言、「九条、見ろ。アニサキスだ」……な、なるほど。さすがお医者様です。
本当はイカのお刺身を買おうと思っていたのですが、ちょっと……気乗りがせず、今夜はお肉に変更しました……。

2019/09/02

兄ちゃん、九条さんに収穫されて久しいような気もするけど……九条さん的には、まだ育ててる最中なのかな。すげー長期計画だな!
ジャボチカバ、面白いじゃんって思ったけど、深谷さんが真剣に嫌がるから諦めた。やっぱビジュアルがちょっとアレな人にはアレなのかも。
九条さんおすすめのみかんにも、色々あるんだな~。何か仏様の手みたいな奴が面白いな!って思ったんだけど、あれは食用には向かないんだって。
面白いと美味しいは、なかなか両立できないもんだね。俺が欲張りすぎるのかな。
九条さんがいちばん簡単だって言ってたキンカンは、俺、あんま好きじゃないんだよね。ただ、野菜がそうだったけど、自分が育てるとやたら旨く感じるから、キンカンもそうかもな~。だったら育ててみたいよね。ますます悩む!

2019/09/02

ジャボ……チカバ?
聞いたこともないフルーツだったので、九条にネットで画像を見せてもらった。
確かに、実が生っている写真を見ると、あまりのビジュアルに絶句するな。
これではまるで発疹……ああいや、何でもない。
世界には、俺たちの想像を絶する生き物がいくらでもいるんだろうな。
深谷と遥のおかげで、今夜は我が家でも、夕飯時の話題は果樹だった。いったん植えたら、どんなものでも大切に育てねばならんから、ああいうものは時間をかけて、慎重に選ぶべきだな。
九条に、お前なら何を植える?と訊ねたら、にっこり笑って、「僕が収穫したいのは、先生だけですよ」と即答された。いつものことながら、リアクションに窮する……。

知彦

2019/09/02

へえ、リンゴの木で生け垣! 僕のリンゴのイメージは、青森なんかで見かけるリンゴ畑なんですけど、ヨーロッパではもっと色んなアレンジをするのかな。面白いですね。
お借りしたカタログ、昨夜、遥君と二人で見ながらあれこれ話し合っていたら、すっかり夜更かししてしまって、今朝は二人して寝ぼけ眼での作業でした。
色々ありすぎると、かえって迷いますね。店で売ってないような、珍しいものを育ててみたい気もするし、ここは安全策をとって、確実に簡単で美味しそうなものにすべきか……とも思うし。
僕は、ちょっとビワに興味が出てきました。遥君は……なんだっけ、ジャボチカバ? 幹に直接紫色の丸い実がなるフルーツに興味津々でしたが……僕にはちょっと……グロテスクに見えるけど。
やっぱり遥君は、頭が柔軟なのかなあ。

九条

2019/09/02

僕も子供の頃、夏休みが終盤になると、どうにも憂鬱でしたね。
別に家が大好きなわけでも、学校が嫌いなわけでもなかったのに。
夏の終わりと夏休みの終わりがほぼ同時にやってくるので、どうしても物寂しい気持ちになってしまうのかもしれません。
今日は深谷さんがお仕事帰りに立ち寄ってくださったので、果樹の苗がたくさん載った園芸カタログをお渡ししました。
本当に、今は数え切れないくらいの種類の果物がありますから、難易度は脇において、食べたいものを植えて育てるというのが楽しいのかもしれません。
とはいえ、やはり収穫できないと楽しくないですから、比較的早い段階から結実して育てやすい、お勧めの苗に付箋を付けておきました。
僕はイギリスの風景の中に時々みかける、リンゴの木で作った生け垣にとても興味があるのですが、我が家は立地上、コンクリート塀で敷地を囲わないといけませんから、なかなか庭があっても好きなように木を育てるというわけにはいきませんねえ。

2019/09/02

俺、コッペパン屋の仕事はホントに大好きなんだよ。
だけど、それと夏休みの終わりがどうしようもなく切ないのは、別問題だよね!
なんかもう昨日の夜から半泣きで、深谷さんに物凄く慰められた。
シルバーウイークがすぐ来るじゃないか、とか。
冬休みだってあるんだから、とか。
そういうことじゃないんだよ~! 夏休みの終わりって、小学生の頃からすっげーつらいんだよ、俺。毎年、この世の終わりみたいな気分になり続けてんの。
はあ……休みが終わって今朝になったら、もう気分が上向いて「頑張るぞー!」って気分になってたけど、深谷さんにすっごく心配かけちゃった。
昼休み、店でピースしてる写真を送ったら、「安心したよ~」って返事がすぐに来た。
えへへ。ごめんなさいの気持ちと同じくらい、俺、愛されてるなって嬉しい気持ちが湧いてきちゃうね。

2019/09/02

休みの間も、九条は四人で外食したとき以外、ずっと一日三食用意してくれていて、実にありがたくも申し訳なかった。
というわけで、休みの締めくくりに、今夜は俺が感謝の気持ちを込めて、夕食を作る……と、大変なことになるので、無精で悪いが、外食にエスコートすることにした。
といっても先日中華料理を食べたばかりなので、濃い料理はイマイチだろうということで、和食の店に。
盛夏らしい料理が出るかと思いきや、早くも少し秋のエッセンスが入っていて、こういうところ、日本料理はいいなと思った。
エアコンの効いた室内で、熱い茶碗蒸しを食べていると、確かに秋の気配を感じられるように思えた。
まあ、それは店から一歩出たところで、気のせいだったと知るわけだが。
とにかく、九条が「何より気遣ってくださるそのお気持ちが嬉しいですよ」と喜んでくれたのでよかった。

知彦

2019/09/02

こないだ、大工さんに「このくらいは兄ちゃん、自分でやれるようになれよ」って教えてもらったので、今日は思いきってDIY。
庭にある、昔、遥君のお祖父さんが植木の手入れ道具をあれこれ入れてたっていう物置小屋を、二人で頑張って解体。
空いた場所には、何か、実の生る木苗を植えようかと思ってる。
イチジクはどうやら物凄く茂るみたいだ……と、こないだご近所のお宅で思い知ったので、僕としては、りんごの木が希望! だけど、りんごは2本以上植えたほうがいいみたいだ。
遥君は桃の木がいいって。
九条さんに相談してみたら、みかんはどうですかって。桃は虫がつきやすいらしい。
みかんかぁ。みかんにも色々あるから、今度、カタログを見せてもらうことにした。

九条

2019/09/02

うちも、旅行はもうしましたし、家でのんびりすればいいんじゃないですかと言っていたんですが、やはりそれも寂しいということで、映画を見に行きました。
見たい映画が満員で、ちょっといい席なら空いている……ということで、何だかとても座り心地のいい、グラスワインが一杯つくシートで見てきましたよ。
「とんでもない贅沢をしている気分だな」と、大野木先生はむしろ落ち着かないご様子でしたが、実際はそこまでの上乗せではなかったのですけどね……。
差額以上に、快適だったように思います。そのおかげで、つい、途中でうとうと……。
あとでお茶を飲みながら、大野木先生に補完していただこうとしたら、どうやら同じところで眠り込んでしまっていた模様。
僕たち、変なところで似た者同士ですねえ。ちょっと嬉しいです。

2019/09/02

中華料理のいいとこってさ、コース料理は必ず余るから、そうするとお土産を折り詰めにしてもらえるとこだよね!
勿論出来たてがいちばん美味しいんだけど、一晩経った奴も、味が染み込んで落ちつくっていうの? それはそれで、不思議に旨い。
お昼ご飯が済んでから、家でゴロゴロしてるだけじゃ勿体ないねってことで、市民プールに泳ぎに行った。
だけど、みんな考えることは一緒だな~! 芋の子じゃぶじゃぶ洗ってるみたいだった。
それでも、冷たい水に入ってるだけで、何となく楽しいんだけどね。
夜は縁側で、帰りにコンビニでつい買っちゃった花火をした。
昔は何が楽しいのかわかんなかったけど、今は線香花火がすごく綺麗だなって思う。
深谷さんと、火の玉の大きさをくらべっこしたり、パチパチ出る火花をじっと見てたり。
何が、って訊かれると困っちゃうけど、なんかいいなって思った。

2019/09/02

本当は、俺の夏休みは月末のはずだったんだが、部下の都合に合わせてやったら、何故か深谷とまたしても同じ週に休むことになってしまった。
こんなことなら、四人でどこかに行けばよかった……とはいえ、今から旅行の手配を慌ててすると、ろくでもないことになりそうではある。
まあ、一緒に食事くらいしようか、ということになって、久しぶりに四人で夕涼みがてら中華街へ繰り出した。
夕涼みというほど涼しくはなかったが、九条とマンゴーのかき氷を半分ずつして(遥と深谷は一つずつ食べていた。食事前だというのに!恐ろしい大きさだというのに!)心身ともに冷えたりしてから、予約していたレストランに。
夏に中華は重いかと思ったが、さすが医食同源の国、一つの料理に、身体を温めるもの、冷やすものを上手に取り合わせてあるのだな。
西洋医学を学んだ俺には理解しきれないところもあるが、東洋医学の人に添う感じは大いに参考にせねばならんと思った。無論、料理は申し分なく旨かった。

知彦

2019/09/02

お盆休み組と入れ違いで、僕は今日から夏休み。
自動的に、遥君も今週はお店の夏休み。
それなのに朝、夜明けと共に目覚ましなしで目が覚めて、二人で笑ってしまった。
でも、月曜なのに、アイスクリンを混ぜたり、パン生地をこねたりしなくていいんだねえ、って言い合って、昼前までゴロゴロした。
雨戸の立て付けをよくしてもらったらエアコンも前よりずっと効くようになって、今年の夏はホントに楽に眠れる。
お腹がすいて我慢ができなくなるまで寝転がって、昼は適当に残り野菜を使って、焼きそばを作った。デザートは西瓜。
何ていうか、どこにも行かなくても、特別なことを何もしなくても、夏休み感は出るもんだなあ。

2019/09/02

昼、深谷さんが素麺ゆでてくれて、二人でズルズル食べてたら、テレビで玉音放送を流してた。そっか、終戦記念日だね。
二人でしばらく聞いてたんだけど、俺、正直言って、何言ってんのかさっぱりわかんなかったよ。
その後、猫を貰ってもらったお婆ちゃんちに、頼まれ事があって行ったんだけど、猫と婆ちゃんがすごく渋いもので涼を取ってて、深谷さんと二人でひょおおおってなった。
昔ながらの涼風機、なんだって。
中に氷を仕込んだ扇風機みたいなものなのかな。思ったよりひゃっこい風が出て、猫ものびのび気持ちよさそうにしてた。
エアコンは関節が痛くなるから、氷の風がいいって。斬新だな~!
用事は、庭のでっかいいちじくの収穫だった。いちじくの木って……臭いんだな。
いっぱいお裾分けして貰ったけど、俺、いちじくあんま食べたことがないかも。

九条

2019/09/02

お店を閉めて片付けをしていたら、大野木先生からメールが。
今夜は二人で花火を見ないか?という、素敵なデートのお誘いでした。少し遠いところの花火大会ですが、観覧席のチケットを、患者さんが行けなくなったからと譲ってくださったのだそうです。
ありがたくお気持ちをいただいて、代わりに楽しませていただくことにしました。
指定席に座って、ゆったり花火を見るというのは初めての経験でしたが、とてもいいものですね。何より楽です……!
ただし、両隣に人がいますから、寄り添えないのが少し残念でしたが。
お店はどこも混んでいそうでしたから、お夕飯は、帰ってアッサリと素麺、それからトウモロコシと万願寺唐辛子の軽い天ぷらを作っていただきました。
「四人で見る花火もいいが、二人で見る花火もまたいい」という先生のお言葉に、幸せを噛みしめる週末です。

2019/09/02

てっきり夏バテかと思ったら、今日、深谷が妙にフラフラしていたのはそういう事情か!
男ふたりで、何をそんなに喋ることがあるというんだ……と叱りたいところだが、俺と九条も、たまに妙に話が弾んで、気付けば深夜、ということがある。
やはり、互いに知らない年月が過去にあるわけで、そこを埋めようと無意識に欲してしまうのかもしれないな。
昨夜は、どうしてそんな話になったのかさっぱり思い出せないんだが、九条が幼い頃、牛乳瓶の中に蟻を飼い、巣を外から覗けるようになっていたのが面白かった……と言い出したせいで、いったいどんなふうに飼っていたのかと、真夜中過ぎまで話を聞いてしまった。
実に面白そうだ。俺が小学生の頃、その話を聞いていたら、きっとやっていただろうな。

知彦

2019/09/02

入院患者さんのひとりが、予定の時間になっても来ないので、病棟に電話。
そうしたら、病棟のロビーで熱中症になってたって!何だそりゃ。
あとでよくよく事情を聞いたら、友達が面会に来てくれて、ナースステーション横のロビースペースで窓を背にして話し込んでたら、直射日光がかんかんに当たり続けてて、途中でグッタリしちゃったらしい。
す、すごいな。そこまでお喋りに没頭できるなんて。
やっぱり入院中は退屈だから、娯楽に飢えてるのかな……なんてことを思いながら帰宅したんだけど、テレビでやってた映画から、遥君と小さい頃の遊びについて話し込んじゃって、気がついたら午前二時。ヤバイ……! 他人様に感心してる場合じゃなかった!

九条

2019/09/02

少し前までは、「クーラーは就寝時タイマーをかけておくのがよい」みたいに盛んに言われていましたのに、気付けば、「一晩中つけっぱなしがいい」に変わっていましたね。
何だか世の中の常識というものは、緩やかに常に変わっていくのだなあ……という話を、朝からしました。
そういえば日本史も、我々が学生時代に習ったのとはずいぶん違うのだとか。
聖徳太子という呼び方も、教科書的にはもうしないのだそうですね。足利尊氏の肖像画も別人だったと大野木先生にお聞きして、さすがに驚きました。
先生は、お若い患者さんたちから、そんな知識を仕入れておられるのだとか。
いったい先生はリハビリルームで、患者さんたちとどんな風に、どんなお話をなさっているのやら。
ちょっと覗いてみたい気がします。

2019/09/02

花火大会で、何故か俺ばかり蚊に刺されて、まだ微妙に痒い。
つい腕を掻いてしまうのだが、九条に見つかると、子供のように叱られる。
医者なのに、子供のように腕を掴まれ、かゆみ止めを塗ってもらうというのも情けないものだが、どこかくすぐったいような気持ちになるのも確かだ。
誰かに気遣われるというのは、しみじみと嬉しいものだな。
ただ……怖い顔で薬を塗りながら、「まったく。僕だって、さすがに血は吸ってないのに」と九条が呟いたのが……なんとも……何と言えばいいか……。

知彦

2019/09/02

今日は夕方に駅で九条さんと大野木先生と待ち合わせて、四人で電車に乗って花火大会に。
港まで行ったら、物凄い人出。
ただでさえ暑いのに、とんでもない熱気だったので、少し離れた公園に適当な場所を見つけて、会談に座って花火を見ることに。
少し離れただけで、あまり人がいなくてホッとした。あの港はちょっと無理だ……。
買ってきたかき氷をみんなで食べて人心地ついて、改めて近くのコンビニで調達したビールで乾杯して、アメリカンドッグやらコロッケやらを食べていると、花火が始まった。
港で見るよりは遠かったけど、でも木立の合間から上がる花火はとてものどかな感じがして、僕は、人混みの中で見るよりずっと気持ちがよかった。
途中で「首が疲れた」って遥君がもたれてきて、ちょっとしたデート気分も味わえたし。
別に見るつもりはなかったんだけど、最後のひときわ大きな花火が上がったとき、九条さんが大野木先生に凄い素早さでキスするのをうっかり目撃してしまった……。
見てはならないもの……だっただろうか……。

2019/09/02

明日、花火大会に行きませんかって、九条さんからLINEでお誘い。
深谷さんがいいよって言ったら行くって返したら、「深谷さんには大野木先生がお声がけするようですよ」って。そりゃ断らないよね。
へへ、楽しみだな~。浴衣着ていこうかなって思ったけど、人出が多いし、けっこう駅から歩くから、楽な恰好がいいですよって。ちぇー。
でも実際そうだよね。よーし、ハーフパンツで行っちゃおう。
港のほうの花火大会って、いつも混みそうだねって尻込みして、行ったことがなかったんだ。凄く盛大らしいから、楽しみだなー!
四人で行っても、一応、こういうときはダブルデートだよねっ。
花火はやっぱ、カップルで見なきゃ。

九条

2019/09/02

いいじゃないですか、色違いのお揃いくらい……と申し上げようと思ったんですが、よく考えたら、僕だってそんな服を着たことがありません! やっぱり駄目です、深谷さん。
僕は色違いどころか、完璧なるペアルックでも構わないのですが、大野木先生がどうしても嫌だと仰るのです。
一度くらい……せめてパジャマくらい……と思うのですが……!
家の中でなら、愛する人と同じものを身につけたいという僕の願いを、理解してくださるでしょうか。
シャイな先生が愛おしくてならない気持ちは勿論大いにありつつも、是非、一歩踏み出す勇気を! 僕も、ご機嫌の良さそうなときに、勇気を出してお願いしてみようと思います。

2019/09/02

今朝……。
出勤してみたら、まさかの、深谷とポロシャツが色違いのお揃いだった。
遥のプレゼントらしい。
なんということだ。二人で思わず絶句してしまったぞ。
思わずLINEで九条に訴えたら、「義兄弟っぽくていいじゃないですか」という呑気なコメントと共に、写真をせがまれた。
……やむなく並んで撮ったが、どう考えても様子がおかしい。
無論、どちらのせいでもない偶然なんだが、ロッカールームに居あわせた他の連中にもからかわれて、実に複雑な気分だ。
俺は上に白衣を羽織るだけだが、深谷が早々にケーシーに着替えてくれてよかった……。
次からは、そのポロシャツを着ようと思うときには、互いに前日に申告するよう取り決めた。

2019/09/02

昨日のこと、深谷さんは苦笑いで許してくれたけど、やっぱ申し訳ないから、店を閉めてからダッシュで服を買いに行ってきた。
Tシャツをわざわざ買うのもアレだから、ポロシャツで弁償することにする。
どうせなら、クーズビズ期間中、出勤に使えるほうがいいもんね。
帰ってきた深谷さんに渡したら、「いいのに」って言いながら、凄く嬉しそうにしてくれた。
明日、早速着ていってくれるって! よかった~。
でもあの……なんていうか、晩飯は、深谷さんが作ってくれたほうがやっぱ旨いや。
昨日の残りの豚肉があるんだーって言ったら、ぱっぱーっと麻婆茄子にしてくれた。
すっげえご飯に合う! 暑くて食欲なかったはずなのに、ご飯、おかわりしちゃった。

知彦

2019/09/02

仕事から帰ったら、遥君が晩飯を用意していてくれた。ありがたいな~。
庭の水やりもすませてくれていて、吹き込む風が少し冷たく感じられた。
やっぱりガスコンロは怖い遥君なので、今夜はIHクッカーを使って、冷しゃぶを作ってくれた。
添えた茹で野菜も、もやしに椎茸、オクラにパプリカと、彩りも綺麗だ。
「ありがとう。嬉しいよ」って食卓でお礼を言ったら、遥君が、「深谷さんはいつもすぐそうやって嬉しいって言ってくれるから、俺も嬉しい。俺ももっと言うようにする」って。
相手が自分のためにしてくれることを、当たり前だって思っちゃいけないね。
僕も、感謝を忘れないようにしよう。
だけど、遥君のことだから、このサービスには何かあるな……と思っていたら、案の定。
僕のTシャツを買ってに着た挙げ句、オーブンで焦がしちゃったらしい。まあ、その程度で済んでよかったよ……。

2019/09/02

先週末は旅行したから、この週末はしっかり休む。暑さも身体にこたえてきていることだしな。
キャリーバッグを綺麗に拭いて物置に片付け、九条と二人、一時間ほど庭の草引きをしたが、早々に暑さで音を上げ、シャワーを浴びてリビングでくつろいでいる。
少し日に焼けて赤くなりましたね、と九条が皮膚の炎症を鎮めるというローションを腕に塗ってくれた。確かに、ヒンヤリして気持ちがいい。
お昼は何にしましょうか、と問われて、素麺でも茹でようかと返す、こんな他愛ないやり取りが、不思議なくらい心地よい。
世の亭主たちは妻を労るつもりで「素麺でいい」と口走ったりするそうだが、一度、自分で用意してみるといい。
暑い真昼に、鍋いっぱい湯を沸かして素麺を茹で、その湯をシンクに上げて、素麺を水洗いするというのは、けっこうな重労働だ。
俺はそれを身をもって知ってから、素麺のときは必ず一緒にキッチンに入るようになった。
手伝うと邪魔なので、せめて熱気と湯気を共有している。九条は笑うが、嬉しそうにしているので、邪魔ではないのだろう……と、思いたい。

■このブログは

大野木甫
医師の大野木甫
九条夕焼
フラワーショップ店主の九条夕焼
大野木遥
甫の弟でコッペパン専門店店主の大野木遥
深谷知彦
甫の部下で理学療法士の深谷知彦

仕事人である彼らが、昼休みに綴ります。
だから平日12:00頃更新。土日祝日はお休みです(ときどき休日出勤あり…)。

それぞれの恋模様は『お医者さんにガーベラ』『お花屋さんに救急箱』をご覧ください。

Novel 椹野道流
Illustration 黒沢要

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