貴人は香る肌を愛でる
書籍紹介
何度も言っているだろう。おまえは私の愛する――
頼りない父に代わって傾いた老舗呉服店を切り盛りする琉衣は、十数年ぶりに再会した某国王族のレオンから人目を憚らない求愛をされることに。容姿も仕草もまさしく王子なレオンに吸い込まれそうになる琉衣だが、身分が高すぎて常識を越えたところも多いレオンが本気とは思えず拒絶してしまう。レオンの想いに混乱している最中、父親の借金が発覚。援助を申し出るレオンに、琉衣はあえて融資と引き換えで身体を差し出してしまい――。
立ち読み
「どうして……こんな…っ……」
ふいにレオンハルトは屈み込み、背もたれに片手をつくと、もう一方の指先で琉衣の顎を掴んだ。言葉だけでなく、息まで止まる。
「関係ないと言われたら、おまえが無視できない関係を作るしかないだろう?」
宝石のようにきらめく瞳。それが今は美しすぎて禍々しくさえ見える。必死に離れようとする琉衣を、魅了して掴まえようとしているかのようだ。
「卑怯な手段だと思われようと、形振りかまっていられるか。おまえに関係ないと言わせないためには、そしておまえをずっと手元に置いておくためには、こうするのがいちばんいい」
「……お、れ……?」
魔性の色を放つ瞳に魅せられていた琉衣は、喘ぐように聞き返した。
この『たき川』への措置が、琉衣を手に入れるためだったというのだろうか。
レオンハルトの顔が近づいて、琉衣は思わず目を閉じる。かすかに震える唇に、レオンハルトの唇が触れた。
ふいにレオンハルトは屈み込み、背もたれに片手をつくと、もう一方の指先で琉衣の顎を掴んだ。言葉だけでなく、息まで止まる。
「関係ないと言われたら、おまえが無視できない関係を作るしかないだろう?」
宝石のようにきらめく瞳。それが今は美しすぎて禍々しくさえ見える。必死に離れようとする琉衣を、魅了して掴まえようとしているかのようだ。
「卑怯な手段だと思われようと、形振りかまっていられるか。おまえに関係ないと言わせないためには、そしておまえをずっと手元に置いておくためには、こうするのがいちばんいい」
「……お、れ……?」
魔性の色を放つ瞳に魅せられていた琉衣は、喘ぐように聞き返した。
この『たき川』への措置が、琉衣を手に入れるためだったというのだろうか。
レオンハルトの顔が近づいて、琉衣は思わず目を閉じる。かすかに震える唇に、レオンハルトの唇が触れた。
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