人形遊戯
書籍紹介
爪。爪。爪。爪を愛撫される――悦楽
冷たい秀雪の指で、舌で、舐られ熱くさせられる――。出版社に勤める神志那鴇哉は、パーティで人形作家・九鬼秀雪と出逢った。アトリエへ招待された鴇哉は自分の爪に強い執着を示す秀雪に恐れを抱いて、秀雪の「自分で爪を切ってはいけないよ」という言いつけを破ってしまった。それを秀雪に咎められ、全裸で椿に括りつけられ手酷いおしおきを受けることに。爪へのフェティシズムが甘美なエロティシズムをうみだしていく和風ゴシックロマン。
立ち読み
「何をおびえている?」
「あ……、ぼ、僕は……」
「俺が、怖い?」
怖い。怖い。九鬼秀雪が怖い。しかし、正直にそうと言うのは、もっと、おそろしい。怖いと口にした途端、大きく牙をむいた顎に頭から食い千切られそうな気さえする。
ただ震えるばかりの鴇哉の手を握る九鬼秀雪の手に、力がこもった。
九鬼秀雪は、上目遣いにしっかりと鴇哉を捉えながら、そっと鴇哉の爪に唇を寄せてく。爪の上をなまあたたかなものが這う。舌だ。九鬼秀雪の舌。ぬらぬらとぬめ
る感触が鴇哉の爪を執拗な愛撫のようになぞる。
「ひっ……」
悲鳴が口をついて出た。
そんな鴇哉を嘲笑うように九鬼秀雪の目に暗い笑みが浮かぶ。
「ほんとうに素晴らしい爪だ。舌触りまで甘い……」
「……あっ……」
「このままきみを食べたらどんな味がするだろう? 爪と同じで甘いのかい?」
笑いながら九鬼秀雪は鴇哉の指先を口腔に迎え入れた。やわらかな唇に挟まれ、ねぶられる異様な感触に全身が粟立つ。
「……ふ……」
唇からこぼれ落ちる言葉にならない呻き。息ができない。心臓が凄まじい勢いで鼓動を刻んでいる。
食べられる。このままだと、ほんとうに食べられてしまう。逃げなくては。しかし、身体はすくみ上がって、身じろぎ一つできない……。
「あ……、ぼ、僕は……」
「俺が、怖い?」
怖い。怖い。九鬼秀雪が怖い。しかし、正直にそうと言うのは、もっと、おそろしい。怖いと口にした途端、大きく牙をむいた顎に頭から食い千切られそうな気さえする。
ただ震えるばかりの鴇哉の手を握る九鬼秀雪の手に、力がこもった。
九鬼秀雪は、上目遣いにしっかりと鴇哉を捉えながら、そっと鴇哉の爪に唇を寄せてく。爪の上をなまあたたかなものが這う。舌だ。九鬼秀雪の舌。ぬらぬらとぬめ
る感触が鴇哉の爪を執拗な愛撫のようになぞる。
「ひっ……」
悲鳴が口をついて出た。
そんな鴇哉を嘲笑うように九鬼秀雪の目に暗い笑みが浮かぶ。
「ほんとうに素晴らしい爪だ。舌触りまで甘い……」
「……あっ……」
「このままきみを食べたらどんな味がするだろう? 爪と同じで甘いのかい?」
笑いながら九鬼秀雪は鴇哉の指先を口腔に迎え入れた。やわらかな唇に挟まれ、ねぶられる異様な感触に全身が粟立つ。
「……ふ……」
唇からこぼれ落ちる言葉にならない呻き。息ができない。心臓が凄まじい勢いで鼓動を刻んでいる。
食べられる。このままだと、ほんとうに食べられてしまう。逃げなくては。しかし、身体はすくみ上がって、身じろぎ一つできない……。
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