人肌の秘めごと
書籍紹介
そのいやらしい顔でカメラを見ろ
女性人気の高い元戦場カメラマン・塔野匡毅の風景写真集を刊行するため、経営難に喘ぐ橘出版副社長・和叉は彼に会う。が、住み込みでモデルをしろと条件を出された。馬乗りになられた状態で迫られ、逃れたい一心で承諾するものの、和叉は過去にレイプされて以来、写真と他人の体温を嫌悪しているのだ。撮影時、塔野は頑なに理性を保とうとする和叉に淫らな表情を要求する。カメラの放つ閃光は暴力的に和叉の心を浸蝕してきて――。
立ち読み
「おまえさぁ、ホントに綺麗なツラしてるなぁ。そもそも骨格が慎ましやかで、イイんだよな。こういうお堅い中高の顔があられもなくなっていくの、最っ高にそそられる」
勝手なことを並べ立てて、塔野はふたたびカメラを拾い上げた。
口から透明な液体を零して苦しく噎せながら、和叉は酒で濡れた眼鏡越しに男を睨みつけた。次から次へと焚かれるフラッシュに脳の奥底まで焦がされていく。
「そんな反抗的な目ぇしても色っぽいだけだっての。その口元のホクロも悪女っぽくてヤバいぜ?」
口のなかも外も、揮発性の液体のせいで焼けるようだ。
「毛細血管が浮いて、肌がやらしい色になってるぞ」
もともと酒には強くない。そのうえ、嫌悪している写真を撮りまくられているのだ。感覚がなくなりそうなぐらいジンジンしている唇を噛み締める。
「なぁ、副社長さん」
ファインダーを覗いたまま、塔野が欲情した男の声音を出す。
「俺の専属モデルになれよ。そしたら、橘出版で風景写真集を出してやる」
悪い冗談だ。
「こんな扱いを……されて、モデルを引き受ける人間が、いると…思うんですか? どいてくださいっ」
「仕方ねぇな。もうちょっとその気にさせてやるか」
愉しげに鼻を鳴らすと、塔野はカメラを床に滑らせて、和叉の鳩尾から退いた。重く潰されていた腹部がふっと楽になったとたん、和叉は激しく噎せてしまう。その噎せている和叉のスラックスの腰へと男の手が這った。ベルトが素早く外されて、ジッパーを一瞬で開けられる。ボクサータイプの下着のウエストがぐっと掴み下ろされた。
「な……っ」
性器が、空気に触れる心許ない感覚。ほんの数秒であられもない姿にさせられてしまっていた。
勝手なことを並べ立てて、塔野はふたたびカメラを拾い上げた。
口から透明な液体を零して苦しく噎せながら、和叉は酒で濡れた眼鏡越しに男を睨みつけた。次から次へと焚かれるフラッシュに脳の奥底まで焦がされていく。
「そんな反抗的な目ぇしても色っぽいだけだっての。その口元のホクロも悪女っぽくてヤバいぜ?」
口のなかも外も、揮発性の液体のせいで焼けるようだ。
「毛細血管が浮いて、肌がやらしい色になってるぞ」
もともと酒には強くない。そのうえ、嫌悪している写真を撮りまくられているのだ。感覚がなくなりそうなぐらいジンジンしている唇を噛み締める。
「なぁ、副社長さん」
ファインダーを覗いたまま、塔野が欲情した男の声音を出す。
「俺の専属モデルになれよ。そしたら、橘出版で風景写真集を出してやる」
悪い冗談だ。
「こんな扱いを……されて、モデルを引き受ける人間が、いると…思うんですか? どいてくださいっ」
「仕方ねぇな。もうちょっとその気にさせてやるか」
愉しげに鼻を鳴らすと、塔野はカメラを床に滑らせて、和叉の鳩尾から退いた。重く潰されていた腹部がふっと楽になったとたん、和叉は激しく噎せてしまう。その噎せている和叉のスラックスの腰へと男の手が這った。ベルトが素早く外されて、ジッパーを一瞬で開けられる。ボクサータイプの下着のウエストがぐっと掴み下ろされた。
「な……っ」
性器が、空気に触れる心許ない感覚。ほんの数秒であられもない姿にさせられてしまっていた。
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