ナイショの時間
書籍紹介
いきなり食ったりしないから、安心しろ
条樹は下条家の主筋にあたる赤目家の後継者・赤目我王の目に留まってしまう。大学在学中でありながら跡継ぎとして会社経営に関わる我王に逆らえなくて――!?
立ち読み
見る見るうちに遠くなっていく綺麗なお姉さんの姿に、樹は未練がましく腕を伸ばして叫んだ。
「やだやだ~っ。美人のお姉さんとデートする~っ!」
「ダメだ」
「ひどい~っ。美人のお姉さん~。あうあう」
樹は諦めきれず、完全に姿が見えなくなっても嘆くのをやめない。
我王は顔をしかめて舌打ちをした。
「ミュウミュウ鳴くんじゃない。お前はこっち」
「こんな機会、もう二度とないかもしれないのにっ!!」
必死の形相で訴える樹に対し、我王はあっさりと頷く。
「まぁ、ないだろうな。俺が許さん」
「ひどいっ! 横暴っ!!」
「おまえなっ。俺とデート中だということを忘れたのか? それなのに、他のやつとデートするっていうのは、どういう了見だ」
「違うっ! デートじゃない!」
それはいつもの癖のように出た言葉だった。我王とのふざけて交わす会話の中で、何度となく繰り返されてきたやり取りである。
しかし今は少々状況が悪かった。樹の可愛くない態度に、我王の機嫌はますます下降を続ける。
「やだやだ~っ。美人のお姉さんとデートする~っ!」
「ダメだ」
「ひどい~っ。美人のお姉さん~。あうあう」
樹は諦めきれず、完全に姿が見えなくなっても嘆くのをやめない。
我王は顔をしかめて舌打ちをした。
「ミュウミュウ鳴くんじゃない。お前はこっち」
「こんな機会、もう二度とないかもしれないのにっ!!」
必死の形相で訴える樹に対し、我王はあっさりと頷く。
「まぁ、ないだろうな。俺が許さん」
「ひどいっ! 横暴っ!!」
「おまえなっ。俺とデート中だということを忘れたのか? それなのに、他のやつとデートするっていうのは、どういう了見だ」
「違うっ! デートじゃない!」
それはいつもの癖のように出た言葉だった。我王とのふざけて交わす会話の中で、何度となく繰り返されてきたやり取りである。
しかし今は少々状況が悪かった。樹の可愛くない態度に、我王の機嫌はますます下降を続ける。
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