愛を囁くピアニスト
書籍紹介
立ち読み
「きみを、僕のものにしたい」
「……」
抗えるはずがなかった。甘い毒を吹きこまれたように、めまいがするほど興奮してしまった。なにかを考えるよりも先に体が動き、桜若を抱きしめようとした。だが桜若は、するっと身を翻して北川から離れると、恐ろしく色っぽい微笑で言ったのだ。
「シャワーを浴びてくるから」
「あ……、うん……」
ゆったりとした足取りでバスルームに向かう桜若の後ろ姿を見ながら、くそう、翻弄されている、と北川は赤面した。
桜若のあとからシャワーを使い、少し迷ってバスローブを身につけて寝室に入った。桜若はソファに座り、グラスに注いだ水を憎らしくなるほどの余裕で飲んでいる。可愛くベッドに入ってろよと思いながら桜若の前に立ち、グラスを取りあげて水を飲んだ。ふふふと笑った桜若が、バスローブの上から股間を握ってくる。北川は噎せそうになった。
「…っ、ちょっと、いきなりだね……」
「もう硬くなっているよ。シャワーを浴びながら、イケナイことでも考えていた?」
「サワさんて肉食系だったの?」
「百パーセント、肉食」
うふ、と妖しく桜若は笑う。北川もニヤリと笑い、グラスをテーブルに戻して桜若にキスをした。桜若に股間をいたずらさせながら、首筋、喉元と口づけを下ろしていく。両手でバスローブを肩からすべらせるように落として、北川は感心の吐息をこぼした。
「綺麗な体してるね……」
「脱いだ時に、がっかりさせたくないからね」
さすが肉食系らしい発言だと思った。桜若の体は、胸にも腹にもほどよく鍛えられた筋肉がついている。男なら憧れる体だ。肩幅も思っていたより広く、逆に腰は引き締まっている。この体を好き放題にしてもいいのかと思うと、北川は妙に興奮した。
「…なにを考えたの? また硬くなった」
「いいの」
ふふふと桜若に笑われて、北川は苦笑しながら綺麗な体にキスを降らせていった。桜若の足の間に膝で立ち、バスローブの紐をとく。あらわになった桜若のそこは、まだなんの反応も示していなかった。くそ、余裕だなと悔しく思いながら、思いきって口に含んだ。
「…無理をしなくていいよ、北川くん」
「ん……」
桜若の手がそっと髪を撫でてくれる。男のものを口に入れるなどもちろん初めてだが、とくに嫌悪感は感じなかった。けれどとまどう。北川も口でしてもらった経験はあるが、だからといってうまくできるものではない。桜若を気持ちよくしてあげたくて、舌を添えたままぎこちなく顔を動かしてみるが、桜若はなんとも微妙な反応しか示さない。北川は桜若から口を離し、困って尋ねた。
「…俺、下手すぎる? よくない?」
そう言ったとたん、手の中の桜若が硬さを増した。え? と思う北川に、うふふと笑って桜若は答えた。
「可愛いんだもの」
「可愛いって……」
「一所懸命で、初々しくて」
「そりゃ…、男なんて、初めてだから……」
「だから、無理をしなくていいよ。僕がゆっくり教えるから」
「……」
桜若の美しい指で頬を撫でられて、北川は赤面してしまった。なんというか、自分がまだ童貞で、年上のお姉さんに初めての経験をご指南いただく気分になってしまったのだ。
「……」
抗えるはずがなかった。甘い毒を吹きこまれたように、めまいがするほど興奮してしまった。なにかを考えるよりも先に体が動き、桜若を抱きしめようとした。だが桜若は、するっと身を翻して北川から離れると、恐ろしく色っぽい微笑で言ったのだ。
「シャワーを浴びてくるから」
「あ……、うん……」
ゆったりとした足取りでバスルームに向かう桜若の後ろ姿を見ながら、くそう、翻弄されている、と北川は赤面した。
桜若のあとからシャワーを使い、少し迷ってバスローブを身につけて寝室に入った。桜若はソファに座り、グラスに注いだ水を憎らしくなるほどの余裕で飲んでいる。可愛くベッドに入ってろよと思いながら桜若の前に立ち、グラスを取りあげて水を飲んだ。ふふふと笑った桜若が、バスローブの上から股間を握ってくる。北川は噎せそうになった。
「…っ、ちょっと、いきなりだね……」
「もう硬くなっているよ。シャワーを浴びながら、イケナイことでも考えていた?」
「サワさんて肉食系だったの?」
「百パーセント、肉食」
うふ、と妖しく桜若は笑う。北川もニヤリと笑い、グラスをテーブルに戻して桜若にキスをした。桜若に股間をいたずらさせながら、首筋、喉元と口づけを下ろしていく。両手でバスローブを肩からすべらせるように落として、北川は感心の吐息をこぼした。
「綺麗な体してるね……」
「脱いだ時に、がっかりさせたくないからね」
さすが肉食系らしい発言だと思った。桜若の体は、胸にも腹にもほどよく鍛えられた筋肉がついている。男なら憧れる体だ。肩幅も思っていたより広く、逆に腰は引き締まっている。この体を好き放題にしてもいいのかと思うと、北川は妙に興奮した。
「…なにを考えたの? また硬くなった」
「いいの」
ふふふと桜若に笑われて、北川は苦笑しながら綺麗な体にキスを降らせていった。桜若の足の間に膝で立ち、バスローブの紐をとく。あらわになった桜若のそこは、まだなんの反応も示していなかった。くそ、余裕だなと悔しく思いながら、思いきって口に含んだ。
「…無理をしなくていいよ、北川くん」
「ん……」
桜若の手がそっと髪を撫でてくれる。男のものを口に入れるなどもちろん初めてだが、とくに嫌悪感は感じなかった。けれどとまどう。北川も口でしてもらった経験はあるが、だからといってうまくできるものではない。桜若を気持ちよくしてあげたくて、舌を添えたままぎこちなく顔を動かしてみるが、桜若はなんとも微妙な反応しか示さない。北川は桜若から口を離し、困って尋ねた。
「…俺、下手すぎる? よくない?」
そう言ったとたん、手の中の桜若が硬さを増した。え? と思う北川に、うふふと笑って桜若は答えた。
「可愛いんだもの」
「可愛いって……」
「一所懸命で、初々しくて」
「そりゃ…、男なんて、初めてだから……」
「だから、無理をしなくていいよ。僕がゆっくり教えるから」
「……」
桜若の美しい指で頬を撫でられて、北川は赤面してしまった。なんというか、自分がまだ童貞で、年上のお姉さんに初めての経験をご指南いただく気分になってしまったのだ。
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