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プランタン出版 TOP>砂漠の鷹と暗殺者
サウディンの皇太子イブン・サーディの小姓となった景生は、実は皇太子暗殺という任務を秘めていた。だが閨での隙を狙った暗殺は失敗、捕らえられてしまう。自ら死を選ぼうとした景生だったが、なぜかそのままイブン・サーディの側にいることを許された。改めて暗殺の隙を窺うが、身近に仕えるうち、国を真摯に思うイブン・サーディの気高さに惹かれ始める。任務との板挟みに苦しむ景生は、やがてその想いに向き合うことを決意する。けれど、裏切り者として命を狙われ始め…。
オトナの男★★★★★ 主従★★★★
| シリーズ | プリンス | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 発行年月 | 2009年12月発売 | ||||
| 定価 |
|
関連リンク
イブン・サーディ [攻め]
サウディン皇太子、本名はサウド・アシュバル・アル・サウディン。『イブン・サーディ』は、ごく親しい者にのみ呼ぶことを許される愛称。ギリシャ彫刻のように整った容姿だが、左側の頬に事故による傷跡が残る。
真崎景生(ケイ) [受け]
イブン・サーディの小姓だが、実は皇太子暗殺の任を秘める暗殺者。父を亡くし男娼となったが、サウディンに恨みを抱くディマの首長に引き取られ、暗殺者として仕込まれた。
「うまいものだな。さすがに仕込まれただけはある」
その言葉は景生の胸をぐさりと突いた。衝撃を悟られないように、するりとイブン・サーディの腰から滑り降りて跪いた。
「舌技もお目にかけます」
目を伏せたまま額ずいて、昂りを口に含もうとした。途端に、両脇に手を差し込まれて抱き上げられる。
「あ……」
「すまなかったな。傷つけてしまった」
顔を覗き込まれて謝られると、表情をごまかせない。
「景生は、意に染まぬ関係を強要されただけだ。自分から望んだわけではないのだから、犬に噛まれたと思って忘れなさい。この身体のどこにも汚いところなどない」
「……っ」
そのまま暖かな胸に抱き寄せられて、どうして嗚咽が込み上げてしまったのだろう。景生は声を漏らすまいと、歯を食いしばった。
転がったシャワーヘッドから湯が噴き出して、床を流れ落ちていく。景生は湧き上がりそうな涙を堪えるために、目を見開いて流れていく湯を睨みつけた。
身体がときおり震えるのは、気のせいだと自分に言い聞かせる。頭を撫でられ、髪の毛を掻き上げられて、優しい手が身体を宥めるように撫でていくのが気持ちいいのも、ただの勘違いだ。
現れた額にイブン・サーディが口づけたときには、その自制も崩れそうになった。
自分はこの人を害するためにここにいるのだ。
最後のそれを命綱のようにして、しがみつく。