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夏草の檻

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書籍紹介

彼を愛撫している錯覚に、恍惚とする

少年は、幼馴染みで高校の同級生・夏己の美しさと強さに惹かれ、その存在に支配されていた。夏己もまた、子どものころ少年の右頬に消えない傷痕をつけてしまって以来、少年に囚われている。少年の存在から逃れようとする夏己と、夏己を求め続ける少年。そんな中、細工をされ欠陥のあるバイクでツーリングに出かけた二人は、事故に遭い…。切ない想いを描いた2作品を収録。
立ち読み
僕は黙って、密やかに泣く三島を眺めた。
  喉の奥から、時々、堪えきれないような声が洩れる。こんなに哀しい泣き方をする人を、今まで見たことがない。
  だから、僕は、走り寄っていた。
  走り寄り、細かく震える頼りない背中を後ろから抱き締めた。
「………タ、タコ………?」
  三島が身じろぎしたのがわかったが、僕は頭をふり腕に力を込めた。
「――なんで」
「泣かないで」
  僕は言ったけれど、語尾はあやしく震え、唇をきゅっと噛み締める。
「泣いて………る、けど………お前――」
  三島は僕のほうに向き直った。
  頬を濡らした涙が耿るのを見ると、僕はいよいよたまらなくなって烈しく首を振った。
「タコ、」
「やだよ。そんな――三島が泣くなんて厭だ。誰かを思って、ひとりで泣くなんて、そんなの………」
「アホか」
  三島は奇妙な笑顔を作ると、僕を引き寄せる。
  パジャマの布地を通して、温かな心臓が脈打つのがわかった。三島の身体は思ったよりもずっと華奢で、肩も腕も、それは何か不吉さをさえ感じさせる細さだった。
「………泣いてんのお前じゃんか」
  震えている僕を抱き締め、三島は半分ばかにするようないつもの調子で言った。
「三島が泣くからだよ」
「俺はべつに………俺はちょっと、」
「なんだよ」
  急に下から引っ張られて、僕は思わず三島にしがみつく。ふわりと温かな感触が、唇を包んだ。
(同時収録「月の裏で会いましょう」より抜粋)
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