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共喰い -αの策略-

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書籍紹介

きみはベータの皮を被った、淫らなオメガだ。

親の再婚により、優秀なアルファである恭介の義弟になれたことを喜んでいたベータのエン。
だがある日恭介に薬を盛られ、目覚めるとベッドに拘束されていた。
そして知らされたのは、ベータなはずの自分が実はオメガであったということ。
どんなに認めまいとしても、恭介を前にした身体は熱を帯び疼いてくる。
発情し、悦楽の渦に堕ちたエンは遅咲きのオメガとして花開いていき──。

立ち読み

 うなじをそうっと撫で、指でかりかりと引っ掻く恭介が笑顔でのぞき込んできた。
「俺は少し前、エンのここを噛んだんだ」
「え、……え? うなじ、……噛んだ、……んですか……?」
「そう。どうしてかわかる?」
 ぎゅっと爪をうなじに立てられて、びくんと身体が跳ねるほどの衝撃が走り抜けた。
 間違いようもない、それは初めて味わう激しい快感だ。
 うなじを噛まれて触られただけで感じるなんて、どういうことだろう。
「なんで、うなじ……なんか……」
 はっ、はっ、と短く息を吐いてエンはうっすらと涙を浮かべる。よくしてくれた義兄の豹変が信じられないという悲しみももちろんあったが、どうにも身体中に巻き起こる快感の出口を見つけられず、焦れったくて焦れったくて死んでしまいそうだ。このままでは、なにもせずに射精してしまいそうで。
「エンは、自分が何者かわかっている?」
「なに、もの……?」
 荒く息を乱す中で、ふと気づいたことがあった。エンくん、と親しみをこめて呼ばれていたのが、いまは、エン、と呼び捨てにされている。だが、冷ややかなのではない。ねっとりと絡みつくような濃い感情を交えた声に引きずられ、喉をからからにさせていく。
「……喉、すごく……渇いてて……」
 自分が何者なのかという問いかけもぐるぐると脳内を駆け巡っているが、この喉の渇きをどうにかしたい。
「水、あげようか」
「……っ、……」
 お願いします、と言いかけたものの本能が押しとどめ、こくりと頷くだけにした。
 恭介はベッドを離れ、部屋の隅に置かれた中ぐらいのサイズの冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出して戻ってくる。キリキリと音を響かせて蓋をねじ開け、飲み口を傾けてくれるのだろうかと思ったら、エンをじっと見つめながら喉を反らしてごくり、ごくりと美味しそうに水を飲み干していく。
「あ……」
 どういうことなのか。飲ませてくれるんじゃなかったのか。三分の一ほど飲み終えてしまったボトルを軽く揺らし、恭介は「飲みたい?」と訊ねてくる。
 懸命に頷く。飲みたい。いますぐ喉を潤したい。
 怜悧に整った相貌で恭介は笑い、眼鏡を押し上げる。
「……おね、が……」
 絞り出した声を聞き取ったのか、恭介は再びボトルに口をつける。そのまま飲み終えてしまうのだと絶望していたら、突然彼が覆い被さってきて両手でエンの頭を抱え込み、深くくちづけてきた。
「ン──……!」
 重なったくちびるの間から、ちゅくり、と水が口移しされた。生温かいそれを嫌悪して口の端からこぼせばよかったのに、渇きがひどくて耐えがたい。つかの間理性と闘い、エンは驚愕に目を見開いたままこくんと喉を鳴らした。
 甘い水が、体内に染み渡っていく。たったひと口の命の水。
「ん、……ふ……っ」
 もっと飲みたくて顎を持ち上げたのだけれど、恭介はそのひと口しかくれなかった。だからエンは口内に残る水分を舌でかき集め、何度も喉を鳴らす。そして、ただひたむきに、熱のこもった目で恭介を見上げた。もうひと口、あとひと口だけでいい。今度はちゃんと味わって飲むから──大切に飲むから──だってここで水を飲んでおかないと今後に支障を来す、と本能は囁いている。
「きょうすけ、さん……」
「声がだいぶ甘くなってきたな。……きみは俺にうなじを噛まれてから数日眠っていたんだ。そろそろ覚醒してもいい頃だろう」
「か、くせい」
 数日寝ていた? では両親はどうしたのだ。外出からもうとうに戻ってきているはずで、もしほんとうに恭介が言うとおりここが地下室なのだとしたら、中にこもりきりのふたりを訝しく思っているはずだ。
「母さん……と、おとう、さんが……」
 学校だって。夏休みまであとわずかだったが、一日とて無断で休んだことがなかったのに。きっと道成だって心配している。
 心配していると言いかけたエンに、恭介は深く微笑み、「しー」と人差し指をくちびるの前に立てる。いまからとても大事な秘め事を打ち明けるように。
「大丈夫、ひとつひとつ説明するよ。まず、きみが眠っている間に学校はもう夏休みに入った。先生には俺から電話をして、どうもたちのわるい風邪を引いたようなので、受験もあることだし、大事を取って家で休ませたいと告げておいたよ。俺はきみの兄だからちゃんと信用してもらえた。それから」
 熱くてふっくらするエンのくちびるを恭介は愛おしげになぞり、少しだけ先を含ませてくる。指を含ませられて、ぐ、とえづいてがちりと前歯を噛み合わせたのが気に食わなかったのか、恭介は真面目な顔をしてエンの顎を掴んで強く押し下げた。そうして開いたくちびるに指を半ば力尽くでもぐり込ませ、舌先を指でぬるりとつまむ。
「ん、──く、……っぐ、ぅ」
「……いい顔だ。屈辱を堪え、こみ上げる快感を懸命に意識から追い出そうとしている顔だ。エンは苦しそうな顔がよく似合うね。そうそう、話の続きだ。俺ときみの両親はこの夏の間中、ヨーロッパに旅行だよ。新婚旅行なんだ。俺が提案した。結婚式をしない代わりに、信頼できる部下に会社を任せて、エンの夏休みの間はずっとふたりきりでフランスやドイツ、イタリアを堪能するんだよ。スイスにも足を延ばすと言っていたかな。向こうで、仕事に活かせる商品を探したいとずっと父さんも言っていたからちょうどいい。いまの時代、大事な要件はネットで伝えられるしね。──というわけで、エン。今日は七月二十三日。きみの高校生最後の夏休みが終わるまで、俺とこの家でふたりきりだ」
 唖然として言葉も出てこない。なにもかも周到に計画が練られていたらしい。くちびるを開いたが、なにを言えばいいのか。罵倒か。懇願か。だが、エンのこころを裏切って、艶やかな声が漏れ出てしまう。
「……ッあ、……ぁ……っ」
 さっきからずっと、ずうっと、身体が妙に疼いているのだ。表面も、中のほうも。中ってなんだ? と考える暇もない。胸の奥、腰の奥にうずくまるもやもやとした感触を追い出したくて、エンは息を荒らげながら身をよじった。しかしそうすればするほど刺激が肌を透かして中に入り込み、もやもやを鋭くさせていく。
 ……気持ちいい。のかもしれない。
 もしもいまうつぶせに寝ていたら、なにも考えられずに腰をシーツに押しつけて前後に振り、昇り詰めているところだ。
 エンは、十七歳にしては性欲が薄いほうだった。たまにそういう気分になったとき、母へのうしろめたさを感じながら、以前住んでいたアパートの狭いトイレや風呂場でこっそり処理をした。そう、あれは性欲処理で、自慰と呼べるほどの代物でもない。雰囲気を盛り上げるわけでもなく、昂ぶるわけでもなく、かちかちになったペニスをただぎこちなく擦り立て、精液を搾り出すだけのむなしい時間だ。
 だが、いまは違う。欲望に駆り立てられ、腰がよじり立つほどだ。
 ジャリッと鎖が音を響かせる。開かされた両足の真ん中で、エン自身がハーフパンツを押し上げて主張していた。
 それを信じられない思いで見つめているうちに、声を上げて泣き出したくなってきた。
 泣いて懇願すれば、恭介も許してくれるかもしれない。これはきっとちょっとした悪戯で、エンを脅かすだけの舞台なのだろう。
 許して、許して、ごめんなさい、許してください。
 口を開いたのだが、「──ん」と切羽詰まった声が漏れ出ただけだ。
「これから、俺はきみを犯す」
 低い声で言って、「だけど」と恭介は言葉を紡いだ。
「なぜそうするか、きみ自身も納得できたほうがいいだろう。これを咥えるんだ」
 犯す? 犯す? なにを? 誰を? 誰が?
 動転して息が浅くなっているエンのくちびるに、恭介は平べったい板のようなものを挿し込んだ。感触からして、プラスティック素材のようだ。反射的にガリッと噛みついたが、砕けない。唾液が絡まり、板の先を濡らしていくのが自分でもわかる。そのまましばし恭介は待ち、おもむろに板を引き抜いた。そしてその先端を見て、満足げな顔をする。
「ほら、わかる? 先の窓の中にピンクの線が出ている」
「なに……、え……これ、なんです、か」
 唾液で濡れた長細い板の先にはちいさな窓がついていて、ピンク色のラインが見えた。
「オメガの検査薬だ。はっきりとした陽性だね、エン。きみはオメガなんだよ」

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